第736回
第6世代XeonのGranite Rapidsでは大容量L3を搭載しMCR-DIMMにも対応 インテル CPUロードマップ
Granite RapidsではMCR-DIMMをサポートし
CXLメモリーを全面的に利用する
Granite Rapidsに搭載されるRedwood Coveの特徴が下の画像である。
Redwood CoveはMeteor Lakeにも搭載するものであり、要するにIntel 4とIntel 3の両方で利用することになる。といっても、現時点では極めてふわっとした構成しか説明されていない。
1つ言えることがあるとすれば、上の図ではMatrix Engine(これは連載629回で説明したIntel AMXのことだろう)が搭載されているが、Meteor Lakeには搭載されないような気がする。
またVector Engineも、Granite Rapidsは当然AVX512相当であろうが、Meteor LakeにはAVX256相当の形でリリースされるような気がする。要するにこのVector Engine/Matrix Engineは構成を簡単に変更可能になるように配慮されている可能性が高いということだ。
ちなみにRedwood CoveはAlder Lakeに搭載されていたGolden Coveから大きくは変更されていないように見える。キャッシュ周りの改良(例えばGolden CoveはL1 I-Cacheが32KBだったのが64KBに増やされている)や分岐予測の改良、FPの乗算の高速化という項目が出ているあたりは、基本はGolden Coveのままということだろう。
次のメモリーコントローラーでMCR-DIMMをサポートするという話は、連載723回で説明したとおり。
むしろGranite RapidsではCXLメモリーを全面的に利用する方が話題としては大きいだろう。
余談ながら、Sapphire Rapids世代ではまだOptane Persistent Memoryのサポートが残されたが、Granite Rapidsを待たずにEmerald Rapidsの世代でOptane Persistent Memoryのサポートは落とされるらしい。
インテルとしては、早めにソフトウェアベンダーにアプリケーションのCXL対応を進めてもらいたいだろうし、もっと言えばSapphire RapidsからEmerald Rapidsにアップグレードするようなユーザーはそれほどいないと見切っての対処なのかもしれない。
そのCXL、Sapphire Rapidsでは公式にはType.3(メモリー)のサポートが落とされている(技術的には動作するが、公式にはサポートしない)という扱いだったが、実際には動作可能である。今年8月にMicronはCXL 2.0対応のCZ120というメモリーモジュールをリリースしたが、AMDだけでなくインテルプラットフォームでも利用できることがリリースに明記されている。当然Granite Rapids(とおそらくSierra Forest)ではCXLを全面的にサポートする模様だ。
I/Oチップレットの構成が下の画像で、UPIもこちらに移ってきた。またアクセラレーターの類はこのI/Oチップレットの先に、周辺回路の形でぶら下がる格好になるようだ。
ちなみにGranite RapidsのAI性能はSapphire Rapidsの2~3倍になるとされているが、AIアクセラレーターを搭載するのではなく、AMXの改良+より広帯域なメモリーが利用できる+そもそもコアの数が多い、という合わせ技での数字だと思われる。
以上のように、この発表はGranite Rapidsに関するざっくりした説明であった。次回はSierra Forestについて解説したい。
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