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お湯で柔らかくなる高強度素材「FORMcard」

お湯でプラスチックをこねて包む簡単修理ツール、知ってる?

2023年09月11日 18時00分更新

プラスチックにくっつきやすい!

 気を付けたいのは、FORMcardは金属やガラスにはくっつかず、プラスチックにはくっつきやすいこと。テスト部品の固定などに使う場合、金属製であれば大丈夫ですが、プラスチック製だと後で取れなくなる可能性があります。

 また、柔らかいため押し付けると部品の隙間に入り込み、ガッチリ固定されて抜けなくなります。見た目をキレイに精度高く作ろうとするとこの罠にハマりやすいので、あくまで仮止めと考え、多少雑に作るほうがよさそうです。

バイオプラスチックFORMcard

ゆるっと作ったステッピングモーター固定具

バイオプラスチックFORMcard

ふわっとかぶせて軽く押し潰しただけなので、簡単に外れました

 プラスチック製だとどのくらいくっつくのか試すため、柔らかくしたFORMcardをプラスチックの棒に巻き、少し固まったところで引っ張ってみました。

バイオプラスチックFORMcard

先に冷えた面がくっつき、はがれにくく

 結果は見ての通りで、固まったところからプラスチック表面にくっつき、キレイにはがれませんでした。プラスチック製のものに使う時は、この点注意したほうがいいでしょう。

 といっても、今回試したのが表面がツルツルになっているものだったからか、完全に固まった後なら、結構簡単にはずせました。修理目的であれば、表面のヤスリ掛け、溝彫り、脱脂などをした方がよさそうですね。

 なお、FORMcardどうしであれば簡単にくっつくので、細かく切ってもまとめて捏ねれば、再び塊になります。細かい補修や造形をするのであれば、小さい短冊状に切っておき、それを貼り付けるようにすると作業しやすいと感じました。

小さな短冊にしておくと、細かな作業が楽に

50℃を超えるくらいから柔らかくなる

 このように、手軽に形が作れて便利なFORMcardですが、欠点もあります。それは、50℃を少し超えたくらいから柔らかくなり始めてしまうこと。例としてステッピングモーターの固定具を作りましたが、実は、ステッピングモーターは結構発熱するので、用途として適していません。発熱しない部品に使うようにしましょう。

 また、何℃くらいから加工できるくらい柔らかくなるのか試してみたところ、60℃ちょっとのお湯では柔らかくなるものの、厚みがある部分は柔らかくならず、加工が困難。70℃だとだいぶ柔らかいですが、FORMcardどうしのくっつきがやや悪く、間に気泡や水が入りやすく感じました。

 火傷はちょっと心配ですが、加工のしやすさを考えると80℃以上で使うのがよさそうです。

80℃以上でぐにゃぐにゃになり、加工しやすかったです

 余ったFORMcardは、薄く伸ばしておくと後日使いやすいです。手で伸ばすだけでもいいですが、オススメはテフロン加工のフライパンでお湯を沸かし、FORMcardを入れ、上からガラスコップで押し潰していくこと。平らにできるだけでなく、中に入り込んだ気泡や水を追い出せるというメリットもあります。もちろんフライパンやガラスにはくっつかないので、かなりキレイに薄くできます。

フライパンのお湯で加熱し、ガラスコップで潰したところ

薄い板状にしておくと使いやすいです

 発熱する部分には使い難いとはいえ、固まった状態なら強度があって曲げにも強く、割れないだけに、かなり使い勝手はいいです。修理はもちろん応急処置、仮止め、実験、試作などでかなり活躍してくれるので、1つ持っていても損はないでしょう。3枚セットで1000円と、価格も安いですしね。

●お気に入りポイント●

・何度でも再利用できる

・曲がるが割れず強靭

・ガラスや金属にくっつかない

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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