ナイスモバイル株式会社 高学軍社長ロングインタビュー
「MAXHUB製品は日本専用チューニング&ローカライズ済」ナイスモバイル高社長
日本語化などローカライズはナイスモバイルが担当
―― MAXHUB製品はソフトウェアの日本語訳やフォントにも配慮されているイメージがあります。これらはナイスモバイルのスタッフが担当されているのですか?
高社長 はい、そうです。ローカライズはすべて弊社(ナイスモバイル)が担当していて、CVTEと連携してインターフェイス、スクリーンマニュアル、サポートマニュアルといった文字要素の日本語化とそのチェックを実施しています。
それでもローカライズ周りは完璧かと言われればまだまだで、間違いを見つけ次第、その都度修正しています。また、機能的なバグについても弊社で発見すれば積極的にCVTEへ報告・修正ができます。
―― ということは、ナイスモバイルの方はCVTEによく通われていらっしゃるんですか?
高社長 オンラインでの打ち合わせが中心で、ほぼ毎日のように情報のやり取りをしています。弊社のスタッフも英語や中国語を勉強して、かなりスムーズなやり取りができるようになっていますね!
日本は「8m先まで拾う強力マイクがアダになる」珍しい国!?
―― 今回久しぶりに工場やラボ含めてCVTEを訪問されましたが、現地を見て何か“気づき”のようなものはありましたか?
高社長 私は起業前にもOEM製品の製造に関わったことがありました。委託していた際には工程などだいぶ勉強させていただき、製造については理解は深いと思います。
その頃と現在では製品だけでなく製造工程も変わってしまいましたが、今回あらためて見学させていただくにあたって、実は『何か問題があるようなら遠慮なく指摘してやろう』と思っていたんです(笑) しかし見学に行ってみると、問題はまったくありませんでした。
まるで日本の工場ラインのような、しっかりとした管理で製造が進んでいたのです。作業標準書やそのほかのマニュアルなども、1つ1つしっかりしています。
読者のみなさんは日本の工場の製造工程は完成度が高いことをご存知かと思います。私もそういった製造ラインをよく知っているのですが、それらと比較してもほとんど差はなかったと思います。
―― 日本企業として、製品についての意見や要望をCVTEに渡すこともあると思うのですが、“日本特有の事情が理解されず、なかなか製品に反映されない”など、認識のギャップのようなものを感じたことはありますか?
高社長 そうですね……オールインワンミーティングボードが使われる状況について、若干のギャップがあるように感じます。
中国では、会議は会議室の中でやるものです。外部の音はほとんど気になりません。ところが日本ですと、大勢の従業員がいる部屋の一角を使ってWEB会議をするケースが少なくありません。
この違いが製品開発にどのように影響するかと言えば、MAXHUBのオールインワンミーティングボードに内蔵されているメインマイクは、8m離れていても声を拾えるような高性能ですが、大勢の人がいる部屋で使うとどうしても雑音まで拾ってしまいます。
つまり、高性能がアダになるのです。このような日本特有の使われ方にも沿えるよう、機能を制限するようなことは可能か、相談しているところです。開発チームとしては『マイクの性能は高いほど良いじゃないか』と思っているのでしょうが、そこは日本の現場を知らないと理解しづらいかもしれません。
CVTEの開発スタッフは実際の会議や授業を多数見学して製品開発に役立てていますから、今後は日本にも来ていただき、実際にどのような場所で使っているかを見てもらいたいと思っています。
※編註:記事公開時点においてはチューニング済。
日本市場はまだまだ開拓できる!
―― ナイスモバイルは創立以来、さまざまな企業の製品を扱ってきたかと思うのですが、最終的にCVTEのMAXHUB製品を手厚く扱うことにした決め手はどこに?
高社長 以前もお話しましたが、私は起業当初はモバイル関係の製品を扱おうと思っていたのですが、伸び悩んでいたところでタッチパネルを日本で販売したいという中国の会社の委託を受けてタッチパネルの販売を始めたんです。
そのうち今度はタッチパネルを使った電子黒板の需要が高まるという話を関係者から耳にするようになりました。当時、大手も電子黒板に大きな興味を持っていたため、さっそく販売計画を進めたのですが、なかなか望まれるような機能の製品に仕上がりませんでした。
そうこうしているうちに2018年に入り、MAXHUB製品がグローバル展開することを知りまして。調べてみたら性能が高いようで、実際に自分で触ってみてもかなり良い。そして代理店として販売を始めたところ、お客様の反応も良好。『これだ!』……ということで、MAXHUB製品がナイスモバイルで扱う主力製品になっていったわけです。
―― IFP(インタラクティブ・フラットパネル)の市場は今後も拡大していくとお考えですか?
高社長 そうですね。先ほどCVTEのデイビッド氏もおっしゃっていましたが、たとえば10年というスパンで考えても、日本におけるIFPの需要はまだまだ高いままと思われます。
もちろん、高解像度の実現といった性能向上も必要に応じて進んでいくと思われますが、日本でさらにMAXHUB製品が受け入れられるようになるためには、やはりより高いセキュリティ機能が必要でしょう。
大手企業にも信頼していただけるよう、データ保存周りの完全分離など「安全・安心」を大きなテーマとして解決していかなければならないと思っています。
現状でも、MAXHUBのIFPはかなりの台数が日本で受け入れられ、累計1万数千台のIFPが販売されています。しかし会議室用のIFPだけでなく、サイネージやイベントで使われるミラーリングディスプレイ、さらにはコストを抑えて表示専用にした電車やバスの表示装置なども含まれますから、この市場はまだまだ広がります。
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