日本のヘッドフォン祭やポタフェス、あるいはアメリカのCanJamのようなヘッドホンオーディオに特化したオーディオイベントがドイツにも生まれた。エッセンで今年の8月12日と13日に開催された「WORLD OF HEADPHONES」である。
注目すべき点は、毎年ミュンヘンで開催されている「HIGH END Munich」を開催しているHigh End Societyがショーを主催していることだ。HIGH END Munichのコーナーを独立させた形になる。ドイツのエッセンにあるOktogonがイベント会場だ。ここは炭坑跡に作られた施設で八角形をした建物がイベント会場だ。入場料は無料で、およそ50を超えるブランドが集結した大きなイベントになったようだ。
WORLD OF HEADPHONESの概要
High End Societyは、このイベントについて次のように述べている。
「ヘッドホンは、外出先でも自宅でも邪魔されずに音楽を楽しめる音楽愛好家にとって、なくてはならないアイテムです。ワイヤレスのBluetoothイヤホンから有線のハイエンドモデルまで様々な種類があり、オーディオの世界で確固たる地位を築いています。ヘッドホンは音楽をダイレクトに楽しめ、興奮するような体験ができ、音楽の最も素晴らしい聴き方だと思うファンが多い分野でもあります。リスナーは好きな曲を気になる周囲の雑音やルームアコースティックの影響もほとんど排除して楽しむことができます。
WORLD OF HEADPHONESでは、大手メーカー、ディストリビューター、ディーラーが、モバイルおよび据え置き型の音響機器を多数展示することで、来場者は数多くのヘッドホンをじっくりと聴き比べることができます。エッセンのツォルフェライン炭鉱にあるOktogonは、その素晴らしい建築によりWORD OF HEADPHONESに魅力的な舞台を提供するでしょう」
ドイツならではのブランドにも出会える
公式サイトでのレポートではいが、YouTubeで探すと、このイベントのレポートが投稿されており、その様子を伺うことができる。
動画を見ると、大きなイベントホールをブースに分けるのが分かる。会場の雰囲気は日本のヘッドホンイベントに近いように思える。また、円形のホールの中央に広い休憩スペースを設けているのは良いアイディアだと思う。ここに仲間が何人も集まって、ヘッドホン談義に花を咲かせる光景が見られることだろう。
会場の様子を見ていくと、HIFIMANなど日本でもお馴染みのブランドのほかに、日本でも一時期CORDAシリーズのポータブルオーディオで人気を博したMeier Audioのブースを見つけることができる。「CORDA SOUL」というヘッドホンアンプがメインになっているようだ。CORDAシリーズはコスパの良い製品として知られていたが、SOULはコスト度外視で最新技術を取り入れたヘッドホンアンプのようだ。展示の担当者はJan Meier氏本人だ。元気そうで何よりだが、日本市場にも戻ってきて欲しいものだ。
また、日本ではみたことがないが、CEN.GROUNDというメーカーのバランス駆動対応のヘッドホンアンプも並んでいる。CEN.GROUNDは中国市場を主とするオーディオブランドのようだが、ドイツにも進出しているのは、近年、両国の経済協力関係が緊密になっていることとも無縁ではないだろう。
レポーターがCEN.GROUNDと接続して試している木製ハウジングのヘッドホンは、Sendy Audioの「Peacock」だ。これは振動板の両側にコイルがあるダブルコイル方式を採用したハイエンドヘッドホンで、日本でもJaben Japanが輸入している。
magAudioというブランドは、ドイツのブランドだ。これも日本ではみたことがないが、主にターンテーブルやオーディオのアクセサリーを作っている会社のようだ。会場で使われているソース機器についてはCDもまだドイツでは人気があるのか、日本でも販売していたスタイリッシュなCDプレーヤーである「Aura note」が見える。ソースがストリーミングだけに偏らない点も日本市場に似ているかもしれない。
Mal Valveというのは、地元エッセンで真空管アンプを製作しているメーカーのようだ。円形の筐体デザインが特徴的だが、信号経路が全て真空管でフルバランス回路を採用している点が面白い。そのためか真空管が筐体に多数屹立していて真空管の森のような造形になっているのがユニークだ。ヘッドホンアンプも製作していて、静電型のヘッドホンアンプもラインナップされている。
動画の最後にレポーターは、Mal Valveの真空管ヘッドホンアンプに、Sendy Audio「Peacock」の組み合わせがとても気に入ったとコメントしている。WORLD OF HEADPHONESは、日本ではなかなか分からないドイツのヘッドホンオーディオ事情をうかがい知ることのできる貴重なイベントだと言えるだろう。
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