明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科 宮下芳明研究室は8月31日、産地や品種の違いまで再現する調味装置「TTTV3(Transform The Taste and reproduce Varieties)」を発表した。
理論上は10の60乗(1那由他)とおりの味を表現可能
同装置は総務省が推進する「異能vationプログラム」の支援を受けて2020年10月に開発された味覚メディア「味わうテレビTTTV」を発展させたもので、基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や辛味などの味を感じさせる液体を混合噴霧して味を再現する仕組み。
TTTV3は、0.02ml単位という小さな単位で味の制御が可能。ひとつの味に対して複数の溶液を用いることで風味を近づけるているのが特徴だという
また、アルカリ性物質の添加による中和や味覚修飾物質の活用、他の味によるマスキング効果を利用することで元の食品の味よりも特定の味を薄く感じさせる「味の減算」なども可能だ。
味のタンクは20タンク用意されており、各タンク1000段階で制御できるため、理論上は10の60乗(1那由他)とおりの味の組み合わせが再現できることになる。これによって、ワイン、カカオ、梅干しなどの産地や品種の違いまで再現できるようになった。
さらに、ChatGPTに代表されるLLM(大規模現モデル)と連携し、料理名をマイクで話したり、料理の画像をウェブカメラで見せたりすると、LLMがその味を推定して出力することが可能だという。
恐らくコンシューマーというよりも食品メーカーのR&D部門などが同装置のターゲットになるのだろう。近い将来AIを利用した「新しい味の創造」が実用化されるかもしれない。
同装置は8月30日(水)~9月2日(土)に東京工科大学八王子キャンパスで開催されている情報処理学会「エンタテインメントコンピューティング2023」でも公開される予定。
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