NVIDIAは8月25日(現地時間)、米国証券取引委員会に四半期報告書「Form 10-Q」を提出。その中で、米政府によって中東やその他一部の国への高性能GPUの販売が制限されていることを明かした。
拡大する半導体輸出規制
報告書によるとNVIDIAは「2024年度第2四半期(2023年5月〜7月)中、米国政府から、中東の一部の国を含む特定の顧客およびその他の地域向けのA100およびH100製品のサブセットに対する追加ライセンス要件を通知してきました」としている。
A100およびH100チップは、膨大なマシンリソースが必要となるAIの開発に必須となっている高性能なもので、他国のAI開発を恐れるバイデン政権によって、すでに中国とロシアへの販売が制限されている。
そのためNVIDIAは、中国で販売するために故意に性能を落としたH800とA800モデルを開発し、中国で販売してきた。
今回の新たな規制で政府が懸念しているのはA100およびH100が中東から中国に横流しされる可能性だ。
サウジアラビアおよびアラブ首長国連邦は近年AI開発を強化しており、NVIDIA製チップの重要な購入先となっているが、これら諸国と中国のAI企業とのつながりを制限するためのものだと考えられている。
NVIDIAはこの件について「新たなライセンス要件が同社の業績に直ちに重大な影響を及ぼすとは考えていない」と、同書面で記している一方で「長期的には、米国政府の輸出規制がさらに変更されたり中国側が代替製品の購入を望まなかった場合、業績と競争力が損なわれ、中国市場のすべてまたは一部から事実上排除される可能性がある」ともしている。
なお、ロイターは「米商務省の報道官は、NVIDIAのAI半導体輸出制限を巡り、中東への販売を禁止していないと述べた」と8月31日付けで報道している。
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