今年4月に品質低下を認めて、今夏までの対応を進めると発言
7月末には改善状況を記したリリースも
ドコモが、ネットワーク品質改善に向けた取り組みの目処としていた夏が終わろうとしています(この暑さは9月のいつまで続くんだという感じですが)。
ドコモネットワークについては、今年の初め頃からSNSを中心に「速度が遅い」「アンテナが立っているのにデータが来ない」といった投稿を見る機会が増えました。4月になって、ドコモはそうした声があることを認めて(「ドコモ、最近のネットワーク逼迫を「認識している」 5G拡大とエリアチューニングで対策」)、今夏までに品質改善に向けた取り組みを進めるとしていました。
その後、7月28日に都内4エリア(新宿・渋谷・池袋・新橋)についての改善状況をニュースリリースとして公表(「ドコモ、データ通信の品質に難があった新宿・渋谷・池袋・新橋で改善したと公表」)。その内容について、メディア向けの説明会も実施されたので、筆者も参加。それでも「よくわからない」というのが正直なところです。
ドコモ回線、品質低下の対策や分析はこちらにより詳しく
NTTドコモの通信品質が低下した一因は通信技術「Massive MIMO」の導入が遅れているためではないかという指摘がある。
通信品質向上への根本的な対策は基地局の構築・増設だが、短期で可能な対策として「カバーエリア調整」「周波数分散制御」が実施された。
リリースに書かれた4ヵ所以外も取り組みを進めている
ただ、現在の品質低下の理由は正直よくわからない
そもそも前述のリリースを読むと、都内4エリアについては具体的な改善内容や通信速度などが書かれていて、(筆者が行く機会が多い)新宿や渋谷では実際にある程度通信しやすくなったことは実感できています。しかし、ドコモネットワークの調子が悪いのは明らかにその4ヵ所だけではないようです。
その点を質問すると、主要ターミナル・繁華街といった、通信品質が低下している他のエリアでも対策を進めている最中とのことだったのですが、リリースの内容を読む限りだと、ユーザーから「自分が通る駅では全然ダメ」「大阪も調子悪いのに、東京だけしか改善しないのか!」といった、さらに厳しい反応が来るのはある意味当然に感じました(リリースの最後には「ドコモは引き続き全国エリアでの通信品質向上の取り組みを実施してまいります」とは書かれています)。
また、通信品質の低下の原因としては、年々増加するユーザー1人あたりのデータ通信量と、コロナ禍明けの人流の戻りの予想を見誤った点が挙げられました。実際、コロナ禍によってスマホで動画を頻繁に見るなど、ライフスタイルが相当変化したのでしょう。ただ、それ自体は他キャリアも同じですし、そもそもコロナ禍後の人流の戻りが、世界の中で日本が特別早かったとは言いがたいのではないでしょうか。
急に良くなるということはやや考えにくいが
それでもドコモの底力には期待したい
SNSを見ると、ドコモネットワークの品質低下を訴える声は状況・場所など、本当にさまざまです。さらに今夏の「フジロック」「コミケ」「長岡花火大会」のような、多くの人が集まるイベントでは「ドコモだけ繋がらない」「遅すぎる」といった声はSNS上で多く集まっていて、実際にその場にいた知人からも同様の話を聞きました。
結局のところ、ドコモのネットワークは人が多い場所で品質が低下しているようであるものの、理由はよくわからないですし、改善度合いもよくわかりません。もちろんすべての状況、理由、改善結果を公表することは無理でしょうし、5Gスマホの普及の遅れなど複合的な要因があるのだろうとしても、ちょっとわからなさすぎるというが率直なところです。
ごく近い将来に(たとえば年内とかに)画期的にネットワーク品質が改善されるのだったら、もちろんそれはそれでいいのですが、根本的な改善策である基地局の増設にはどうしても時間がかかることもあり、そうなる可能性は高くないかもしれません。なんかよくわからないけど、なんかうまく通信できない……1人のドコモユーザーとしてはその状態が続くことだけはやめてほしいなという思いですし、今こそドコモの底力を見たいと考えています。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります