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ホラーの怖さや不可思議さが視覚で迫る!大賞受賞&候補作の小説を映画化した作品

2023年08月23日 18時40分更新

 今回紹介するのは、KADOKAWAが主催するホラーやミステリージャンルを対象にした新人文学賞を受賞、または候補となった小説を原作とする映画。夏真っただ中、恐怖と不可思議な世界へ…。

 ミステリーとホラーの2大ジャンルを対象としたKADOKAWA主催の「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」。ミステリー小説家として活躍し、物語中にオカルト・ホラー要素がたびたび登場した横溝正史の名を冠し、エンターテインメント性あふれる新たなミステリー小説、ホラー小説の分野の才能を募っている。実は同賞は、1980年に設けられた「横溝正史賞」(2001年度からは「横溝正史ミステリ大賞」)と1994年スタートの「日本ホラー小説大賞」が2019年に統合されたもの。今回はこの前身となった賞にまつわる小説を映画化した作品をピックアップ。

 ジャパニーズホラーブームのきっかけとなった作品の一つ『リング』。原作の鈴木光司による同名小説は、1990年の「第10回横溝正史ミステリ大賞」にノミネートされた。1本のビデオテープから始まる物語は、いまやジャパニーズホラーの中で“最恐”ともいわれるキャラクター・貞子を生み、ミステリーの枠を超えたものに。じっとりとした空気がまとわりついているような貞子の登場シーンは、映画初公開時はトラウマ級として話題だった。時代を経ても、ジャパニーズホラーの金字塔として一度は見るべき作品だろう。

 「第5回日本ホラー小説大賞」(1998年)は、大賞、長編部門、短編部門ともに受賞の該当作なしだったが、長編部門の候補作だった高見広春の小説「バトル・ロワイアル」が映画化された。ホラーというと、呪いや幽霊、ゾンビなどをイメージすることが多いかもしれないが、もともと恐怖を感じる、戦慄するという意味合いを持つ。本作は、中学生同士の殺し合いをテーマにした、かなりショッキングな展開で物議を醸した。時は新世紀。経済的危機により崩壊状態の国で、子どもたちを恐れた大人たちが新世紀教育改革法、通称“BR法”を施行。年に一度、全国の中学校から無作為に選ばれた1クラスが、無人島で最後の1人になるまで生死をかけたゲームに強制参加させられるのだ。鋭いメッセージ性と、恐怖の中にある人間模様が見応えあるものとなっている。

 「第22回日本ホラー小説大賞」で大賞に輝いた澤村伊智による「ぼぎわんが、来る」は、岡田准一主演で『来る』とタイトルを変えて映画化。幸せな結婚生活をスタートさせた田原秀樹(妻夫木聡) と妻の香奈(黒木華)。だが、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり始める。秀樹に相談されたオカルトライター・野崎(岡田)は、霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴(小松菜奈)と調査を始めるが…。少々ネタバレになるが、田原家には“何か”が憑いているのだ。メガホンを取った『嫌われ松子の一生』『告白』などの中島哲也監督は、“何か”による攻撃を鮮烈に映像化。時に「ひぃ」と思わず声が漏れてしまう。『告白』で主演した松たか子が真琴の姉で日本最強の霊媒師・琴子として登場しており、俳優陣の演技もすばらしい。“何か”の怖さに加え、人間もやはり怖いのだということを付け加えておきたい。

 最後は、「ぼぎわんが、来る」と同じ回で読者賞を受賞した織守きょうやの小説「記憶屋」。読者賞とは、一般から選ばれた審査員が選出したもの。ホラーではあるが、「泣ける」と感想が寄せられた作品である。映画化では『記憶屋 あなたを忘れない』というタイトルで、Hey! Say! JUMPの山田涼介が主演を務めた。ある日突然、プロポーズまでした恋人から忘れられてしまった大学生の遼一(山田)は、人の記憶を消すことができるという都市伝説的な“記憶屋”のことを知る。“記憶屋”は存在するのか、幼なじみの真希(芳根京子)や、大学の先輩である弁護士の高原(佐々木蔵之介)と真相を調べ始めるというストーリー。恐怖感が強いというより、不可解な現象とファンタジックな展開に。ラストでは切なさに胸がギュッと締め付けられる。

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