冨林勇佑、SUPER GT第4戦富士も我慢のレースで18位。「次の鈴鹿こそは……!」
2023年のSUPER GT第4戦「FUJI GT450km RACE」が8月5~6日に富士スピードウェイで行なわれ、ASCII.jpが応援する「マッハ車検エアバスター MC86 マッハ号」は今回も我慢のレース展開を強いられたが、冨林勇佑が予選・決勝ともに渾身の走りをみせ、18位完走を果たした。
第3戦鈴鹿から約2ヵ月の長いインターバルがあったSUPER GT。その間、冨林はGR86/BRZ Cupやスーパー耐久など、別のカテゴリーで活躍していたが、SUPER GTでも好結果を残すべく、第4戦の舞台である富士スピードウェイに乗り込んできた。
今シーズン、唯一のマザーシャシー車両として参戦している5号車だが、3戦を終えて思うように結果を残せない日々が続き、現時点でノーポイントという状態だ。その一方で、ランキング上位のライバル車両はサクセスウェイトが積み重なり、重くなり始めてきていることもあり、今回の富士と次戦の鈴鹿がひとつの勝負どころとなる。冨林と松井孝允をはじめ、チームも万全の準備を施してレースウィークに臨んだ。
練習走行から不調が続く5号車
予選では惜しくもQ1突破ならず
土曜日の公式練習では冨林からドライブを担当。セッション開始直後から着々とメニューをこなしにかかったのだが、いきなりブレーキトラブルが発生してしまう。
セッション終盤と、FCY訓練やサーキットサファリではトラブルの対処も終わり走行を再開していたが、予選前の貴重な走行時間が削られることとなってしまい、平均で40周近く走り込んだライバルがいるなかで、5号車は22周にとどまった。タイムも1分40秒531がベストタイムでGT300クラス最下位という結果となった。
今回も後手を踏む出だしとなってしまった5号車。予選に向けては、午前中の走行で良くなかった部分を徹底的に見直す形で、マシンのセットアップを大幅に変更。これで戦闘力の向上を図った。
予選Q1は冨林が担当。新しいセットアップで“ぶっつけ本番”のタイムアタックに挑んだ。大幅な変更が功を奏し、1分38秒058のベストタイムを記録。午前中よりも2.5秒のタイム更新を実現した。タイム計測時点では7番手につけていたのだが、最終盤でライバルたちが次々とタイムを更新していったことで、10番手に後退。わずか0.034秒差でQ2進出は叶わなかった。結果的に予選は18番手となった。
予選を終えた冨林は、悔しさをにじませながらもしっかりとやり切れたという表情をしていた。それでも、翌日の天気予報を気にしており、「雨だったらかなり厳しいかもしれません」と本音をこぼしていた。
なお、ポールポジションは4号車「グッドスマイル 初音ミク AMG」が6年ぶりに獲得した。
ドライかウェットか? 雨が断続的に降り
非常に難しいレースになった決勝
そして迎えた決勝日。冨林の懸念していたことが現実となった。沖縄や九州を襲った台風6号の影響が静岡県にも及んでおり、朝から雨が降ったり止んだりと不安定な天候が続いていた。
ピットウォーク中に降った大雨の影響でウェットコンディションで20分間ウォームアップが始まるも、雨は止んでいる状態のため、セッション中に路面コンディションが変わっていく状況。スタート進行に向けて各車がグリッドについた時にはスリックタイヤを装着していたのだが、グリッドウォーク中に再び大雨となり、急いでウェットタイヤに交換した。この影響でセーフティカー先導でレーススタートとなったが、レース開始直後には雨が止み急速に路面コンディションが回復していった。
今回のレースから、給油と伴うピットストップは5周目以降に、という新たなルールが追加されたため、序盤の数周は各陣営ともウェットタイヤで走行していたが、今年の5号車はウェットコンディションで速さを見出せておらず、早めにスリックタイヤへの交換を決断。GT300クラスの中では早めとなる10周目に1度目の作業を終わらせた。
スタートドライバーを務めた松井が、実質的な2スティント目も担当した。ドライ路面でペース良くいきたいところだったが、ライバルと比べて圧倒的な速さは発揮できず。順位も23番手につけるという状況が続いた。
レース全体の折り返しを過ぎた56周目に2度目のピットインを行ない、冨林に交代。後半スティントに向かった。
しばらくすると大きなアクシデントがコース上で発生してしまう。25号車のGRスープラがマシンから白煙を上げて13コーナーのランオフエリアにストップ。燃料ラインに引火したのか、大きな炎が上がり、マーシャルやFROが駆けつけるも火がなかなか消えないという状況になった。
これによりレースは赤旗中断。幸い25号車のドライバーは無事だったが、炎に包まれたマシンは全損状態となってしまった。
事態の収集がつき、レース再開に向けたアナウンスがされたのだが、さらに波乱が起きる。中盤は太陽も顔を出すなど雨の気配をまったく感じることがなかった富士スピードウェイだが、中断の間に雨雲が接近し、大粒の雨が降り出した。これにより急きょ再開時間が合計20分延長されることとなる。
雨は強さを増していき、この日で一番と言って良いほどの豪雨となった。雨具を用意してグランドスタンドで観戦していたファンたちも、堪らず屋根のあるところへ避難するほどだった。
結局、最初の赤旗提示から約45分後にレースが再開された。路面は一気にフルウェットの状態となっているため、特例でレース中断中にウェットタイヤへの交換が許された。もちろん5号車もウェットタイヤを装着し、冨林が再び乗り込んで再開に臨んだ。ただ、ウェットコンディションではライバルを上回れない状況があったのに加えて、細かなマシントラブルも起きており、とにかくゴールを目指してマシンを労りながらの走行を続けた。
そうこうしているうちに雨が止んで3度路面コンディションが回復。冨林は79周目にピットインしスリックタイヤに交換すると最後まで粘り強く追い上げて、18位でチェッカー。満身創痍になりながらも、しっかりと松井やチームとともに450kmを走り切った。
いずれにしてもポイントに手が届かず、意気消沈気味という雰囲気ではあるものの、次の鈴鹿では何とか上位に行きたいと意気込みをみせていた冨林。8月下旬の第5戦鈴鹿で今季初のポイントを狙う。
なお、GT300クラスのトップ争いは11号車のGAINER TANAX GT-Rが、スリックタイヤへの交換タイミングが抜群によく、最後までウェットタイヤで走り切ることを選んだライバルを残り2周で逆転。今季初優勝を飾った。
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