ソニー、世界最高性能のノイキャン性能をアピール
完全ワイヤレス「WF-1000XM5」
WF-1000XM5は、WF-1000XM4の後継機種で、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンの中では最上位機種となる。従来機の特徴を生かしつつ、ノイズキャンセル性能のさらなる向上、本体の小型化と装着感の改善、マルチポイント接続への対応などユーザーの要望に応えた。
最大のポイントは“最高峰”をうたうノイズキャンセル性能だろう。従来機との比較で約20%向上し、JEITA測定基準に則った計測で世界最高性能を誇るという(4月10日時点)。また、後述するようにドライバーが大型化し、チップも高性能化しているが、バッテリー駆動時間を維持しながら本体が小型化、軽量化した。
耳と設置する面を小さく、耳からの飛び出しも抑える形状にして体積は約25%ダウン。従来は片側約7.3gあった重量も約5.9gと約20%軽量化している。従来機では外に出っ張っていたマイクを収め、ミニマルなデザインに。小型化と風切音の低減が可能となっている。また、ケースも小型化。容積が約15%ダウンし、厚みも3mmほど減っている。WF-1000XM4と比べると、かなり薄型になった印象で、ポケットに気軽に入れられるサイズになった。重量も3g程度減っている。
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ソニー渾身の完全ワイヤレス「WF-1000XM5」
ファーストインプレッション
慣れたiPhone 12 Proを接続して、いつも聴いている曲を試聴した。
全域でバランスが取れた音だが、低音はタイトでパンチ感も十分にあって躍動的だ。振動板は大きめだが、緩慢に動くのではなく、きびきびと素早く反応している。楽器音の歯切れもいいと思う。細かい音をよく拾うし、高音域のベルの音も美しい。SHNTIのヴォーカル曲では、声の明瞭感が良く、左右の広がりもよく聞こえた。バックの楽器の音も鮮明だ。Kate Wadeyのジャズヴォーカルでは声の質感に加え、ベースサウンドがふくらまずに聴こえるのもいい。
高音質化処理のDSEEなどは使用しなかったが、基本的な音質はなかなか優秀だと思う。非常に細かい音を抽出し、場の雰囲気を伝えるので、DACに相当する部分が優れているのだろうと考え、統合プロセッサーV2とノイズキャンセルプロセッサーのQN2eのどちらがDACとして機能しているのか聞いてみた。開発者の回答は、QN2eがDACの機能を担当し、24bitの精度を持つということだ。V2はDSEEなどデジタル関連の信号処理のみを担当するという。
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開発者とアーティストが語る
ソニー「WF-1000XM5」
トークショーでは、開発者に加え、ピアニストの山中千尋さんも登壇し、製品を紹介した。
最初にチェックしたのは音楽再生ではなく、曲と曲の間だったそうだ。休符も音楽の一部といった言葉があるが、アーティストならではの視点とも言える。「真空状態というよりは森の中、コンサートの始まる前のような静けさがあり、感動しました」と話す。マーラーの交響曲第5番の第4楽章ではpppから始まる小さな音がしっかりと意識でき、大音響になっても音が割れない点が印象的だったという。
「コンサートホールでは音が割れることは全体にない」一方で「ヘッドホンでは割れるという経験を何度かしたことがある」と山中さんは言うが、ダイナミックレンジの広さに加え、「天上の高いコンサートホールで聴いているような空間」を感じ取ることができたという。
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【実機レビュー】3つの最高クラスを実現!
ソニーのワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」
最新モデルはサイズが小さくなったが、内容がさらに充実している。本機には主に「3つの最高クラス」を実現したスゴいワイヤレスイヤホン。
1つはハイレゾ対応の高音質。ソニーが開発したBluetoothオーディオの高音質伝送技術である「LDAC(エルダック)」に対応したことから、同じLDACで接続できるXperiaやAndroidスマートフォン、ソニーのウォークマンに代表されるハイレゾオーディオプレーヤーに組み合わせると、最高96kHz/24bitの高品位な音楽再生がワイヤレスでも楽しめる。
加えてLDACに対応していないiPhoneと組み合わせる場合でも、ソニー独自のDSEE Extremeという高音質化技術が使える。この機能を専用アプリ「Sony | Headphones Connect」からオンにすると、音楽配信やYouTube、CDから取り込んだ音源などiPhoneで再生するサウンドがハイレゾ相当の音質にアップスケーリングされる。
【実機レビュー】ソニー「1000X」のワイヤレスイヤホン
新旧モデル比較! 買い増しもアリだ
ソニーストアのオンライン直販価格はM4が3万6300円だが、M5は4万1800円に値上がりしている。5500円アップの価値はどこあるのか?筆者は「5つの進化」に注目した。
ひとつは「音質の向上」。キモは「ダイナミックドライバーX」とソニーが名付けた、M5専用に開発した音の心臓部を担うドライバーユニット。ユニットの口径がM4の6mmに対して、M5では8.4mmに拡大している。振動板中心のドーム部と周辺エッジ部の素材を変えることで、すべての帯域に渡ってバランスの良いサウンドを追求した。
M5はノイズキャンセリング機能の消音効果も強化されている。データ上ではM4よりも「約20%のノイズ低減」を果たしているそうだが、比較して聴くと「ノイキャン効果の編み目がきめ細かくなった」ような印象を筆者は受けた。特に人の声と、そこからさらに低い帯域に分布する自動車の走行音、エアコンのファンノイズのように低く、持続的に響くノイズがビシッと抑えられている。
【編集部 小林久】
世界最高峰のノイキャン性能をうたう完全ワイヤレスイヤホン。WF-1000Xシリーズとしては5世代目で、高機能完全ワイヤレスの代表的な存在になりそうです。
音質やノイキャンの部分に注目が集まりがちですが、ここはASCIIや専門誌のレビューにお任せ。個人的に注目したいのは使い勝手の部分です。うなずいて着信に応えたり、話した瞬間に音楽の音量がすっと小さくなって会話がスムーズにできたりとソニーならではの工夫が随所に盛り込まれています。
特に注目したいのはイコライザー機能です。スマホHeadphone Connectの機能がアップデートされ、音楽を再生しながら、推奨の設定を聞き比べ、一番いいのをタップ。それを何回か繰り返すだけで最適なEQを選ぶことができます。パーソナライズはいま、完全ワイヤレスで熱い分野ですが、設定が面倒だと使おうと思う人も減るはず。多機能はEQはできることが増える反面、難しそう、よくわからないといったデメリットも出てきそうです。こういうハードルを大きく下げてくれるのは大きなメリットです。
買ってすぐ楽しい、使い込むともっと楽しい。そんな魅力を持つのがWF-1000XM5ではないかと思っています。
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