ASRockのPro RSシリーズは、「安定性と信頼性のためにビルド(built for stable and reliable)」という設計コンセプトに基づいている。ゲーマー向けの「Phantom Gaming」や手の届きやすいハイエンドで耐久性に優れる「Taichi」、コスパと耐久性を両立した「Steel Legend」よりも、格安でPC自作ができるが信頼性の高いバランスを重視したシリーズになっている。
そんなPro RSシリーズにも、Z790、B760、X670E、B650E、B650と各チップセットに製品を展開しているが、ではコスパを重視するならどの製品が良いのか。まず、組み合わせるCPUを考えると、AMD Ryzenプロセッサーは最新のAM5ソケット対応CPUで、最も安価なRyzen 5 7600で3万円前後。一方で、インテルはLGA1700ソケット対応の第13、12世代CPUは、Core i3なら1万円台から、Core i5-12400なら2万5000円前後で購入できる。
では、CPUをインテルに絞って自作PCでコスパを優先すると、「捻出できるマザーボード予算は2万円前後まで」となることが多い。現行最新プラットフォームでは、2万円のマザーボードというとスタンダードクラスのB760製品になるが、そうした中でもしっかりとした作りでお買い得のものを、見た目もよいものを選びたい。そのため、今回はASRockのインテル第12、13世代向けマザーボードASRock「B760 Pro RS/D4」を紹介したい。
スタンダードマザーであってエントリーにあらず
2万円でも充実の機能を備える
まずB760 Pro RS/D4はスタンダードマザーボードではあるがエントリークラスではない。価格的には2万円弱、1万9000円前後で販売されているモデルで、2万円という予算に対し、少し余裕がある程度だ。
たとえばインテル B760チップセット搭載マザーボードでは1万円台前半のモデルもある。これらエントリーモデルでは、フォームファクタがmicroATX、メモリースロットが2本といったスペック上の制限がつくものが多い。低予算PCを目指す場合はそれらも候補になり得るが、デスクトップPCを組むならATXでメモリースロットは4本……といったニーズの方にはマッチしない。
一方、D4とつくことからご想像のとおり、B760 Pro RS/D4はDDR4メモリー対応モデルだ。DDR4メモリーを使いまわせる人はもちろん、新調する場合でもDDR5メモリーよりは安いので新規に購入するにしてもトータル予算を抑えられる。
また、DDR4対応モデルだから安いということもある。実際、B760 Pro RS/D4のDDR5版であるB760 Pro RSは2万2000円前後なのでDDR5対応モデルは3000円弱高いということになる。ここ数年、為替要因以外でマザーボード価格を押し上げている要因は高速インターフェースにある。
PCI ExpressやM.2のGen4やGen5、DDR5メモリー、USB 3.2 Gen2x2といった規格だ。「ここは妥協できない」という箇所もあると思われるが、この中にあってメモリーは比較的妥協してもパフォーマンスへの影響が小さい箇所と言えるのではないだろうか。
また、担当編集が秋葉原のショップ店員にもB760 Pro RS/D4の魅力について話を聞いたところ、B760 Pro RSはこの価格帯でDDR5版、DDR4版どちらも選択でき、M.2 Wi-Fiも搭載可能。そのうえ、MOSFET周りの発熱も許容範囲でCore i7も利用でき、BIOSの温度制御がデフォルトで100度に変更されているので使いやすい、という回答も得られた。
ほか、PCI Express x16スロットはGen4、M.2もGen4となっている。x16スロットを利用するビデオカードはまだGen4世代であるし、M.2 SSDにはGen5対応製品が登場し始めたがコスパのよい現行のメインストリーム規格を利用する分には困らない。
拡張スロットはGen4 x16のほか、x16形状のGen3 x4、x16形状のGen3 x1、x1形状のGen3 x1がある。ビデオカードの厚みが2スロット内ならすべて、3スロット厚ならx16形状のGen3 x4、x16形状のGen3 x1という、比較的拡張性に優れたスロットレイアウトだ。
M.2スロットはCPU接続のGen4 x4、チップセット接続のGen4 x4およびGen4 x2の3スロット。ストレージとしてはこれに加えてSerial ATA 3.0×4を備えている。多いというほどではないが少なすぎることもなく、チップセット機能をスタンダードに使っていると言えるだろう。
USBはGen2x2こそないものの3.2 Gen2 Type-Cを備えている。一つ言及しておくなら、B760 Pro RS/D4のUSB 3.2 Gen2 Type-Cはフロント用なので、マザーボードで抑えた予算をPCケースに回すとよいかもしれない。
インターフェースはお値段以上と言えるかもしれない。有線LANは2.5gbE(Realtek「RTL8125BG」)。バックパネルにはUSBも豊富で、うち1基はUSB 3.2 Gen1 Type-C。省かれがちなType-Cをしっかり備えている。統合GPUを利用する上で必須の映像出力もHDMIとDisplay Port 1.4ともに備えている。
なお、Wi-Fiは非搭載だが、アンテナ用の穴があるとおり、後付けで搭載できる。Key.EのM.2スロットがあり、ここにASRockからも販売されているWi-Fiオプションキットを装着、バックパネルのアンテナ穴に配線すれば利用可能だ。
ハデさが欲しい方はLEDヘッダーを活用してほしい。4ピンのRGB LEDヘッダー、3ピンのARGBヘッダーを2つずつ搭載している。
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