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ドコモ回線、品質低下の一因は“通信技術”か

2023年08月16日 07時00分更新

「値下げ圧力」が導入遅れの遠因に

 まず、2020年頃の菅政権による「値下げ圧力」によって、各社ともサブブランドを強化し、オンライン専用プランなどを新設した一方、5Gに向けた設備投資が大幅に抑制された感がある。

 また、コロナ禍になったことで、人が集まるところへの設備投資も滞った。

 また、Massive MIMOのアンテナは従来のアンテナと比べると大型で、既存の基地局との併設が難しいようだ。日本の場合、台風や地震などの災害も多く、ビルの屋上に重たい設備を置きたくないというビルオーナーが多かったりする。

 さらにMassive MIMOのアンテナはビルの屋上であれば、端のギリギリのところ、歩道や道路に向けて設置する必要があるため、落下しないよう慎重な工事が必要で、ビルオーナーが嫌がるという理由もある。

 エリクソンではMassive MIMOの小型化を進めているが、なかなか普及しないというのが現状のようだ。そんなことはお構いなしにビルの屋上に設置できる諸外国と日本で、普及率の差が出てしまうというわけだ。

技術力で挽回するには努力が必要

 かつて、日本は「世界でトップレベルのモバイルネットワーク品質」を誇っていたが、いまでは諸外国に大きく出遅れてしまっている状態だ。

 日本政府は6Gに向けて、日本の国際競争力を高めようと旗振りしているが、Massive MIMOの導入率を見れば、明らかに日本は世界に出遅れてしまっている。これから技術力で挽回するには、日本の基地局ベンダーには相当な努力が必要になってきそうだ。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

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