グーグルは、Android 14では、ほぼ最終版と言われるベータ版第4弾をリリースした。正式版は今月中にもリリースされると言われている。
OS標準ミキサーをバイパスできるロスレス USB オーディオ
オーディオ面での注目は「ロスレス USB オーディオ」という機能が入ることだ。Android Developers Blogによると、USBを経由して接続する有線デジタル方式のヘッドホンにおいてロスレス形式を提供できるという。もう少し具体的に書くと、Androidのオーディオ・ミキサー処理をバイパスして出力できる機能のようだ。AndroidスマホにUSBヘッドホンを接続した際に、ミキサーでの再計算をせず、ロスレスデータのままビットパーフェクトの出力ができる。他のOSで排他出力と呼ばれているものに近いと考えられる。
ミキサーとは、OS上で扱うさまざまな音源(48kHzの場合もあれば、32kHzの場合もある)を単一のサンプルレートに再計算するモジュールのことだ。DACに出力するために必要な機能だが、結果として、音が悪くなったり、ビットパーフェクトではなくなったりする。従来のAndroidでは、再生時にミキサーが常に介在していたが、それをバイパスできる。また、ビット欠けなく送信できるため、デジタルデータが含む様々な情報を破壊せず出力できると言う点も重要だ。
Androidのオーディオ機能は、iOSデバイスに比べて進んでいるようにも見えるが、その機能はベンダー側の対応によることが多い。ロスレス USB オーディオによって、標準的にロスレス出力の恩恵が受けられるようになる。
標準機能になることで、オーディオ機能の強化を望みたい
もう少し細かく見ていくと、「AudioMixerAttributes」というクラスがオーディオミキサーに追加される。現状では「MIXER_BEHAVIOR_BIT_PERFECT(ミキサーのビットパーフェクトに関する挙動)」という定数が追加されている(中身は16進数の1)。このMIXER_BEHAVIOR_BIT_PERFECTは、オーディオミキサーの動作がビットパーフェクトであることを示す定数で、フラグが立てるとミキシングが起こらず、オーディオデータがそのままデバイスドライバーを管理するHALに送られるとある。
また、「Added in API level 34」という記載もある。APIレベル34は、簡単に言うと、Android 14のことなので、Android 14のコードには既に実装されていると考えられる。
これまでのグーグルはオーディオ機能には割と冷淡で、USB標準オーディオドライバの実装などもリクエストでようやく搭載され、その後も不具合が続いていた。そんなグーグルが、標準でロスレスオーディオ機能を追加してきたのは興味深い。秋に「Pixel 8」が控えているためかもしれない。こうした機能の追加で、Androidのオーディオ利用がさらに進んでいくことを望みたい。
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