KDDIは31日、7月3日に5G周波数として2.3GHz帯の運用を開始したことを発表した。2024年度中に実際のサービスを開始し、2026年度末までに全国で8300局超の基地局の設置を予定している。
KDDIしか手を挙げなかった2.3GHz帯
放送局の中継用システムと周波数を共用する必要がある
今回運用を開始した2.3GHz帯については、2022年2月に総務省が割当を募集したが、KDDIしか申請せず、同年5月に同社に割当がなされた。40MHz幅と比較的潤沢なうえに、39の国と地域で利用されており、すでに多くの端末でサポートされている(n40)。また、電波が飛びやすい2GHz帯とサブ6の中間的な存在でもあり、KDDI側では携帯事業者にとって扱いやすい周波数帯と表現する。
携帯事業者にとってこのような周波数帯は非常に貴重にも関わらず、KDDIしか申請しなかった理由としては、この2.3GHz帯は放送局がスポーツイベント時などの大規模中継用システム(FPU)としてすでに利用しており、FPUで使っていない場所、時間帯に用いる「ダイナミック周波数共用」が前提で、これまでなかった新たな仕組みを導入する必要があるためと考えられる。
そこでKDDIやKDDI総合研究所などで、放送事業者がFPUの利用を登録すると、干渉が発生する可能性がある範囲や時間帯を計算して、基地局単位で自動的に停波・発射するシステムを研究・開発したという。なお、実際のシステムはARIB(一般社団法人電波産業会)が運用する。
今後は技術的な検証を実施し、2024年度中の実際のサービス開始を予定。トラフィックの増加に備え、通信容量の確保と5Gエリア拡大を進める考えとした。
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