サムスンは26日、韓国・ソウルで新製品発表会「Galaxy Unpacked2023」を開催。縦折り型の折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Flip5」を発表した。閉じたままでも操作できる大型の外ディスプレーをシリーズ初めて搭載した。
1.9→3.4型と一気に大型化された背面ディスプレー
フレックスヒンジ採用で隙間なしの折りたたみに!
Galaxy Z Flip5の主なスペックはチップセットに「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を搭載。このチップセットはGalaxy向けにチューニングを施した専用モデルだ。メモリー構成はメインメモリーが8GBで、ストレージは256GB/512GBの2タイプとなる。
新たに搭載された大型の外ディスプレー「フレックスウィンドウ」は3.4型/748×720ドットで細かい文字もしっかりと表示できる高精細なもの。前モデルのGalaxy Z Flip4は1.9型/512×260ドットで、表示できる情報量は少なくサブディスプレー程度の用途に限られていた。Galaxy Z Flip5なら様々なウィジェットを表示可能で、月間カレンダーもしっかり表示できる。
閉じた状態で本体を側面から見ると、隙間なく閉じることのできる「フレックスヒンジ」採用により本体の厚みが均一となることがわかる。なおGalaxy Z Flip5の閉じたときの大きさは71.9×85.1×15.1mmで、Galaxy Z Flip4と比べて、2mmも薄くなった。手のひらに納まるコンパクトな大きさなだけに、コンマ数mmの差でも握ったときの感覚は大きく異なり、薄くなったことをしっかりと実感できる。一方で重量は187gでこちらは変わっていない。
カメラは1200万画素の広角と1200万画素の超広角を搭載。フレックスウィンドウを使えば本体を閉じたままこれらのメインカメラを使って自撮りをすることも可能だ。カメラ部分の本体からのでっぱり度合いはそれほどでもない。
ヒンジの背中部分を見ると、やはり前モデルより薄くなっていることを感じられる。なお、内蔵バッテリーは3700mAhでこれもGalaxy Z Flip4と変わっていない。日本での発売はまだ未定だが、もしも発売されるなら、(Galaxy S23もそうだったが)写真同様に「Samsung」ロゴが入ることとなるだろう。日本モデルのGalaxy Z Flip4までの「Galaxy」ロゴは貴重な存在となる。
新しいヒンジや背面ディスプレーはより美しい存在に
ピンクに近い明るい紫のカラバリは美しさとかわいらしさ両取り
本体を開くと6.7型/2640×1080ドットのディスプレーが現れる。フロントカメラは1000万画素。開いたときの本体サイズは71.9×165.1×6.9mm、Galaxy Z Flip4が71.9×165.2×6.9mmなので高さがわずかに短くなったものの、大きさはほとんど変わっていない。
隙間の無いヒンジ構造「フレックスヒンジ」は、ディスプレーのヒンジ部分の折り目をどう変えただろうか。Galaxy Z Flip5はディスプレーを折り曲げたときの伸びをヒンジ側に逃がすため、ディスプレーが「くぼむ」部分に筋状のものが見える。本体を正面から見るときはあまり目立たず、斜めから見ると見方によっては筋が見えるが、実用上はあまり気になるものではないだろう。
背面側を見てみよう。フレックスウィンドウは消灯時は真っ黒のパネルに見え、本体下部側のカラーパネルとの色の対比が美しい。カラーパネルは光沢ある仕上げだが、指紋の跡が残ることはない。光沢感はGalaxy Z Flip4より強く、美しさをより際立たせている。
本体のカラバリはミント、クリーム、ラベンダー、グラファイトの4色。Galaxy Z Flip4にも紫系の色「Bora Purple」があったが、Galaxy Z Flip5のラベンダーは紫よりもだいぶピンクに近い明るい色合いだ。ミントとクリームもパステル系の色で、美しさとかわいらしさを両立した欲張りな色仕上げとも言える。
さてフレックスウィンドウは折りたたみスマートフォンの使い方の概念を180度変える大きな進化だ。これまでの縦折りスマートフォンは閉じればコンパクトな大きさになるものの、小さな外ディスプレーでは表示できる情報に限りがあった。閉じたままカメラを起動して写真も撮影できたが、ライブプレビュー画面が小さく臨場感も乏しかった。そのためどうしても開いて使うことが前提となり、「使うたびに開くのは面倒」と思うユーザーもいただろう。
しかし、Galaxy Z Flip5なら本体を開かずともウィジェットやアプリがより便利に使用できるようになった。さらに「く」の時に折り曲げて本体を立てれば、デスク上に置くデジタルツールのような使い方もできる。
フレックスウィンドウは設定の「カバー画面」から細かい設定ができる。壁紙、ウィジェット、画面表示のタイムアウト時間、通知、使用するアプリなどを変更可能。
壁紙はグラフィックだけではなく、時計や天気、カレンダーなどを配置した機能性のあるものも設定できる。Galaxy Z Flip5を閉じたままでも必要な情報をすぐに見ることができるわけだ。また、背景が色付きのウィジェットを表示するとわかるが、フレックスウィンドウはカメラ部分を避けて表示されるため、実表示できる大きさは3.4型の約95%のエリアとなる。
フレックスウィンドウでは本体を閉じたまま内蔵アプリも起動できる。現時点では「ラボ」機能、すなわち開発途中の機能という扱いだが、設定画面から内蔵アプリの「メッセージ」「Maps」「Messengers」「Netflix」「YouTube」の使用のオン/オフを切り替えできる。なお、後からアプリを追加した場合は、この画面にも追加アプリが表示されると思われる(今回のタッチ&トライではアプリの追加はできなかったため、まだ検証していない)。
使用できるアプリはフレックスウィンドウのウィジェット画面の1つとしてアイコンで表示される。ストリーミング動画視聴できるのは便利で、たとえば混雑している電車の中で折りたたんだGalaxy Z Flip5を片手に持って、ヘッドフォンをしながら動画を見ることも可能なのだ。今後はギャラリーの写真や動画も表示できるようになると便利だろう。
なおフレックスウィンドウでカメラを起動する際は、待ち受けまたはホーム画面の右下にあるカメラアイコンから操作する。すぐにカメラが起動し、メインカメラで自撮りできる。カメラは写真や動画の切り替えなど、ある程度の操作も可能だ。
なお、カメラ以外のアプリをワンタッチで起動するように設定もできる。カレンダー、天気、アラーム、ライトなど、標準では6つのアプリから設定可能だ。自分がよく使うアプリを設定するといいだろう。
ケース・カバーも純正品としてさまざまなものが発売される。その中でも着せ替えパネルにNFCを組み合わせたケースは、Galaxy Z Flip5ならではのアクセサリーと言える。背面に装着する透明ケースの内側にNFC搭載の着せ替えパネルを装着。するとそのパネルとリンクしたデザインの壁紙が自動的にダウンロードされ、フレックスウィンドウに表示されるのだ。
この仕組みは、以前「Galaxy Friends」として展開していたものの応用である。Galaxy Friendsでは専用のカバーをスマートフォンに装着すると、壁紙やアイコンなどのテーマセットが自動ダウンロードされて設定できた。Galaxy Z Flip5ではその仕組みをパネル交換という、よりシンプルなものにしている。企業のノベルティーなど多様なパネルの登場が楽しみだ。
ところでサムスンは自社のオンラインストアでもスマートフォンを販売するが、オンラインストア限定のカラーも数色展開される。これらのモデルは店舗では購入できず、オンラインのみの取り扱いだ。Galaxy Z Flip5のオンライン限定カラーはグレイ、グリーン、ブルー、イエローの4色。なおオンライン限定カラーが展開されるのは一部の国の予定だ。
Galaxy Z Flipシリーズは初代モデルの後継となるGalaxy Z Flip3 5Gで外ディスプレーを1.9型として情報表示量を増やし、Galaxy Z Flip4では本体の厚みの薄型化を進めた。Galaxy Z Flip5はそれらの進化の度合いを大きく超える「隙間なしヒンジ」「大型外ディスプレー」の搭載により、まったく新しいモデルに生まれ変わったと感じられた。
Galaxy Z Flip5 | Galaxy Z Flip4(国内版) | |
---|---|---|
ディスプレー | 6.7型有機EL(22:9) 120Hz対応 3.4型有機EL |
6.7型有機EL(22:9) 120Hz対応 1.9型有機EL |
画面解像度 | 1080×2640 720×748 |
1080×2640 260×512 |
サイズ | 71.9×165.1×6.9mm 71.9×85.1×15.1mm |
71.9×165.2×6.9mm 71.9×84.9×15.9~17.1mm |
重量 | 187g | 187g |
CPU | Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy |
Snapdragon 8+ Gen 1 |
内蔵メモリー | 8GB | 8GB |
内蔵ストレージ | 256/512GB | 128GB |
外部ストレージ | ― | ― |
OS | Android 13 | Android 12→13 |
無線LAN | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6 |
カメラ画素数 | 12メガ+12メガ(超広角) イン10メガ |
12メガ+12メガ(超広角) イン10メガ |
バッテリー容量 | 3700mAh(25W対応) | 3700mAh(25W対応) |
Qi | ○ | ○ |
防水/防塵 | ○/×(IPX8) | ○/×(IPX8) |
生体認証 | ○(側面指紋、顔) | ○(側面指紋、顔) |
USB端子 | Type-C | Type-C |
イヤホン端子 | × | × |
カラバリ | ミント、クリーム、ラベンダー、グラファイト (限定モデル)グレイ、グリーン、ブルー、イエロー |
ボラパープル、グラファイト、ピンクゴールド |
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