ポタフェス2023夏の記事でもレポートした「SUPERIOR」は、プロ用のカスタムイヤホンで知られるqdcが開発したエントリークラスの有線イヤホンだ。これまでにも比較的求めやすい価格の製品はあったが、qdcとしては初の1万円台半ばのモデルである。
価格は1万4300円で7月22日の発売だが、すでに直販ショップの初回分は売り切れのようだ。色は赤(Vermilion Red)と黒(Piano Black)が用意されている。
エントリーモデルながらqdcらしさを随所に感じる
SUPERIORは正確な音楽再現を可能とするために、過度特性(トランジェント)を重視した設計にしたそうだ。振動板を駆動するための磁気回路をドライバーの内外にそれぞれ配置することで磁束密度を高めたという。過度特性とは音の瞬間的な変化の特性である。これを正しく再現できると、一般的に楽器の音がリアルに感じられ、チューニングによってはリズムの切れ味が向上する効果が得られる。また、内部の空気圧を段階的に最適化する二層キャビティー構造を採用することで、より音の歪みを減少させているという。
SUPERIORではブランド初のシングルフルレンジダイナミックドライバーを搭載している。直径は10mmで、振動板には真空成膜技術を使用した複合膜を採用している。これは極めて高い均一性を持ちながら、高剛性・高品質・軽量という特徴を持つ。
シェルは3Dプリンティング技術を使用し、qdcらしい装着性の良さを実現したという。フェイスプレートはミラーパネルのようなデザインだ。また、エントリーモデルではあるが、2ピン端子の採用によってケーブル交換が可能となっているのもポイントだろう。4.4mm端子を備えた交換用ケーブルも用意し、価格5500円で別売している。
付属品はキャリングケース、シリコンイヤーピース(S/M/L)、ダブルフランジのシリコンイヤーピース(S/M/L)、ほかにクリーニングツールがついてくる。この価格帯でハイクラスイヤホンのようなダブルフランジのイヤーピースやクリーニングキットが付属するのもqdc製品らしいところではある。
パソコンやスマホとの接続にも適した仕様
実機を用いて音を確かめてみた。装着感はとても良好でぴたりと耳にはまる感覚だ。また軽量なので長時間かけていても気にならない。ケーブルのタッチノイズもあまり感じられない。
標準的な3.5mm端子であり、価格も安いのでノートパソコンにつないで使うのもいいと思えたので、まずはM2搭載のMacBook Airで試してみた。
クリアな再生音で、楽器音の歯切れが良いので躍動感のあるサウンドが楽しめる。また、ドラムロールなどパーカッション/ドラムスの連打が気持ち良く感じられる。基本的には低音が強めのコンシューマー向けサウンドではあるが、いわゆるドンシャリにならず、音の誇張感が強すぎないのはプロメーカーのqdcらしさだと思う。また、かなり低い音もよく出ていて、価格にしてはワイドレンジに感じる。
製品名のSUPERIOR(スーペリア)は“優れた”という意味に加えて、アメリカの五大湖で最大のスペリオル湖にかけてあるとのことだが、確かに低音の深さは、広い湖の深い底のようだ。余裕のある低域再現力があると思う。一方で、誇張は抑えているので、ヴォーカルへの被りが少なくアニソンなどを聞いても比較的声が明瞭に聞こえる。
また、よく聞き込むと低価格モデルにしては音の歪み感が少ないように思える。ここもqdcらしいというべきか。整ったサウンドという印象で、おそらく音楽制作なども意識したM2搭載MacBook Airのイヤホン端子で聞いても違和感は少ない。
感度は100dB SPL/mW(インピーダンスは16Ω)で鳴らしやすいと思う。ここはiPhoneのLightning - 3.5mmヘッドホンジャックアダプタなどを使用してスマホでも扱いやすくしているとのことだ。
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