【ベンチ】史上最速M2 Ultra搭載 約100万円「Mac Studio」ポテンシャルは従来テストでは測りきれない
シングルコアでは遅いというM2 Ultraの意外な弱点
ベンチマークテスト専用アプリとしては、Geekbench(5.4.1)、Cinebenth R23(R23.200)、JetStream 2を使っている。なお、Geekbenchアプリの最新バージョンは6.1.0で、M2 ProとM2 Ultraについては、このバージョンでも計測している。バージョン5と6では、ポイント算出の基準が異なるので単純に比較できない。昨年にM1 MaxとM2 Ultraを計測した際には、まだバージョン6がなかったので、比較できるのはバージョン5の結果のみだ。比較対象がすべてバージョン6で計測できるようになった時点で、採用するGeekbenchのバージョンを切り替えることにする。
それぞれのテスト結果をグラフで確認していこう。
●Geekbench 5 CPU
これは、その名の通り純粋なCPU性能を計測するテスト。まずマルチコアの結果を見ると、それぞれのチップの持つCPUコア数に応じた値を示していて、順当な結果に見える。
それに対してシングルコアの結果は、M2 Proが一番速いという結果となった。世代的にはM1よりM2の方が最適化が進んで速くなったのも理解できるが、それならM2 Ultraがいちばん遅いというのは納得しにくい。M2 Ultraでは、集積度が高くなった分、低めのCPUクロック周波数で運転しているかもしれない。
それを踏まえた上で、マルチコアの結果を見直してみよう。M2 ProとM2 Ultraを比べると、CPUの総コア数も、高性能、高効率、それぞれのコア数もちょうど2倍になっているにも関わらず、マルチコアのCPU性能は約70%増しにとどまっていて、効率はいまひとつだ。
●Geekbench 5 Compute
次にCompute性能を見てみよう。これはGPUによる数値計算のパフォーマンスを評価する。テスト内容は同じはずだが、使用する数値計算のAPIによって、業界標準的なOpenCLとアップル独自のMetal、2種類のテストがある。
グラフの傾向はほとんど変わらないが、より高性能を示すMetalの結果で、チップ間の関係を見てみよう。まず、M1 UltraとM2 Ultraを比べると、GPUコア数は64と76で、割合としては約18.8%の増加。それに対してMetalのポイントは101191と138897で、約37.3%も増加している。これはM1世代のGPUよりもM2世代のGPUの実行効率が、かなり増強されていることを示している。
一方、M2 ProとM2 Ultraの比較では、GPUのコア数は19と74で、ちょうど4倍。Metalのスコアは52495と138897で、約2.65倍だ。同じ世代のGPUでは、コア数を増やしたほどの効果は発揮しにくいということになる。
●Cinebench
Cinebenchは、3Dグラフィックのレンダリング処理にかかる時間を計測するテストだが、その際に使用するのはGPUではなくCPUだ。GeekbenchのCPUテストよりも、より実践的な処理内容と考えられる。
まず、マルチコアの結果から見ると、M2世代の方がM1世代よりもマルチコアの効率が高いことが分かる。M1 UltraとM2 Ultraでは、CPUコア数は20と24で2割増し。ただし高性能コア数は16で変わらないのに、結果はM2 Ultraが約45.4%も速くなっている。
M2 ProとM1 Ultraの差も、Geekbench CPUに比べてかなり縮まっている。M2 ProとM2 Ultraの性能比は約1.84倍で、コア数を考えると少なくともGeekbenchよりは順当な結果と言える。
●JetStream 2
ウェブブラウザー上で動作するJetStream 2(https://browserbench.org/JetStream/)は、主に数値計算の実行速度を評価するもの。ブラウザーに内蔵されたJavaScriptとWebAssemblyの実行環境を使う。ここでは、純正ブラウザーSafariを使ってテストした。
この結果には、これまでに示したテストほど大きな差が現れていない。各機種の関係をよく見ると、CPUのシングルコアの結果に似ていることに気付く。このプログラムは、シングルコアを使って動作すると思われるので、それも当然だ。やはりM2 Ultraがいちばん遅いのは、シングルコアによる単純なCPUテストの結果と同じ理由と思われる。
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