2023年のスーパー耐久シリーズ第3戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」が7月8~9日にスポーツランドSUGOで行なわれ、eスポーツ出身の冨林勇佑選手が乗る41号車「エアバスターWINMAX GR86 EXEDY」は、ST-4クラス3位でチェッカーを受けた。
今回のSUGO大会は、全体を2つのグループに分けて予選・決勝を開催。冨林が乗る41号車はST-4クラスのため、ST-5クラスとST-Qクラスの一部車両とともにグループ2のレースに組み込まれた。
前回の富士24時間レースではマシントラブルに悩まされ、クラス上位を獲得することができなかった。シリーズのクラス王者争いを考えると、今回のSUGO大会で少しでも多くのポイントを獲りたいところ。木曜・金曜の専有走行でマシンのセットアップを煮詰めていった。
雨上がりの予選、冨林は僅差で4位に
この週末は天気が安定せず、走行セッションごとに路面コンディションが目まぐるしく変わっていた。予選日の8日(土)も午前中は雨が強くウエットコンディションの状態が続いたが、午後の公式予選前には雨が上がり、ドライ路面でAドライバー予選が始まった。
今回もAドライバーハンデの導入を考慮して、石井宏尚がAドライバーを担当。タイヤのおいしいところを最大限使うべく、ワンチャンスのタイムアタックに臨んだ。3号車 GR86には届かなかったものの1分35秒390を記録。ST-4クラスで2番手につけた。
続くBドライバー予選では冨林が担当。ST-4クラスのBドライバー予選は、各チームともプロドライバーを起用してアタックしているところもあり、トップ5が0.3秒以内にひしめく僅差となった。その中で冨林は1分34秒574を記録したが、惜しくも4番手という結果に終わった。
ただ、41号車としては2人のタイムを合わせた総合結果でST-4クラス2番グリッドを獲得。ライバルの速さは警戒しなければならないが、クラス優勝の可能性を大きくする予選セッションとなった。
決勝レースはライバルとは違う作戦で攻めたが
トップにはわずかに及ばず……
9日(日)の決勝日は2つのレースを1日でこなすため、グループ2は8時00分からスタート進行が開始され、8時43分にレーススタートが切られた。前日夜にまとまった雨が降った影響でコース上の一部が少し濡れている状態なものの、スタート時には晴れ間も見えていたこともあり、全車ドライタイヤを装着してスタートを切った。
41号車のスタート担当は水野 大。なんとかトップに食らいつこうと1周目からペースを上げていったが、その差は広がっていく一方。6周目には86号車 GR86の先行も許し、3番手に下がった。強力なライバルを相手にしていることもあり、序盤は我慢の展開となた41号車だが、前の2台が早めに1回目のピットストップを済ませたのに対し、41号車は少しピットを遅らせる作戦に出た。
スタートから1時間5分が経過した39周目に41号車が1回目のピットイン。水野から石井にドライバー交代をする。ライバルと違う戦略を取ることで、少しでも逆転の可能性を探ったのだが、セーフティカーの導入などイレギュラーな事態が起きず、トップとの差をなかなか詰められずにいた。
残り53分となった76周目に2度目のピットストップを行ない、冨林がマシンに乗り込んだ。この時点でトップとは45秒近い差がついていたのだが、少しでもポイントを稼ぐべく41号車のエースが本領を発揮していく。
一時は2番手を走る3号車より速いペースで周回を重ね、その差を10秒近くまで縮めたのだが、ライバルも簡単には屈することなく、終盤はまた引き離される展開に。冨林も最後まで諦めずに追いかけ続けたが、逆転には至らず3位でチェッカーを受けた。
目標としていた優勝には手が届かず悔しい結果とはなったが、ポイントランキングでは首位の60号車GR86が今回7位となったことで、ポイント差を縮めることに成功。11.5ポイント差のランキング2位となっている。
開幕戦から我慢のレースが続いている41号車だが、最終目標はST-4クラスのチャンピオンに輝くこと。それをチーム・ドライバーが再確認し、スポーツランドSUGOを後にした。
関係者コメント
■デルタモータースポーツ 田中延男 代表
「60号車とのポイント差を考えると、今回は3位で良かったのかなと思います。今年は、このST-4クラスで冨林とみんなとチャンピオンを獲るというのが最終目標ですから、最終戦がある11月になったときに、どの順位にいるかが重要です。昨年のST-3クラスでもそうでしたし、86/BRZレースでもそうでした。ちゃんと最後でチャンピオンを獲るという計算をして後半戦も戦っていきたいです」
■Aドライバー:石井宏尚選手
「僕はもともとSUGOでの走行距離が少ないのですが、予選でしっかりとアジャストはできていたのかなと思います。ただ、決勝でニュータイヤを履いて満タンでピットアウトした時のペースが思うように上がりませんでした。自分のなかでは上手く走れていたつもりでしたけど、タイムがあまり出てこなかったので、そこが心残りでした。今後しっかりと練習して改善していきたいです。もちろん、チャンピオンは諦めていないです」
■Bドライバー:冨林勇佑選手
「やれることはやったと思います。予選・決勝ともにみんな頑張ってくれましたけど、やっぱり周りの方が速かったなという印象です。それでついた差を考えれば決して悪くなかったのかなと思いますが、まだやらなきゃいけないことは多いですね。ランキングも2位のままで60号車に対して8ポイント縮められたので、このままコツコツと追い上げいけばチャンスは出てくるのかなと思います。とにかく取りこぼしがないようにするのと、どこかで絶対勝つというのが大事になってくると思います。みんなで協力しながら頑張りたいと思います」
■Cドライバー:水野 大選手
「3号車と86号車がスタート直後は速いというのはわかっていたので、そこで無理についていってスティントの後半でペースが落ちてしまってはいけないですし、3時間レースなので色々なバランスを見ながら走らせたつもりでしたけど、ちょっと足りませんでした。3号車にもう少しついていければ、また違った展開になったのかなと思います。最後はしっかりとシリーズチャンピオンを獲得できるように後半戦も戦いですし、どこかで1勝したいですね」
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