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スマホシェア世界一! サムスンの底力を韓国で見た

2023年08月01日 12時00分更新

韓国製品ってパッとしない?
そう思ってた時期が俺にもありました

 一昔前の韓国製品というと、性能も価格も低い、デザインが微妙、日本製品のコピー、そんなイメージがあったかもしれない。だが、そんなイメージはとうの昔になくなっている。

 先日、サムスン電子の折りたたみスマホ「Galaxy Fold」と「Galaxy Flip」の新製品発表会「Galaxy Unpacked」に参加するため、韓国に行ってきた。韓国に行くのは人生で3回目。1回目は10年前くらいに同じくサムスンの発表会で、2回目は2017年にメタリカのアジアツアー(with BABYMETAL)を見に。いずれも冬で、かなり寒かったのを覚えている。しかし、夏の韓国は日本と同じくらい暑かった(熱かった)!

イベント前はUnpacked告知のCMが街中で流れていた

 現在のサムスンはスマホシェアでいうと世界一となっている。日本にいると、どうしてもiPhoneが一番売れていると思いがちだが、グローバルではずっとサムスンが一位だ。エントリーモデルからハイエンドモデルまで、さらに国ごとにローカライズしているモデルも出しているので、様々な国でトップシェアを誇っている。そんなサムスンの技術力の象徴といえるのが折りたたみスマホ。横折りの「Galaxy Z Fold」と縦折りの「Galaxy Z Flip」だ。

 折りたたみスマホはここ数年、8月にニューヨークでUnpackedが開催されていた。さらに、Sシリーズはサンフランシスコと、メイン市場であるアメリカで発表をするのがお約束だったのだ(さらに前はMWCで行なっていた)。だが、今回は1ヵ月早まって7月に、サムスンのホームである韓国での開催になった。

 今回はこれが何を意味するのか、考えてみたい。

サムスンはUnpackedを
なぜ今まで韓国でしなかったのか?

 韓国メーカーにもかかわらず、実は本国でのUnpackedは初開催だった。しかも韓国でのシェアは圧倒的にサムスンなのに。なのに、ずっとアメリカで発表会を行なっていたのはなぜか? アメリカは最大のライバルともいえるAppleの本拠地。iPhoneのシェアは日本と並ぶかそれ以上だ。しかも、ハイエンドからエントリーまで幅広く売れる市場でもあるので、少しでもiPhoneのシェアに食い込みたいところだろう。実際、アメリカ国内のシェアではiPhoneに次ぐ2位を意地している。

 マーケットの規模を考えても、アメリカで発表会をするのは理に叶っている。アメリカのメディアも呼びやすいし、エンタメの国アメリカで大々的にプロモーションするのは華やかでもある。

 にもかかわらず、今回は突然の自国開催。だが今回、韓国に行ってその意味がわかった。

 現在、韓国にはグローバルに誇れるものがたくさんある。Galaxyのサムスンを筆頭に、電気自動車が各国で話題になっている自動車メーカーのヒョンデ、アメリカのビルボードチャートを席巻するK-POP、世界中のNetflixのランキングで上位になる韓流ドラマや映画、韓国コスメなどの美容系などなど、日本でもどれかひとつは目にするだろう(興味あるナシにかかわらず)。

ソウルより広い、グミという場所にあるサムスンの工場。ここのラインでGalaxyが作られる

メディア枠、インフルエンサー枠などに分かれてバスで移動した

 だったら世界中からメディアやインフルエンサーを呼んで、韓国の今、サムスンの今を見てもらおうという強い意志を発表会から感じられた。

 街中のサイネージはUnpackedのCMだらけ、豪華なウェルカムパーティー(前夜祭)でメディアをもてなし、巨大な360度の会場で開催された発表会には500人近いメディア(山根博士予想)とインフルエンサー、さらに韓国芸能人をたくさん呼んで、会場外には芸能人のファンが出待の列を形成し、莫大な数の端末が用意されたタッチ&トライは待つことなく取材できた。正直、こんな規模感の発表ができるのは、スマホメーカーだとAppleかサムスンくらいだろう。いつもUnpackedは圧倒されるのだが、今回は地元韓国の熱量も相まって、いつも以上に圧倒されていた

Unpacked前日のウェルカムパーティーの会場。日本メディアが一番乗りだった

世界中のメディアやインフルエンサーが一堂に会した

発表会に出席する芸能人を一目見ようと、集まった数多くのファン

 さらにビックリしたのは、発表会自体が非常にシンプルだったこと。モバイル部門トップであるTMロー氏の挨拶のほか、端末の説明でサクっと終わったのだった。2月のサンフランシスコでのUnpackedでは、グーグルやクアルコムの偉い人たちが登壇したりしたのだが、今回はそういったゲストはおらず、さらに韓国芸能人もステージには上がらず見ているだけだった。途中でインフルエンサーによる自撮り実演もあったのだが、それも座席で行なっただけだった。

久々の360度ステージになった今回のUnpacked

TMロー氏の背後には韓国スターが勢揃い!

 これだけの規模感の発表会だっただけに、拍子抜けしたのは確かなのだが、商品に対する自信の現われなのだろう。芸能人を出さなくても、別メーカーの偉い人が出なくても、我々の端末はこの説明だけで十分魅力が伝わる、というのがサムスンからのメッセージだと感じた。

獲物を狙う目でステージを見つめる山根博士。一瞬たりともよそ見はしない

 有名タレント呼んで端末を使わせ、商品に興味ない芸能マスコミがお昼のニュースでそのタレントに全然商品と関係ないことを喋らせる、なんていう発表会をよく見る。そう、芸能人を呼ぶと発表会がまた別モノになってしまうのだ。だが、今回のUnpackedではかのBTSのメンバーもいたが、一瞬カメラで抜かれただけで、ずっと着席のままだった。いきなり1曲唱うなんて演出もない。

 新製品発表会という軸をブレさせないまま、あれだけのメンツにあえて何もさせないという企業力を見せつけた形だ。踏めばすぐに300km/h以上出るけど、80km/hくらいでゆっくりクルージングできるスーパーカーの余裕を見せつけるような。少なくとも筆者はそう感じた。

圧倒的完成度で世界中の度肝を抜いたGalaxy Z Flip5

これだけ大きな画面なのに軽量化と薄型化を果たしたGalaxy Z Fold5

 実際、今回発表された新端末はどれも完成度が非常に高く、今後はFoldとFlipの2モデルをフラッグシップにするのでは? と思わされた。折りたたみなんか必要ない、折りたたむ意味がわからない、折りたたみなんか売れない。そんな意見もよく聞く。だが現在、ここまで完成度の高い折りたたみスマホを作れる、技術力のある会社がどれだけ存在するだろうか。

 筆者はK-POPは聴かないし、韓流ドラマも見ないし、韓国車も乗っていない(ただしスマホはサムスン)。それもあるかもしれないが、今回は韓国の文化、そしてサムスンの技術力をこれでもかと思い知らされた韓国取材だった。

クルマも日本車はほとんど走っておらず、ヒョンデとキアを中心にドイツ御三家といった感じ。また、場所柄高級車も多く、ヒョンデの高級ブランド「ジェネシス」のクルマも多かった

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

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