26.5型有機ELゲーミングディスプレー「ROG Swift OLED PG27AQDM」
14万円でもさすがに欲しい!有機ELで240Hz、応答速度0.03msの最強ディスプレーをレビュー
なぜ41.5型と26.5型だったのか?
製品開発のコダワリを聞いてみた
ASUSでは、以前にも有機ELディスプレーの「ROG Swift OLED PG42UQ」(以下、PG42UQ)を発売している。PG42UQは42.5型と大型で、リフレッシュレート138Hz、応答速度0.1msのモデルだ。今回は、国内で2つ目の有機ELゲーミングディスプレーをリリースした形となる。
同社はなぜ、有機ELパネルのゲーミングディスプレーを市場に投入するに至ったのだろうか。今回は、ASUS JAPANのプロダクトマネージメント部部長、黄 尚哲氏にインタビューすることができたので、その辺りをお聞きしてみた。
――なぜ有機ELパネルを採用したゲーミングディスプレーを投入しようと思ったのですか?
黄氏:もともと有機ELはテレビ市場を中心に普及していましたが、色やコントラストの表現力、そして応答速度の高さはゲーミングに応用できるのではと思い、ゲーミングディスプレーとして発売しました。
――41.5型の製品を先に投入したのはなにか理由があったのでしょうか?
黄氏:当初弊社では、海外需要を見越して47.5型と41.5型の製品を企画していました。海外ではクロスプラットフォームで、PCに限らずコンシューマーゲーム機で遊ぶ人も多く、その場合はやや離れた位置にディスプレーを置くことも多いので、大型のディスプレーは都合がいいのです。ただ、PC用に使うとなるとデスク上などに置いて使う場合が多いので、41.5型では少し大きすぎるため、26.5型のサイズを導入することに決めました。
――PG27AQDMは、他の有機ELモデルと異なり解像度を4KではなくWQHDとしていますが、これにはどういった理由があったのでしょうか?
黄氏:PG27AQDMは有機ELを採用していることもあり、価格が14万円前後と同サイズのディスプレーと比べても高額なので、コストパフォーマンスを考えてこのスペックとなっています。ただ、もともと4Kで240Hzのスペックを生かそうとするとPCのパフォーマンスもかなりのものが必要になるので、バランスを取る上では良い調整ではないかと思います。
――IPSなど他のパネルと比べて、有機ELゲーミングディスプレーの開発はどういったところが難しいのでしょうか。
黄氏:やはり、発熱や画面の焼き付きが課題でした。これらを克服するために、ソフトウェアとハードウェア両面から開発を進めました。ハードウェア面では、内部にヒートシンクを搭載することで発熱に対応しています。他社さんですとファンを付けていることも多いのですが、やはりゲームをする上では雑音が気になってしまうと思うので、ノイズを押さえつつ最大限に冷やせるようにヒートシンクを採用しました。これには弊社がマザーボードで培った技術も生かされています。
――焼き付きに関してはどのように対応しているのでしょうか?
黄氏:焼き付きに関しては、DisplayWidget Centerによってソフトウェア面からのアプローチを行なっています。静止画のままだと焼き付きやすいので、しばらく操作していないと、自動で輝度を落とすようにデフォルトで設定されています。また、壁紙のロゴなど静止した部分を認識して、自動的に輝度を落とすといった工夫も行なっています。
――今後、有機ELを採用したゲーミングディスプレーのラインアップは拡充されていくのでしょうか?
黄氏:コアなFPSゲーマーですと、26.5型でもやや大きめに感じるという声もあり、そうなると24.5型などの需要はあると思っています。ただ、現時点ではまだ明確な予定は立っていない状況です。
――有機ELのゲーミングディスプレーは異なるサイズの製品がリリースされていますが、地域によって売れ行きの差などはあるのでしょうか?
黄氏:日本ですと23.5~24.5型あたりが主流で、30%近いユーザーがそのサイズを選ぶのですが、海外ですと27型あたりのシェアが多くなっています。41.5型に関しても、やはり日本より海外での販売のほうが多いですね。そうなると、47.5型は価格やサイズ面から日本での販売はやや難しいかと思い、下のサイズをまず展開して市場の様子を見ることにしたという経緯があります。
――PG27AQDMは、eスポーツプロ選手に評価してもらったりもしているのでしょうか?
黄氏:一般のeスポーツ選手は、使い慣れているリフレッシュレート以外に、24~24.5インチのフルHD解像度を好んで使用している場合が多いです。PG27AQDMは何人かのeスポーツ選手に評価してもらい、ゲームプレイの際に画面がより滑らかかつ鮮やかに表示できることに対して評価をいただいております。
有機ELゲーミングディスプレーが
新たな選択肢として普及する日も近い
ゲーミングディスプレーというと、これまで映像美や視野角に優れたIPS、リフレッシュレートが高いTNあたりが主流となっていたが、今回ASUSから登場した有機ELゲーミングディスプレーシリーズは、市場に新たな選択肢を与えてくれた製品と言える。
リフレッシュレートや応答速度が高スペックで、サイズ的にも設置しやすいPG27AQDMと、大型でスピーカー+ウーファーを搭載したPG42UQ。ゲーム特化ならPG27AQDM、映画なども大画面で楽しみたい人やコンシューマーゲーム機でのゲームが中心の人はPG42UQというように、用途に合わせて選べる選択肢もできた。
今はまだ価格的に万人受けする製品とは言いがたいが、ゲーマーならばかなり魅力的に感じるのは間違いない。また、今後はより安価なモデルも登場するだろう。より良いゲーム体験を求める人は、有機ELゲーミングディスプレーを視野に入れてみてもいいのではないだろうか。
PG27AQDMの主なスペック | |
---|---|
パネル | 26.5型OLED(非光沢) |
解像度 (アスペクト比) |
2560×1440ドット(16:9) |
表示色 | 約10億7370万色 |
輝度 | 通常時最大450cd/m2、HDR時最大1000cd/m2 |
コントラスト比 | 1500000:1 |
視野角 | 178度(水平)/178度(垂直) |
リフレッシュレート | 最大240Hz |
応答速度 | 0.03ms(GTG) |
インターフェース | HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4、USB 3.2 Gen 1 Type-A×2、3.5mmステレオミニジャックほか |
スピーカー | - |
高さ調節 | 0~110mm |
チルト | -5度~+20度 |
スイーベル | +30度~-30度 |
ピボット | -90度~+90度 |
色域対応 | DCI-P3:99%、sRGB:135% |
サイズ(スタンドを含む)/重量 | 605(W)×274(D)×438~548(H)mm/約6.9kg |
その他 | FreeSync Premium、G-SYNC Compatible、HDR 10、VESAマウント(100×100mm) |
実売価格 | 14万円前後 |
■Amazon.co.jpで購入
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