新製品が一同に集うCOMPUTEX TAIPEIは、今後1年間におけるPCパーツ市場の動向を見極めることができます。今年のCOMPUTEXで各社が盛んに謳っていたのがSDGsです。再生プラスチックの利用や梱包材の削減に力を入れており、無駄な資源を排出しないクリーンな社会を目指すことをアピールしていました。
なかでも大きな変化があったのがPCケースです。InWinとCooler Masterが自分で組み立てるPCケースを出展しました。PCの用途が多様化していく中「単一デザインあるいは単一構造のPCケースはもはや時代遅れだ!」というわけです。
ケースの外観とパーツの位置はユーザーが決める!
とくにInWinが参考出展した「ModFree」は、多くのメディアやバイヤーが注目していました。これは、さまざまなサイズのシャーシ(InWinはモジュールと呼んでいます)を組み合わせて自分だけのオリジナルケースを作るというコンセプトです。
従来のPCケースですと、電源ユニットを置く位置は決まっておりそこから動かせません。ラジエーターもしかりで、フロントに設置したいけど収まらないので仕方なくトップに配置するといったことが起きています。
ところが「ModFree」は、電源ユニットを収めたシャーシもラジエーターを収めたシャーシも好きな場所に移動できます。まさに「ボクが考えた最強のPCケース」を具現化できるのです。したがって、外観も長方形だけでなく、正方形、凸型、凹型など好きな形状にできます。
このコンセプトの素晴らしいところは、あとからビデオカードやラジエーターを増設したくなったらシャーシを追加するだけでいいことです。PCケースを買い替えなくて済むので、不要になったPCケースつまりゴミが出ないのです。しかも既存のPCパーツ一式を新しいケースに入れ替えたりする手間もありません。
そのうえ、不要になったシャーシはそれ単体でMini-ITXケースとして再利用できます。PC環境が変わってもPCケースがリサイクルできるので、まさにSDGsなPCケースというわけです。
SDGsに取り組み、梱包材を削減
InWinでは、さらに「DUBILI」と「POC」というPCケースを展示していました。こちらはPCケースを構成するパーツがバラバラの状態で出荷されます。 購入したユーザーは、自身でケースをイチから組み立てる必要があります。プラモデル好きにはたまらないワクワク感があるのではないでしょうか。しかも完成した作品はPCケースとして活用できるのですから、工作好きは大喜びでしょう。
PCケースをバラバラの状態で出荷する最大の理由は専有面積の削減です。PCケースを在庫として保管する場合、ケースの台数分の広さが必要になります。ですがバラバラの状態なら驚くほど梱包をコンパクトにできます。完成品PCケース1台分の面積に数台分のPCケースを置けるのです。しかも梱包材も大幅に削減できますので、ゴミの削減にもつながります。
IKEAがヒントに
Cooler Masterも同様のコンセプトのPCケースを出展していました。同社によると「IKEAの製品を見て思いついた」そうです。たしかにIKEAの家具はユーザーが自分で組み立てる必要がありますが、とてもコンパクトに梱包されています。これは自家用車に家具を入れて持って帰れるように工夫したためといわれていますが、梱包材の削減と在庫面積の削減にも大きく貢献しています。Cooler Masterは、これをPCケースに応用すればSDGsになると考えたわけです。
これからはIKEAの家具のように、PCケースも自分で組み立てるのが当たり前になるかもしれません。もともと自作PCユーザーは“作る”のが大好きな人たちですので、PCケースも楽しんで組み立てるはずです。メーカー側も梱包材の削減などメリットが多いので、まさにWin-Winな製品というわけです。
カスタム水冷や自作キーボードと同様、自作PCケースという新ジャンルが新たに誕生する日が近いかもしれません。
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