週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

宇宙望遠鏡を救え! スペースXとアストロスケールチームが競う延命ミッション

ハッブル宇宙望遠鏡を救うのは日本発の"掃除屋"かもしれない

2023年07月13日 07時30分更新

文● 秋山文野 編集●ASCII

スペースXに堂々挑む、アストロスケールチーム

アストロスケール

 6月30日に東京・墨田区のアストロスケール本社が報道に公開された際、岡田光信代表は「アストロスケールの持つランデブー・ドッキング技術と、モメンタスの持つ近接オペレーションの技術がタッグを組んで挑む」と2社の役割分担を説明した。NASAに提案されたミッションコンセプトでは、小型ロケットを使ってモメンタスの軌道上サービス機「ビゴライド」を打ち上げてハッブル宇宙望遠鏡に近づき、ビゴライドに搭載されたアストロスケールのランデブー・ドッキング機能で捕捉したのち軌道を50km上昇させる、というものだ。

 この延命ミッションの"提案"によって、スペースXとアストロスケール・モメンタスチームが競い合うことになった。NASAによる選定は今後公表されるが、ハッブル宇宙望遠鏡が2025年に高度500kmに到達するという予想は、これ以上高度が下がるとドッキング・延命が難しくなってしまう、いわばデッドラインだ。あまり時間は残されていないため、それほど待たずに結果が判明すると思われる。

 宇宙飛行士輸送や科学衛星の打ち上げでNASAの欠かせないパートナーとなったスペースXに、専門企業のアストロスケール・モメンタスチームはどう挑むのだろう。

 岡田代表は「ハッブル宇宙望遠鏡が開発された当時、衛星は機械ではなく人間が操作することを前提として設計されていたため、修理のような複雑な操作の場合は、人間(宇宙飛行士)が行うことが必要とされていた。(現代の技術があれば)ドッキングして移動させるだけならば、ロボットでも十分にできる。アストロスケールとモメンタスのチームには、宇宙飛行士のリスクを必要としないという大きな利点がある」と自信を見せた。提出された延命ミッションには、ハッブル宇宙望遠鏡の高度を上げた後に周囲のデブリを除去するという、人間には難しいエクストラのサービスまで入っている。日本が関わる宇宙ロボットが、歴史に名を残す科学衛星、ハッブル宇宙望遠鏡の力になってくれると期待したい。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります