週刊アスキー

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親子ワークショップ第2回「みたてモン」をみつけろ!! 切株編

 こんにちは笠尾です。西新宿の街の中にある、自然や人工物など“いろいろなものを別の何かに見立てて絵にして楽しむ”「みたて遊び」を通じて、創造性のトレーニングなどを行っています。

前回の記事はこちら
写真を撮り、セリフを入れて並べたら、写真物語の出来上がり

過去の連載記事はこちら
西新宿を「みたて」で遊ぶ

 6月17日の土曜日に新宿中央公園にて、表題のワークショップ「親子ワークショップ 第2回「みたてモン」をみつけろ!! 切株編」を行い、大変好評のうちに終了しました。今回はその様子をご紹介します。

 すでに次回のワークショップの日程も決まりましたので、まずはそのお知らせをさせていただきます。次回は1日に昼と夜の2回のワークショップを行うことになりました。

親子ワークショップ第3回「みたてモン」をみつけろ! 昼の木編 (無料) 
2023年9月16日(土)14:00
申し込み-> https://tree003.peatix.com

親子ワークショップ第4回「みたてモン」をみつけろ! 夜の木編 (無料) 
2023年9月16日(土)18:00
申し込み-> https://tree004.peatix.com
です。

 一部はいつも皆さんが見ている昼の顔の木々です。夜は、皆さんお一人ずつに、光が直線的に遠くまで届くように加工した懐中電灯で木々を照らして、影も含めて「みたてモン」楽しんでいただきます。

 では、本題に戻りまして、今回実施したワークショップの成果をお知らせします。まずは、当日お渡ししたスゴロク地図を御覧いただきましょう。
こちらです。(部分を拡大しています)
このマップのインタラクティブ版はGoogleMymap上でも見ていただけます。旗のマークがスタートです。

[スゴロクマップの説明]
地図の中の印、赤丸●と白丸◯がスゴロクのコマ代わりになっている立木の位置を表しています。じゃぶじゃぶ池の上にある白丸◯1がスタート地点でして、大きな2本のクスノキが目印になっています。ここでサイコロを振り、そこから順番にコマに見立てた立木をサイコロの目に従って立木を数えながら進んで行きます。今回は、立木はただのコマで、切株をイベントコマにしていますので、切株に出くわしたら、必ずそこでストップし、その切株のイベントカードを引いてもらいます。そして、そのカードの指示に従ってイベントを行ってもらいます。最初に出会うイベントコマは赤丸●7です。

■「新宿中央公園みたてモンすごろくワークショップ」とはナニ?

 これは、新宿中央公園をスゴロク盤に見立てて、自分で歩いて行うスゴロクゲームを作るためのワークショップです。

 つまり、スタート地点でサイコロを振り、出た目の数だけ、スゴロクのコマに見立てた立木や切株を数えながら歩き、イベントコマ(切株)に出会ったら、そこでイベントカードに書いてあるイベントを行い、いち早くゴールを目指すというゲームを作るワークショップなのです。

 スゴロクといえば、その途中にあるイベントをこなすのが一つの楽しみですよね。イベントコマに固定した一つイベントしかないとつまらないので、イベントをカードに描いておき、その複数のイベントカードから一枚が当たるようにしています。そのイベントカードを自分で作るのが、実は今回のワークショップの目的です。

 ですので、このワークショップに参加すると、みんなで作ったイベントカード全種類がもらえるので、いつでも公園に来て遊べるようになります。

 ワークショップに参加するだけで、創造的にもなれてしまうので、楽しみながら創造性トレーにニングができるという公園リアルスゴロクゲームなのです。

■「みたてモン」とは何?

 公園の中にある木立や切株をよく見ているとなにかに似ているなと思うことありませんか?その「なにか」をキャラクターとして絵にしたものを「みたてモン」と呼んでおります。ですので、立木や切株から「みたてモン」を見つけることができたら、その場所をイベントコマにすることができます。今回は、切株中心に「みたてモン」をみんなで探しました。

■ワークショップの流れ

 ワークショップでは、最初に、私が作ったサンプルイベントカードを使って一通り、みんなでスゴロクをやって頂きました。そのあと、お子さんたちが自分で気に入った切株を一つ選び、その切株を何かの動物やモンスターに見立てて「みたてモン」を作り、さらに、それに関係するイベントを考えてもらいました。

 「みたてモン」ができたら、それにまつわるイベントも考えてもらいます。これらをまとめてカードにすると、その切株のイベントカードが出来上がります。

 今回参加してくれたお子さんは、6名でした。皆さん親子でのご参加ありがとうございました。

 「みたて」には、関係のない2つの物の間に類似性を見つけ出す能力が必要です。そして、その力が付くと創造力も大きくなるというわけです。

■みんなの「みたてモン」を見てみよう。

 では、今回作られた「みたてモン」たちを参加者の皆さんに差し上げたイベントカードからご紹介します。

 まずは、アンシェント ドラゴン 0016をご紹介します。元になった切株はほとんど朽ちかかっている切株でした。下の写真では見にくいですが、皆さんならどの部分をどのように見立てますか?

 ともくんは上の切株を下のようなドラゴンの顔にみたてました。

 その結果うまれたイベントカードが下のカードです。イベントは切り株を飛び越える瞬間に願い事を言う(言い終わらないと失敗)というものでした。

アンシェント ドラゴン 0016
●タイプ
 予知
●はっけんしたひと 発見者
 とも
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
切り株を飛び越える瞬間に願い事を言う(言い終わらないと失敗)
●せつめい 説明
古代の遺跡から目覚めた龍
公園の守り神で、願い事を叶えることができる

 とにかく強そうなドラゴンです。しかも、古い切株から来た名前なのだと思いますが、アンシェントドラゴンという名前もかっこよいですよね。

 さらによく見ると、切り株の形を忠実に使っているところが、ともくんらしいのでは? と思いました。たぶん、いろんなことをいい加減にはしない性格ではないかなと思うのです。このワークショップでは、お子さんを観察して、お子さんの得意を伸ばしていくために、どのようなことが得意なのかを見つけることが、お父さんお母さんの仕事でもあるのです。

 次はマッドコアラです。3才のタオくんの作品です。

 これもこの部分がナニに見えたのかを見つけるのは難しいですよね。でもタオくんにはコアラの鼻が見えてきたようなのです。3才のおこさんには見立ては難しいと思いますが、かなり頑張ってくれています。

 カードの中の絵は、少し見にくいので、私がコアラとわかりやすいように、耳と目の輪郭を明確にしてみました。カードのQRコードのリンクから「たおくん」の描いた元の絵そのものも見て頂けますので、元の絵もぜひご覧ください。

マッドコアラ 0014
●タイプ 
 友情
●はっけんしたひと 発見者
 たお
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
なでなでしてあげる
●せつめい 説明
お腹が空いているので、ずっと怒っている

 名前もすごいですよね、ただのコアラではなく、マッドですよ。何に怒りを感じていたのか気になって「たおくん」に聞いてみたら、お腹が空いてマッドになっているとのことで、「めちゃかわいいじゃん」となりました。

 では、次の切株に行きましょう。こちらはきーきちゃんのデカブーになった切株です。元の写真はこちらです。これはそのままでもわかりますよね。

デカブー 0009
●タイプ 
 冒険
●はっけんしたひと 発見者
 きーき
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
鼻を思いっきりふくらませて、ブラックホールに落ちないようにする
●せつめい 説明
鼻の中はブラックホールになっていて
超キケン!

 鼻を思いっきりふくらませて、ブラックホールに落ちないようにできるという発想もすごいと思います。確かにこの鼻には奥深い謎が隠されていそうですよね。デカブーの鼻と頬のピンクの組み合わせが可愛いですね。

 では、次の切株に行きましょう。こちらは、3兄弟で一つの切株を色んな角度から見立ててくれました。一つの切株なのに、人によって違う物が見えてしまう。これぞ、この見立ての醍醐味です。では3人がどの様に切株を見ていたかを見ていきましょう。

 3才のえいたくんは、切株を下の写真のように見て「みたてモン」を作ってくれました。なんとなく食パンに見えてきませんか。というわけで、生まれたのは、食パンの「みたてモン」です。

 6才の直人くんは真上から切株を見ました。そして生まれたのはキノコの「みたてモン」です。

 一番上の8才のお姉さん ゆいちゃんはなんと逆さまに見たそうです。さらに、キリンの頭にはコブが3つおでこの目立つところにあることを知っていたので、光の当たっている真ん中の出っ張りとその両脇の出っ張りも合わせて3つのコブにみたてました、さらにその外側にある出っ張りが耳になりました。

 皆さん是非、対応をよく見てくださいね。

 このように、見てそのまま何かに見える物を探すのではなく、柔らかい頭で、一部分からでも「みたてモン」を考えることに意味があるのです。私達大人もこのような柔らかい頭を取り戻す必要があります。このワークショップは実は大人が子供の発想を学ぶ場でもあるのです。ですので、かならず親子で参加して頂いています。

 では、一つの切株を以上の3つの方向から見た時に生まれた「みたてモン」を見ていきましょう。

 まずは、えいたくんの食パンの「みたてモン」。これも外形が薄くて分かりにくかったので、私が見えやすくしましたが、元の絵もカードについているQRコードからリンクを辿って頂くと見ることができます。この記事の最後に、QRコードの見方を載せておきますので、そちらをご覧ください。

ぱんでパパン 0019
●タイプ 
 冒険
●はっけんしたひと 発見者
 えいた
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
追いかけてつかまえる
●せつめい 説明
「ぱんでパパン」と言いながら逃げていく

 パンは動物やモンスターと言うくくりからは外れていますが、逆に面白い「みたてモン」になっていますね。食パンマンというキャラクターがいますが、食パンマンとはまるで違いますし、「ぱんでパパン」という名前と言い、「ぱんでパパン」と言いながら逃げていくのを追いかけるというイベントと言い、楽しくなる要素が満載ですね。

 次は真上から見たなおとくんの「きのもん」です。真上から見ると、コロッとしている「なめ茸」のような形に見えてきますね。絵になった「きのモン」の様子も可愛いですよね。また、表情も素敵です。

きのもん 0018
●タイプ 
 友情
●はっけんしたひと 発見者
 なおと
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
きのこのポーズをする
●せつめい 説明
くるっとまわり、かわいい顔をして人を幸せにする

 最後はお姉さんのゆいちゃんのキリリンです。兄弟だからなのか、「みたてモン」の表情が似ていませんか? 皆可愛いですよね。

きりりん 0012
●タイプ 
 思考
●はっけんしたひと 発見者
 ゆい
●はっけんび 発見日
 2023.06.17
●イベント
切り株の中から目や口を探す
●せつめい 説明
大きくて、見つかると大騒ぎになってしまうので、逆さになってバレないようにしている

 「きのモン」はあたまの赤い丸がポイントでしたが、こちらは黄色い両脇の耳がポイントですね。また、バレないように逆立ちしているという発想もおもろいですよね。

■カードについて付いているQRコード

 さて、最後にカードについて付けたQRコードについてご説明します。

 カードには、みなさんが描いた「みたてモン」を大きく載せていますが、そのもとになった切株の方は写真が小さいのでよく見えません。しかし、カードについているQRコードを読みますと、Google Mapのマイマップに配置してあるアイコンに飛ぶので、公園内のどこにあるかが分かります。さらに、元になったものの写真も見ることもできます。

 しかし、ちょっとした問題もあります。何故かカードになった「みたてもモン」とその切株がマップの中心に出てこないのです。そこで、自分の「みたてモン」を地図の中心に出す手法をみつけましたのでご紹介します。カードのQRコードをスマホ(iPhone)のカメラで読むと、黄色いリンクボタンが出るのですが、それにタッチしないで、画面の右上端か右下端に出でいるQRコードのアイコンをタッチしてください。

 すると、選択肢の中に「safariで表示」という選択肢が出てきますので、それにタッチしてください。

 すると、地図に移動します。こんどは、「みたてモン」カードの色と同じ「みたてモン」アイコンが画面の中央にきているはずですので、それを確認します。

 この状態で、スマホを横にします。すると、下の写真の画面のようになり、左半分に「みたてモン」スゴロクのルールとスゴロクのコマの説明が出てきます。そして、右半分に「みたてモン」に対応するアイコンが地図の真ん中に出てきます。

 ここで、右半分に出ている地図の中に表示されている、「みたてモン」カードの背景の色と同じ色をした画面中央の丸の中に四角の「みたてモン」アイコンにタッチしますと、このカードの「みたてモン」「きのもん」の絵が出てきます(下図参照)。

 この画面で左に出ている「きのもん」を上にスワイプすると下の写真の画面ように「きのもん」の説明が出てきます。

 一つ前の画面で、上にスワイプしないで画面左に見えている「きのもん」にタッチすると、下の写真の画面のように「きのもん」の全体像が見られます。

 さらにこの画面に出てくる右端にある > マークにタッチすると、「きのもん」が見えた時の方向から見た切株の写真を見ることができます。

 このように、色々な情報を見ることができるので、試しながら御覧ください。

「みたてモン」のタイプについて

 最後に、「みたてモン」のタイプと色の関係を整理しておきます。タイプには5つあります。

 発明タイプ 黄 
 冒険タイプ 赤
 友情タイプ 緑
 思考タイプ 青
 予知タイプ 紫

 実は、この5つは科学的な性格の類型論であるBig5と対応をつけて考えられています。

 発明タイプ 黄 開放性
 冒険タイプ 赤 外向性
 友情タイプ 緑 協調性
 思考タイプ 青 信頼性
 予知タイプ 紫 神経症傾向

 この5つのタイプを頭に入れておくと、初対面の人でもその人がどのタイプなのかをみきわめることができ、そのタイプに合わせてお話することで、話をスムーズに進めることができるようにもなります。

 というわけで、このスゴロクをすると、人間関係も良くなってしまうというすぐれものなわけです。

■「新宿中央公園みたてモンすごろく」関連情報

 いかがだったでしょうか。子供たちの自由な発想は皆さんに憩いのひとときを提供できたのではないかと思います。

 デカブー 0009の切株からスタートして、「新宿中央公園みたてモンすごろく」について紹介する動画を作りました。以下のURLからご覧いただけます。
https://youtube.com/live/QQ94fxOdNBE

 今後も関連のライブ動画を配信していく予定です。次回は、7月15日(土)16時から以下のURLにてライブ配信する予定です(配信後も見ていただけます)。
https://www.youtube.com/live/9COHoxMvoB0?feature=share

 また、以下のツイッターでも関連情報をお伝えしております。
twitter https://twitter.com/kasao_a是非フォローしてください

■まとめ

 この企画を一言で表現すると、子どものアイディアで作る「リアルな場でのバーチャルなすごろく遊び」、ということになると思います。

 この企画を始めた私としましては、人間がクリエイティブになるために大切な豊かな自然が、このビル街の真ん中、新宿中央公園にあるという希少性を最大限に活かし、皆様の憩いの場としてだけでなく、遊びながらできる創造性教育の場としての新宿中央公園をブランディングしていきたいと考えております。

 まだまだ色々なハードルがありそうなのですが、一つずつ乗り越えて、ワークショツプを行いながら公園をバーチャルなスゴロクのコマで覆えるほどの沢山のコースを皆様と一緒に作りあげるのが夢です。ファンタジーコース、ダンジョンコース、などなど、一緒に作っていきましょう。

 この企画はNPO法人クリエイティブスマイルの資金と会員のボランティアによって運営されており、現在、無料でご参加頂けます。また、協力して頂ける団体様、個人ボランティアの方、寄付等も随時募集しておりますので、下記までご連絡頂けると幸いです。

NPO法人クリエイティブスマイル
https://creativesmile.info/
代表 笠尾敦司
jimukyoku@creativesmile.info

■関連サイト

文/東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

東京工芸大学芸術学学部教授 NPO法人クリエイティブスマイル理事長 笠尾敦司

東京工芸大学芸術学部教授。東京の西新宿にNPO法人クリエイティブスマイルの事務所を持ち、創造性の根源は自然にあると信じ、絵本と自然に向き合うワークショップの開発と実施を行っている。また、夕日の町西伊豆町の山村大沢里の大自然に魅せられ自分で小屋を立てて2拠点生活をしており、現在はタワマン住まいの子どもたちが多い西新宿で、ほぼ唯一の自然と言える新宿中央公園に大沢里からも自然を持ち込み創造性開発の聖地にすべく画策中。

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