週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ストレスなくプレイできる良リマスター

『ゴースト トリック』続・初見レビュー!独特のノリがクセになる名作謎解きアドベンチャー

2023年07月11日 13時00分更新

 カプコンが贈る名作謎解きアドベンチャー『ゴースト トリック』。2010年にニンテンドーDSとiPhone向けに発売され高い評価を受けた名作が、今回HDリマスター版となって登場。

 本作はNintendo Switch/PlayStation 4/Xbox One/PC(Steam)向けで2023年6月30日より発売中。価格は3990円。ここでは先日公開した体験版(2章まで)のプレイレポートに続き、製品版をプレイする機会を得られたのでそのレビューをお届けしよう。

 ASCII GAMESで掲載中の体験版プレイレポートでは、本作の概要や個性的なキャラクターについて紹介している。まだ読んでいない方はあわせて読んでみてほしい。

・運命更新が気持ちいい!『ゴースト トリック』13年越しの名作を初見レビュー
https://ascii.jp/elem/000/004/137/4137440/

※画像はPC(Steam)版のものです

キャラクターのクセの強さがクセになるゲーム!?

 ざっと本作がどんなゲームか説明すると、主人公は《死者のチカラ》というタイムリープができる能力を持っており、事件の際にはさまざまな“モノ”に憑依して動かすことで、目の前で起きた“死”を回避していく。

 大目的は自身の死に関する謎を解き明かすこと。そのために、手がかりとなる女性「リンネ」が殺された過去を書き換え、先へ先へと進んでいく。タイムリミットは死んでからの一夜だけ……という物語が展開。

主人公はスタート時すでに死んでいる。衝撃の幕開けとなる本作は、非常に先が気になる作りとなっていた

モノに《トリツキ》移動していくのが特徴。ほかのモノへの距離が足りない場合はアヤツルことで道を作っていく。さながらパズルを解いているような感覚でゲームを楽しめる

 基本となる世界観や謎解きのチュートリアルが味わえた体験版からは、タイトル画面から簡単にデータの引継ぎが可能。愛すべき犬「ミサイル」とのやり取りを経て、プレイヤーは涙をのんで先へと進む。

良いキャラをしている「ミサイル」。この先で再び会う展開を期待してますとも!(どんなキャラなのかは前のレビュー記事をチェック!)

 第3章以降は、よりクセの強いキャラが多く登場するようになった。シメキリに追われて娘を連れて家出中のマダム、いちいちポージングを決める警部、公園のセキニンシャを名乗るアブなそうな人、同僚にメモを捨てられては「あああああッ!」と叫びながら椅子でクルリと回転する愉快な看守など、もうどこからツッコめばいいのかわからないほど多彩なキャラが登場する。

気取った言い回しで物書きをしているマダム。小うるさい隣人(ミサイル)を、壁ごとつぶそうとするトンデモキャラだった

「シュバッ」と音が鳴るように大きな動作でポーズを決めるカバネラ警部。仕事はできる人……らしい

張り込み中の刑事に電話をかけたハズが、見当違いの人が受け答えしてきたシーン。警部からすればすでに事件である

大きくのけぞりながら、手と足をピーンと伸ばして回転イスでクルリと回る看守。説明しようと文章で書くとアレだが、プレイ中はテンポがいいのでクスッと笑えるおバカキャラになっている

体験版からシステムに大きな追加要素はナシ

 基本的には各ステージにある“モノ”に憑依して移動し、特定のギミックを動かして望む結果へと導く流れでゲームは進む。

 体験版から先に進んでも、大きく追加されたシステム的要素はとくになかった。しいて挙げるなら電話線を伝った移動に「過去では誰かが通話している間しか移動できない」という制限が加わったくらいだろうか。

 もちろん謎解きの難易度は上がっていくが、配信中の体験版を快適にプレイできたなら製品版でも楽しめるのは間違いない。安心してプレイしてほしい。

筆者が少し苦戦したステージ。周囲のギミックを把握するのに時間を使い過ぎて時間切れとなってしまった。だが何度でもリトライできるため、完全に詰むことはないのでご安心を

各章をクリアすると、オマケモードの「イラストアツメ」「BGMアツメ」が更新されていく

特定の条件を達成しなければならない「チャレンジ」もあるので、やり込みが好きな人はぜひ挑戦してほしい

 なお、新要素のミニゲーム《ゴースト パズル》はゲーム本編をクリアすると遊べるようになるとのこと。今回のプレイでは体験できなかったが、ここでしか見られない特別なイラストが解放されるという。

動くパズルこと《ゴースト パズル》。サンプル画像にあるのは第2章のミサイルたちの部屋のようだ

先が気になる展開だがついつい寄り道も

 本作最大の魅力は、テンポのいい掛け合いで紡がれる“物語”だと感じた。プレイヤーは《死者のチカラ》で前述したようなさまざまな人々の話を聞くのだが、お話の本筋である主人公の謎に迫るストーリーと、ヒロインのリンネが追っている事件に関するストーリーが展開する。

 そしてそれらはいつしか共通項を持つようになり……という気になるところで今回のプレイ範囲が終わってしまうのだが(※)、これらの本筋を追うだけでも楽しめるし、それ以外の楽しみ方もあると思う。
※本レビューでは物語の重大なネタバレ回避のため、第6章までのプレイにとどめている

 たとえば、各章でクリアまでの道筋が見えていても、あえてタイムアップしてタイムリープするパターンの会話を見たり、どこどこへ行けと指示されたら全然別の場所へ電話線を伝って移動してみたりと、「脱線した場合」の会話も作り込まれているのが本作の面白いポイントだ。

タイムアップした場合の会話は基本、ヒントになっていることが多い。一発クリアしてしまうと、ここのやり取りは見られない

ちょっとした会話にもヒントは散りばめられている。このメッセージが出た時点でどうあがいても先には進めないので、一旦タイムリープしてやり直すしかないと示している

寄り道した際に聞ける会話。こういうところに考察のヒントが隠されていると思うと、各章が始まるたびにすべての行ける場所を確認したくなってくる

 一見すると本筋とまったく関係ない部分の様子を見て、用意されたいろいろな会話パターンを確認するのも、ゲーマーとして楽しい瞬間だ。なんというか作り手との対話をしている気分になる。

 そんな細かい部分まで作り込まれている『ゴースト トリック』。名作として評価されているタイトルなので、本筋のストーリーはもちろん、隅々までじっくりと楽しんでみてはいかがだろうか。

 

【ゲーム情報】

タイトル:ゴースト トリック
ジャンル:謎解きミステリーADV
販売:カプコン
プラットフォーム:Nintendo Switch/PlayStation 4/Xbox One/PC(Steam)
発売日:発売中(2023年6月30日)
価格:4389円(パッケージ版)/3990円(ダウンロード版)
※Xbox One/PC(Steam)版はダウンロード版のみ
CERO:B(12歳以上対象)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事