フリッカーやダイナミックレンジへの要求が後押し
では、なぜ後発のソニーが、車載用イメージセンサー市場の成長を牽引しているのだろうか。
その理由について、清水社長兼CEOは次のように語る。
「ADAS向けセンサーやリアカメラ向けセンサーなどを展開しているが、なかでもADAS向けセンサーでは画素数が大きいものが需要の中心となっている。ダイナミックレンジが高い製品が求められていたり、フリッカー対策が必要になったりしている。その観点から見ると、選択できる製品はソニーに限定されてくる。ソニーセミコンダクタソリューションズが提供するイメージセンサーは、自動車OEMから技術的な差異化が認められており、これが売上げ増加の背景にある」
技術に対する評価が、大手自動車メーカーで高まっているというわけだ。
「世界の自動車市場は、上位20社で80%のシェアを占めている。この市場において、いかにして商談を獲得していくかを事業戦略のメインに置いている」とし、グローバルトップ20社の自動車OEMとの商談比率は、2022年度には55%だったものが、2023年度には65%に増加するという。また、2025年度には、これを75%に拡大する計画を打ち出していたが、このほど、85%に拡大する計画に修正した。
「成長機会を確実なものにするため、世界中の自動車OEMや、パートナーとのエンゲージメントを強化している。CMOSイメージセンサーやLiDAR向け SPAD距離センサーなどにより、モビリティの安全に貢献していく」とする。
編注:本文の一部をより正しい表現に修正しました。(2023年7月3日)
感動の実現にイメージセンサーの進化は必要
今後のイメージセンサー事業の方向性として清水社長兼CEOは、「業界をリードする技術力と生産能力をさらに磨き上げ、圧倒的なNo.1として、継続的に成長していく。車載や産業・社会インフラ領域に向けても、これまで培った技術を積極的に活用し、着実にシェアを拡大させていく」と語る。
「ソニーのイメージセンサーは、世の中に新たな撮影文化を作りだすことに貢献している。それを支えるのは、人間が持つ感動したいという普遍的な動機である。世界ナンバーワンのイメージセンサー企業として、新たな技術の具現化をリードしていく」と語る。
ソニーが目指す「感動」の実現に向けて、イメージセンサーは進化を遂げるとともに、力強い事業成長を進めることになる。
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