イメージセンサーの4D/5Dとは何か
イメージセンサーにおける4Dや5Dという表現は同社独自のものであり、それについて、清水社長兼CEOは次のように説明する。
「2Dは二次元情報であり、3Dは深度方向(Depth)である。これらの領域では、解像度や感度、ダイナミックレンジといった画素の基礎特性の競争が中心になり、ここにおいても、圧倒的ナンバーワンを目指す」としながら、「それに対して、4Dは時間であり、5Dは波長を指す。4Dではこれまでとは異なる技術を活用したEvent-Based Vision Sensor(EVS)によって、レイテンシーがない高速読み出しや、ブレの除去ができ、動画特性をさらに高めることができる。EVSとRGBセンサーを合体させることで、スマホでもさらに画質を高めることが可能である。フレームレートを高めて、きれいな動画が高速で撮ることが可能になる」とする。4Dにおいては、2年後にはサンプル品を出荷したいとの意向も示した。
また、5Dについては、「偏光イメージセンサーや低照度RGB、NIR(Near-Infrared)などにより、暗いところでも、より良い撮影ができるようになる。2Dの画像情報に加えて、深度、時間、スペクトルといった別次元の情報を付加することで、モバイルイメージングの提供価値をさらに高められる。この技術は、クルマにも応用できる。カメラと車載LiDARなどとの組み合わせによって、雨天時や夜、暗い場所などにおいても、まわりを正確に認識することができる」とする。
「モバイルイメージングの技術進化にはまだ余地があり、ソニーは、それを実現するための手段を数多く有している。これだけ多種多様なセンサー技術を持つ企業はほかにない。センサー技術の総合力は、ソニーの圧倒的な強みになる」と、今後の技術進化に対して強い自信をみせた。
ソニーグループでは、イメージセンサー市場において、2025年度には金額シェアで60%を獲得するという意欲的な目標を打ち出しているが、2022年度にはすでに51%のシェアを獲得し、初めて過半数を突破。「成長機会を確実に捉えることで、60%の金額シェアは達成できると考えている」と、事業成長に対しても自信を見せている。
車載用イメージセンサーはいま伸びている分野
ソニーグループのI&SSの成長戦略において、もうひとつ見逃せないのが、車載イメージセンサー分野での事業成長である。
ソニーは、車載用イメージセンサーでは後発となるが、2021年度から2022年度にかけて、同事業は2倍に成長。「2022年度は売上高を大きく伸ばすことができ、飛躍の年となった。自動車業界におけるプレゼンスを高めることができた」とする。また、2023年度も売上げは2倍で推移しており、勢いが加速しているところだ。
実際、車載用イメージセンサー市場におけるソニーの金額シェアも、2021年度には9%だったものが、2022年度には25%に急拡大している。2025年度の目標として掲げている車載用イメージセンサー市場における金額シェア39%の獲得に向けても、「現時点で、2025年度の商談はほぼ確定しており、大丈夫である」と、目標達成を射程距離に収めていることを明かす。
2030年度までの車載カメラ市場の年平均成長率は約13%と予測されており、成長市場での急激なシェア拡大は、まさにソニーが市場拡大のリーダー的存在であることを示している。
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