昨日(6月20日)はNTTドコモから新しいスマホプラン「irumo(イルモ)」が発表されました。名前から想像すると、あの「ahamo」の兄弟のような気がするのですが、いったいどういうプランなんでしょう? そして、新規受付を停止するOCN モバイルONEとの関係は? ネットでの反応も気になります。スマホについてはド素人なASCII編集部の大谷がスマホ担当の岡本さんに聞いてみましたよ。
irumoはOCN モバイル ONEの後継ではない
大谷:まずは今回発表された「irumo」について教えてください。最近、大手キャリアによる流行っているMVNO対抗格安プランって考えていいんですか?
岡本:MVNO対抗というよりは、UQ mobile(以下、UQ)やY!mobile(以下、ワイモバ)対抗の料金プランと考えればいいと思います。irumoは3GBで割引なしだと月額2167円、6GBで月額2827円。NTTドコモがエコノミーMVNOと呼んでいるOCN モバイル ONEも含めて、最近のMVNOの格安SIMでは、こうした容量では月1000円程度の水準になるので、明らかに大きな料金差があります。
ただ、「dカードお支払い割」(月187円)、「ドコモ光セット割」「home 5Gセット割」(月1100円)の割引が加わることで、3GBが880円、6GBが1540円、9GBで2090円。UQやワイモバも似たような割引があって、やはり料金も比較的近い水準になります。
大谷:なるほど。同じキャリアのいろんなサービスを組み合わせるとけっこう安くなるんですね。
岡本:ただ、UQが固定回線だけでなく「auでんき」のセットで割引が可能だったり、UQとワイモバが家族割引もあるのに対し、irumoは固定回線のセット割のみ。通信量を使い切った後の速度も最大300kbps。UQやワイモバを意識しての後発の割には微妙と感じる人が多いかもしれません。
大谷:OCN モバイル ONEの新規受付が終了になりますが、後継プランになるんですか?
岡本:irumoはOCN モバイル ONEの後継ではないでしょう。単純な月額料金だけじゃなく、かけ放題の通話定額オプションが月1980円(OCN モバイル ONEは月1430円)だったり、定額以外の通話料は30秒あたり22円(同30秒あたり11円)、追加チャージは1GBあたり1100円(同1GBあたり550円)など、これまでのドコモがベースのサービスになっているので。ちなみにOCNの人気サービスだった「050 plus」も新規受付終了だそうです……。
大谷:050 plusなんて、モバイルIP電話の先駆けだったんですけどね。ただ、移行先を考えているOCNモバイルONEのユーザーはちょっと迷うかもしれませんね。
岡本:まあ、新規受付が停止されただけなので、これまで通りOCN モバイル ONEを使い続けてもらってもいいし、他社のMVNOの格安SIMという選択肢ももちろんあるので、そちらを選んでくださいということかもしれません。irumoでアピールしているドコモショップのサポートは要らないし、という人も当然たくさんいると思います。
ahamoがあるのに、irumoは要るの?
大谷:そもそもの話なのですが、ahamoに加え、なぜirumoやeximoが必要になったんでしょうか?
岡本:正直、今回のタイミングで新プランが必要になった理由はよくわかりません。ただ、UQ の新プランもそうでしたが、物価上昇によるコストアップの波は携帯電話の料金にまでついにやってきたということなのかもしれません。
フルサポートのつくeximoの料金を見ると、特に低料金の層に対策を加えた印象です。既存の「5Gギガライト」「5Gギガホ プレミア」(6月30日で新規受付終了)と比べると、無制限で使う人の料金は変わらないですが、1GB以下だと割引無し時に月額3465円が月額4565円に、3GB以下で月額4565円が月額5665円になります。
大谷:ギガ数を抑えているユーザーのベース料金が1000円くらい上がってるんですね。
岡本:はい。家族割引、固定回線セット割を全部加えて、ようやく1GB以下で同じ月額2178円、3GB以下では月額2728円が月額3278円になります。つまり、ドコモには相当の割合でいたであろう低容量帯のライトユーザーには実質的な値上げになっています。そもそも固定回線のセット割が利く人は、固定回線分でARPUも高いわけですし。
大谷:ということは、irumoって他のプランに比べて結局安いんでしょうか?
岡本:ドコモのサービス、ドコモショップのサポートが受けられるサービスと考えると安いと感じる人も多いと思います。irumoのニュースリリースには「カスタマーサポートなどドコモの高品質なサービスを低廉な料金で利用したいお客さま向けの料金プランです」と書いてあって、実際そのとおりなんだと思います。
ただし、irumoはeximoと違って、「ドコモのフルサービス」ではないので、一部で省略されていたり、使えないサービスもあります。なので、irumoにプラン変更するには長い注意事項があります。
大谷:いやー、これは説明するキャリアショップの店員さんも大変そうというか……。ahamoともまた違うし。
岡本:ちなみにirumoではキャリアメール(ドコモメール)はオプションで月330円です。プラン変更時に同時に申し込まないとアドレスは失効するそうです。必要な人はこの分の料金も加えて計算しましょう。
それでも月額550円プランは必要だったのか?
大谷:irumoに関しては、ネットではあまり評判良くなさそうですね。名前に関してはいろいろいちゃもん付けられそうですが、どこらへんがかみつかれてるんでしょうか?
岡本:実質的な値上げであることに加えて、アピールしている料金は固定回線のセット割が前提になっているからという部分が大きいのではないでしょうか。「他社もやっているではないか」というのは確かにそうかもしれませんが、後発なのに条件が厳しいとなると、個人的にはそうなるのもしようがないように思います。固定回線は乗り換えも難しいですし。
大谷:サービスプランも※だらけですね(笑)
岡本:そうなんですよ。特にirumoについては「通信混雑時・⼤量通信時などに他の料⾦プランよりも先に通信速度の制限を実施する場合があります」という「?」と感じる内容があります。
さらに最安の月額550円の0.5GBプランには「『0.5GB』の通信速度は送受信最大3Mbpsとなります。また、エリアに関わらず、4G(LTE)ネットワークでのご利用となります。」とも書かれています。月額550円のプランはそこまでして必要だったのかとも思います。
大谷:OCNモバイルONEにも月額550円のプランがあったからでしょうかねー。
世間的には物価の高騰が続いているのですが、スマホの料金プランは下がり続けてます。このまま低価格競争が続くのでしょうか?
岡本:この春、各社が店頭での事務手数料を相次いで値上げしましたが、やはり物価上昇の影響は携帯各社にとっても小さくないのだと思います。スマホの料金がどんどん安くなる時代は終わって、ユーザーが自分に必要なものをちゃんと判断してプランを選ぶ時代なのかと。前からずっとそうなんですけどね。実際にahamoはirumoやeximoより割安ですし、他キャリア、MVNOとお手頃なプランはほかにもあるわけですから。
大谷:今回のirumoで他のキャリアも追従したプランを出してくるのでしょうか?
岡本:直接追従するところがあるかどうかはわかりません。ただ、少し話が変わりますが、あらためてワイモバのS/M/Lって、プラン名が単純にわかりやすいですよね。「(他社はともかく)ウチはわかりやすい!」というアピールをしてくるところは出てくると思いますし、もっと出てきてほしい。実際にその競争が健全かなと思います。
大谷:やっぱり、わかりやすいサービスがいいですよね。この記事も読まれたら、次やりましょう。ありがとうございました!
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