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Photoshopの画像生成AIがすごい ついに商用利用もスタートへ

2023年06月12日 07時00分更新

 Adobeが5月23日、生成AIモデル「Adobe Firefly」に、テキストを使って画像を追加・拡張・削除できる「ジェネレーティブ塗りつぶし」機能を追加。Photoshop(Beta)にベータ版の機能として搭載しました。実際に使ってみると、「以前から研究していたとはいえ、やっぱりAdobeが本気を出してくるとすごいな」という感想でした。

「消したり、足したり」30秒程度で

 まず試してみたのは、画像生成AI「Nijijjourney」で作ったいかにも生成が面倒くさそうなサイバーパンクの都市を題材にしたAI画像。画像サイズを横幅を1500ドットくらい広げた後に、生まれた空白を範囲選択して「ジェネレーティブ塗りつぶし」。すると適当に周囲の情報を読み、それっぽい形にイラストを広げてくれます。何もないものからよく作れるものです。

左がオリジナル画像のサイバーパンクの都市。右が左右のサイズを広げて、それぞれの空白に「ジェネレーティブ塗りつぶし」を適応したもの。オリジナル画像の雰囲気はしっかり出ている

 ただ、範囲を広げて生成するとはっきりとわかるのですが、解像度が若干低めなんですよね。これは恐らくAdobe Fireflyの機能がクラウド側で処理をさせているため。応答を早くしているぶん、計算量を爆発させないよう、小さなサイズで生成するという制約を設けているのだと思います。

 また、画面から特定の情報を消して自然な画像にすることも一発でできます。キャラクターの周りを選択範囲で囲み、「ジェネレーティブ塗りつぶし」すると、見事にキャラクターがいなくなってしまいます。それでも、奥行きのある画面を生み出してくれているのです。3種類の提案があり、その中から一番気に入った絵を選ぶことができます。処理にかかる時間は30秒程度。Adobeのクラウドサーバで生成しているために、ローカルPCの性能を気にしなくていいのが大きなメリットです。

左のキャラクターを範囲選択した後、「ジェネレーティブ塗りつぶし」したのが右。違和感なくキャラクターを消し、背景だけの画像を作り出している(生成モデルはBreakDomain)

 「Stable Diffusion」や「Midjourney」など、これまでの画像生成AIは文字通り「画像を生成する」ために使われていましたが、ジェネレーティブ塗りつぶしはPhotoshopらしく写真や画像のレタッチに使うための機能です。仕事で使うイラストを作っていて、人物がいない背景だけのバージョンがほしいときも、ジェネレーティブ塗りつぶしが使えます。しかも「ジェネレーティブレイヤー」としてレイヤー分けされているんです。

 実際に、写真で試されていてわかりやすかったのが梅野隆児さんのツイートですね。人物を消してくれるよう指示すると、見事に誰もいなくなる。逆に誰もいなくなった空間に男の子を出してくれと指示すると、男の子が出てくると。目や足のサイズなどディティールが怪しいところはありますが、足がしっかり接地していたり自然な出来です。「すげえ、どうやってんだ」と驚きました。学習元がAdobe Stockということもあって実写系メインになっているため、現状はアニメ系はあまりきれいに出ない傾向がありますが、今後、多様な用途に使われるであろうことは容易に想像が付きます。

 ただし一定の制限もあり、「Gun(銃)」といった、暴力や性などを示唆するものなどAdobeが「適切でない」とする表現が画像やプロンプトに含まれる場合には、生成されないようにしてあります。

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