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〈後編〉アニメの門DUO 氷川竜介さんと語る『水星の魔女』

『水星の魔女』はイノベーションのジレンマに勝利したアニメだ

ファーストガンダムは、ロボットアニメの常識に挑戦したイノベーターだった。『水星の魔女』はファーストの意志を継いだ、イノベーションにあふれた作品である!

前編はこちら

じつは鬼滅がコンプライアンスに変化をもたらしている?

まつもと 後編は、大きな反響があった第12話Cパートの話題から参りましょう。

氷川 この対談前、2人でひどいこと言ってましたよね(笑) 「みんな『伝説巨神イデオン』(1980年)を見てないからビックリするんだ。イデオンでは何回あんなシーンがあったことか」って。

まつもと Twitterの反応を見ていても、富野さんや『イデオン』の洗礼は浴びていない人が多いなと感じました。

氷川 ここ数年、アメリカのヒーロー映画も含めて、コンプライアンスという枷がありますよね。

 だから、僕が特撮の授業でエレキングの首が飛ぶシーンを見せたらレポートに、「先生、コンプライアンスはどうなっていたんですか?」って。そんな言葉はないです、50年前の特撮だよ、と。でも今はそういう時代なんですよね。

まつもと 『ゴールデンカムイ』(2018年)の第1話を大学の授業で見せたら、「こんな残酷なもの、続きが見られません」みたいなコメントもあってビックリしました。

氷川 一方で、TRIGUNはすごい血しぶきアニメになっていたりするし……(『TRIGUN STAMPEDE』2023年)。

まつもと そうなんですよね。ちょっと不思議な感覚があって。これは別に場を設けて話したほうが良いのかもしれませんが。

氷川 「テレビコードが変わったの?」みたいな感じが。

まつもと 『鬼滅の刃』(2019年)にしても……。

氷川 ああそうか、鬼滅が変えたのか。

まつもと そこは“変えた”という解釈でもアリかもしれませんね。事実関係を確認しないといけませんが、無限列車編もかなりきわどいと言いますか……。

氷川 あんなに血が飛ぶ映画が興収稼ぐのはちょっと変と言えば変なんですよね。変って言うのも失礼だな。前代未聞。やっぱり転換点ですね。

まつもと それを言うと『水星の魔女』の第12話Cパートは本当にビックリしました。それまでの展開からあそこまでやるかという驚きがあったと同時に『あっ、なんか、これは富野さんの匂いを感じる』とか『僕たちのガンダムが帰ってきた!』というか(笑)

 おじさんたちからするとうれしい瞬間でもあり、そこからまたTwitterを見るのが楽しくなっちゃう。「阿鼻叫喚」がトレンドワードになったりもしました。

Twitterトレンドに「阿鼻叫喚」のワードが登場

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