パワーを引き出せるかどうかを
格上のB650マザーと比較する
では、今回の検証環境を紹介しよう。TDP 120WのRyzen 7 7800X3DのパワーをA620マザーがしっかり引き出せるか否かを調べるために、格上のB650マザーと比較することにした。A620マザーとB650マザーでゲームのフレームレートに差がなければ、A620でもRyzen 7 7800X3Dの運用に問題はない、ということになる。そのためビデオカードはハイエンドのRadeon RX 7900 XTXをチョイスし、GPUがボトルネックにならないよう配慮した。チップセットやGPUドライバーは6月1日時点での最新版を使用している。
その他の設定としては、Resizable BARやSecure Boot、コア分離やWindows HD Color(HDR)は一通り有効化。BIOSはRyzen 7000X3Dシリーズで報告された焼損問題に対応したAGESA 1.0.0.7以降のもの。かつ、同社のBIOSで報告された脆弱性問題に対応した最新バージョンを使用している。
| 検証環境 | |
|---|---|
| CPU | AMD「Ryzen 7 7800X3D」 (8コア/16スレッド、最大5GHz) |
| CPUクーラー | AIO水冷、360mmラジエーター |
| マザーボード | GIGABYTE「A620M GAMING X」 (AMD A620、microATX、BIOS F5b) GIGABYTE「B650M AORUS ELITE AX」 (AMD B650、microATX、BIOS F6b) |
| メモリー | G.Skill「F5-6000J3038F16GX2-TZ5N」 (16GB×2、DDR5-5200動作) |
| ビデオカード | AMD「Radeon RX 7900 XTXリファレンスカード」 |
| ストレージ | SUNEAST「SE900NVG3-2TB」 (2TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
| 電源ユニット | Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」 (1000W、80PLUS Platinum) |
| OS | Microsoft「Windows 11 Pro」(22H2) |
A620M GAMING Xとの比較用に調達したGIGABYTE「B650M AORUS ELITE AX」。AORUSの名を冠しているだけにA620M GAMING Xよりも“格上”だけあって、CPUやM.2スロットのヒートシンクが重厚である。実売価格は4万円前後
マザーをサイドバイサイドで比較すると両者のコンセプトの違いがよく分かる。A620M GAMING Xにするか、2万円程度上乗せして上位のB650M AORUS ELITE AXにするか、悩ましいところだ
Ryzenを安心して使うにはSoC電圧の制限をかけたBIOSが必要になる。6月初頭時点ではF5aがその条件を満たすBIOSになる(筆者はずっとコレを待っていた!)が、脆弱性にも対応したF5bを導入した。F4系列のBIOSからはなぜかBIOS画面上から更新できなかったため、Q-Flash Plusを使って事なきを得た
CPUパフォーマンスは誤差程度
ゲームのパフォーマンスの前に、Ryzen 7 7800X3Dを全力で回してみて性能に差が出るかを検証してみたい。まずは定番「CINEBENCH R23」のスコアー比べだ。
A620環境のスコアーの方が微妙にB650環境よりも低いが、この程度ならCINEBENCH R23では誤差と割り切ってよいレベルだ。このテストは1つデータをとるのに10分以上処理が続くため、ある程度CPU温度が上がったうえでのスコアーとなっている。実ゲームではCINEBENCHほどにCPUを使うことはほぼないため、A620マザーでもTDP 120WのRyzen 7 7800X3Dのフルパワーは難なく支えられると考えてよさそうだ。
もう一つ「Handbrake」を使った検証もしておこう。再生時間約3分の4K@60fps動画をプリセットの“Super HQ 1080p Surround”でフルHDのMP4に書き出す時間を計測した。
こちらもほぼ同じタイムと言ってよい。もっと長尺のエンコードだと差が付く可能性はあるが、スマホで撮った動画をちょっと変換する程度の用途であれば、A620でも十分働いてくれるだろう。
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