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やはりAI重視のNVIDIA基調講演、処理性能1EFLOPSのスパコンも登場

2023年05月30日 08時00分更新

 NVIDIAは、5月30日~6月2日にかけて台湾・台北市で開催される「COMPUTEX TAIPEI 2023」に先駆け、会場となる「台北南港1&2展示ホール」で基調講演を行なった。本講演では、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏が登壇。同氏の公の場でのライブスピーチは約4年ぶりとのこと。

 今回の講演ではAIに関する話題のほか、スーパーコンピューター向けモジュールの「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」(以下、GH200)やそれを搭載したスーパーコンピューターである「NVIDIA DGX GH200」の発表など、ほぼBtoB系の発表に終始した。

序盤にGeForceの話題がでたが、以降はほぼAIやサーバー向け製品の発表となった

ゲームのNPCにAIで命を吹き込む「ACE for Games」

 最初に発表したのは、カスタムAIモデルファウンドリーサービス「NVIDIA Avatar Cloud Engine for Games」(以下、ACE for Games)。ACE for Gamesは、同社の3Dデザインコラボレーションプラットフォームである「NVIDIA Omniverse」上に構築されている。ACE for Gamesを使用することで、ゲーム上のNPCにAIを用いた自然な会話をさせることが可能だという。

 ACE for Gamesには、主に以下のような機能が含まれる。

・NVIDIA NeMo
独自のデータを使用した言語モデルを構築できる。言語モデルは、NPCの知識やバックストーリーを考慮してカスタマイズ可能。

・ NVIDIA Riva
自動音声認識とテキストの読み上げにより、ライブで音声会話を可能にする。

・NVIDIA Omniverse Audio2Face
キャラクターのフェイシャル アニメーションをリアルタイムに作成。Unreal Engine 5用のOmniverseコネクターを備え、フェイシャル アニメーションをMetaHumanキャラクターに直接導入できる。

 今回の基調講演では、Convai社と協力して作成したというACE for Gamesを活用したデモ「Kairos」が公開された。この動画では、NPCであるゲームキャラクターが自然なやり取りで応答する様子が見られる。デモについては下の動画をご覧いただきたい。

サーバー向け製品もAIを意識

 GH200は、ArmベースのNVIDIA Grace CPUとHopper GPUアーキテクチャーを「NVIDIA NVLink-C2C」というインターコネクト技術で統合しており、その帯域幅はPCIe Gen 5より7倍高速の900GB/sに達する。高負荷な生成AIやHPCアプリケーション向けに開発されている。

GH200のスペック

  CPU側のメインメモリーには、LPDDR5Xを最大480GB搭載、GPU側にはHBM3を96GB搭載する。基調講演では、GH200の本格的な生産が開始されたことをアナウンスしている。

 スーパーコンピューターであるNVIDIA DGX GH200にはこのGH200が256基搭載されており、処理性能は1EFLOPS。共有メモリーの容量は144TBで、これは2020年に導入された前世代「NVIDIA DGX A100」の最大640GBのGPUメモリーから見れば225倍となる。

NVIDIA DGX GH200のスペック

 NVIDIA DGX GH200は、2023年末までに入手可能になる予定。最初にGoogle、Meta、Microsoftなどのクラウドサービスで試用が可能になる模様だ。

 さらに同社は、サーバー用のシステム「NVIDIA MGX」も発表。NVIDIA MGXでは、GPU、DPU、CPUといったサーバーシャーシの設計を選択でき、HPCやデータサイエンス、大規模言語モデル、エッジコンピューティングなど、それぞれのワークロードに沿ったものに最適化できる。

 今回の講演の中では、Grace CPUを搭載したSupermicroの「ARS-221GL-NR」、GH200を搭載したQCTの「S74G-2U」が発表された。また、日本のソフトバンクもNVIDIA MGXを使用して生成AIと5Gアプリケーションのためのデータセンターを展開する構想があることが明かされた。ほかにも、ASRock Rack、ASUS、GIGABYTE、PegatronなどがNVIDIA MGXを採用予定とのこと。

 基調講演全体の様子は、以下から確認可能だ。

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