今年の「春のヘッドフォン祭 2023」を回って感じたことは、DAPの展示が少なくなったことだ。音源はサブスクのストリーミングが主流になり、スマホからイヤホン端子がなくなるのに伴い、イヤホンも完全ワイヤレスが増えている。
今後、DAPに求められるのは圧倒的な高音質で、接続は4.4mmバランス対応が必須となるだろう。ヘッドホンアンプはDAC内蔵でスマホやノートPCとUSB Cで接続できることが求められる。これから増える兆しがあるのは、スマホに接続する超小型DAC。次期iPhoneがUSB C端子を採用すれば一気に増加しそうな気がする。
10万円超えだがハイコスパなAsrell&Kern「A&norma SR35」
Astell&Kernのハイエンドモデル「SP3000」が採用したのが、AKM4499EXを4基搭載したQuad-DACである。「SR35」もシーラスロジック製「CS43198」を4基搭載したクアッド構成を採用。デュアルDACとクアッドDACの切り替え機能を備え、20時間の長時間再生と高音質を両立した。クアッドDACモードではバランス接続時にSN比130dB、クロストーク-145dBを実現したという。5月発売予定で直販価格12万9980円前後。カチカチと回るボリュームを上げていくとボーカルが浮かび上がる。なめらかで魅力的な音だ。低域の厚みが「SR25」よりも増えてピラミッドバランスがしっかり感じられた。インパクトのある音ではないが、正当進化と言える。
モバイルにもデスクトップにも使えるDAC/AMP Shanling「H5」
ハイコスパでなめらかな音を聴かせてくれるShanlingが、ギリギリで間に合ったというUSB-DAC/AMP試作機「H5」を展示。発売時期価格共に未定だが、ハイエンドモデルの「H7」より小さい型番なので、U10万円になりそうな気がする。ノーマークのモデルだったが、その音の良さに驚いた。ボーカルはなめらかで厚みがあり、明るく輝きのある高域、低域の量感も申し分ない。機能も充実しており、「H7」と同等であればデジタル入力はUSB Cと丸形光端子と3.5mm端子に対応、アナログ出力は3.5mm、4.4mm、6.3mmに加えて、RCAのライン出力を装備。LDAC対応のBluetoothでワイヤレス接続も使える。自宅では据え置きDACとしても使える。モバイルではmicroSDカードに入れた楽曲の再生機能を使ってDAP的な運用もでそうだ。
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