水冷時は本体ファンの騒音が若干抑えられる
水冷ユニットの役目は温度を下げることだが、ファンノイズを緩和するという役割もある。今回は簡易的にiPhoneアプリ「Sound Level Analyzer」を利用してアイドル時およびエンコード時(Media Encoder 2023)のノイズレベルを測定した。DAIV N6-I9G90BK-Aの正面、パームレスト前端から20cmにiPhoneを設置して計測した。暗騒音は約35デシベル。
まずアイドル時は空冷の方がノイズレベルが低い。何も処理をしていない状態であれば、水冷ユニットのポンプやファンが動いているぶん、水冷時の方がノイズレベルが高いのは自明である。
そしてエンコード中は空冷時のファンノイズが一番大きく、2番手に水冷60%、最後に水冷40%という順番になった。空冷時はノートPC用の薄型ファンが全力で回るため、割と耳につくノイズが出る。今回の検証方法だと水冷ユニットを使っても本体側のファンは回転するが、水冷ユニット使用時は本体冷却ファンの音が若干抑えられるようだ。
これだけではピンと来ない人のために、エンコード中のファンノイズの質的違いをスペクトラム分析で見てみよう。これもiPhoneアプリ「SpectrumView」で測定した。
空冷時は周波数が高い方から低い方まで、ほぼ満遍なく水色の部分で埋まっている(音のエネルギーが高い)。これに対し水冷40%では水色の部分がかなり減り、音のエネルギーも相対的に低くなっていることが読み取れる。スジのように見える部分が水冷ユニットのファンと本体ファンの発するノイズの根幹というべき部分だ。
そして水冷60%にすると水色の部分が増え、音が大きくなったことを示している。水冷というと完全にノイズレスであるように思えるかもしれないが、CPUやGPUをフル回転させるエンコード処理では、それなりに音はするのだ、という点を覚えておきたい。
まとめ:水冷ユニットの効果は絶大
以上でDAIV N6-I9G90BK-Aの検証は終了となる。今回の検証は空冷と水冷の違いをあぶり出すのにやや適さない(=処理時間が短い)ものがあったものの、水冷で運用することでパフォーマンスが伸び、さらにノイズレベルも低下(音の性質も違う)するという点は確認できたはずだ。
だが短時間で終了するような処理であれば、水冷ユニットを使わなくても水冷運用時に匹敵する性能を出せるという見方もできる。DAIV N6-I9G90BK-Aのポテンシャルは空冷でも十分高いのだ。
だが本機の価格は50万円以上と決して安いものではない。なのに水冷ユニットは定期的水量チェックが必要という点、本体と水冷ユニットを組み合わせると結局机の上に据え置き運用前提になるうえ、ホースだACアダプターなどでフットプリントも大きい。
必要に応じてノートとしても持ち運べる“デスク据え置きノート”といった感じだろうか。まだ水冷ユニット自体も荒削りなので欠点も多いが、水冷で運用できるノートPCという特別感は格別。ひと味違ったノートPCで創作活動にいそしみたい人にはオススメだ。
(提供:マウスコンピューター)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう