カプコンが贈る謎解きアドベンチャー『ゴースト トリック』。2010年にニンテンドーDSとiPhone向けに発売され高い評価を受けた名作が、今回HDリマスター版となって登場する。
本作は2023年6月30日にNintendo Switch/PlayStation 4/Xbox One/PC(Steam)向けに発売。価格は4389円(パッケージ版)/3990円(ダウンロード版)となる。ここでは発売に先んじてPC(Steam)向け体験版をプレイする機会を得られたので、そのプレイレビューをお届けしよう。
なお、HDリマスター版では現行機にあわせて高解像度化・高フレームレート化が施されている。楽曲もフルアレンジされたほか、イラストやBGMを楽しめるコレクション機能も搭載。さらに、やり込み要素の「チャレンジ」も用意されているとのこと。初めてプレイする人はもちろん、過去にプレイした人も新鮮な気持ちで遊べるだろう。
また、記事の後半には本作のプロデューサーの和泉真吾氏と、ディレクターの丸山敦史氏より回答いただいたメールインタビューも掲載している。こちらもあわせてチェックしてほしい。
※画像はPC(Steam)版のものです
“死”から始まる一夜の物語
本作の主人公は、ゲーム開始時点で死んでいる一人の男。なんとも衝撃的な展開からスタートするものだ。主人公は謎の存在「クネリ」に時を戻す《死者のチカラ》を教えてもらい、死の運命を塗り替えるべく行動を開始する。
ゲームは、モノに《トリツク》ことで移動し、《アヤツル》ことで現世に干渉するというもの。移動はどこでも自由にできるわけではなく、現在トリツイているモノから一定の距離までしか線が伸びないようになっている。
何もしなければ殺し屋の銃はリンネを殺してしまう。それを防ぐため、自転車のベルをナラして驚かせたり、シャダンキ(遮断機)を跳ね上げて銃をはじいたりして死の運命を《更新》していくのが目的となる。
なおその際戻れるのは《死の前の4分間》という制限がある。4分間の死へと至るドラマのなかで必要な情報を集め、死を回避する方法を導き出さねばならない。ただし、何度でもやり直すことは可能なので、根気強く探っていこう。
キャラクターの味が濃くてよい!
物語の設定として死後1日しか主人公の意識はもたないので、一夜の間にさまざまな事件へ介入して死の真相に迫っていくことになる。
体験版ではチュートリアルを兼ねた1章と2章を遊べる。そこで登場したあるキャラクターが、筆者の心をつかんで離さないので紹介したい。
2章ではミサイルとともに死の運命を更新しようとするのだが、なかなかキャラが濃くて面白かった。ほえるのが良くないとわかっていても「それはやめられませんね!」と開き直るところや、主人公とのコントじみたやり取りなどがいい味を出していたと思う。
タイムリープ系の謎解きが好きな人は買い!
筆者は割と過去へ戻って歴史を改変する「タイムリープ(タイムループ)」モノが好物で、本作もとても楽しくプレイできた。2章のクリアまでおよそ1時間程度だったので、謎解きに詰まらなければサクサクとテンポ良く進められるだろう。
個人的には本作における《運命更新》が、タイムパラドックス的にどういうタイプなのかが気になるところ。樹木の枝葉のように複数の世界線へ分岐する《並行世界系》なのか、1本しかない歴史の線を巻き戻って新たな歴史を紡ぎ直す《上書き系》なのか。その答えは製品版をプレイしてからのお楽しみというわけだ。
謎解きの難易度自体は序盤なので判断が付きにくいが、キャラクターの動きにあわせて《アヤツル》する場面があったり、高速で動くモノに《トリツク》を実行したりと、シビアなタイミングを要求されることはあった。
とはいえ、何度でも時を巻き戻してやり直しが可能なので、トライ&エラーを楽しめるなら本作はきっと間違いない作品だろう。今回はPC(Steam)版をプレイしたが、コントローラーにも対応しており、プレイ感覚に不便さはまったく感じなかった。
以前プレイして懐かしいと感じたアナタも、本レビューを読んでくれた初見のアナタも、ぜひ本作『ゴースト トリック』をプレイし、質の良い謎解きを楽しんでみてはいかがだろうか。
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