中国のスマートフォンメーカーのOPPOについて、やや不穏なニュースが出ている。フランスから撤退という憶測が出ているほか、中国内に構える半導体子会社のZekuを閉鎖するようだ。
独自の画像処理エンジンなどを開発していた
半導体部門を閉鎖する!?
ZekuはOPPOが2019年、上海で立ち上げたスマートフォン向けの半導体設計子会社だ。上海のほか4ヵ所に拠点を持ち、「MariSilicon」ブランドで、ISPの「MariSilicon X」、オーディオの「MariSilicon Y」などを発表している。たとえば、ハイエンドスマホの「Find X」シリーズもMariSilicon Xを搭載し、AI処理の性能をアピールしている。
立ち上げた当時は、米国がファーウェイに対し厳しい制裁を開始したことから、OPPOとしては自社で半導体の技術を持つという狙いがあったと予想できる。OPPOはZekuに14億ドル(約1900億円)を投じたとも言われており、Zeku閉鎖を報じたBloombergによると(https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-05-12/oppo-closing-zeku-chip-design-arm-as-smartphone-industry-reels)、200近くの特許を保有していたようだ。
そのZekuを閉鎖する理由について、OPPOは「世界経済とスマートフォン市場の不確実性」としているようだ。
一方で、米国に対する中国への制裁は厳しくなっている。OPPOなどの中国企業は、米国を拠点とする企業の技術が含まれる場合はライセンスを取得する必要がある。1月には、日本とオランダが米国の輸出規制の強化に協力することで合意したという報道も出ている。
Nokiaとの訴訟とも関連して、フランス市場から撤退か?
もう1つのOPPOに関する不穏なニュースはフランス市場から撤退するのではという報道だ。
3月にドイツのジャーナリストがツイートしていたが、フランスのAndroid情報サイトFrandroidが5月、関係者の取材を通じて「フランス市場から撤退か?」と報じた(https://www.frandroid.com/marques/oppo/1663357_oppo-quitte-la-france-on-a-compris-quils-se-barrent-des-vendeurs-temoignent)。
その記事によると、OPPOの営業マネージャーを務めていた人物がFind X、Renosなどの最新機種のフランスでの展開について、「予定はない」と語っているという。また、この人物が所属していたOPPOの営業を請け負う企業が、OPPOで働く外部従業員を一時帰休させていることも確認している。あるスタッフによると、6月30日にOPPOとのサービス契約が終了、店舗にあるOPPO関連のものを撤去することも告げられたという。
Frandroidの問い合わせに対してコメントを拒否したものの、6月30日以降もフランスでの事業活動は継続するという。
市場撤退の大きな要因が、以前にも本連載で紹介したOPPOとNokiaとの特許訴訟だ(「Nokia vs. OPPOの訴訟は、OPPOの敗訴でドイツ市場から撤退も、世界で争いは続く」)。OPPO(とOnePlus)が5G関連特許2件を無断で使用しているというNokiaの主張をドイツの当局が認めたもの。英国でも同様に認められている(英国では販売停止につながるかはまだ不明)。同様の特許訴訟は欧州の複数の国で起こされており、フランスも含まれる。
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