週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ジェネレーティブAIを「MaxでなくSummitで」お披露目したアドビのしたたかさ(西田宗千佳)

アドビのシャンタヌ・ナラヤンCEOは、ジェネレーティブAIの積極導入を発表

 「アドビもジェネレーティブAIを作った」という話を聞いて、驚いた人とそうでない人は明確に分かれそうだ。前者はビジネスを追いかけている人であり、後者はアドビという会社をよく知っている人かな、とも思う。

 ただし、マイクロソフトやグーグルがジェネレーティブAIに取り組むことと、アドビがジェネレーティブAIに取り組むことには違いがいくつかある。そしてそれは、発表自体が「Adobe Summit」というイベントで実施されたことと無関係ではない。

ジェネレーティブAIをアドビも積極展開

 ご存知の通り、アドビはクリエイティブツールの会社である。だから、その中で補助的な役割として、AIを活用していくのは自然なことだ。

 同社は2017年秋、全社的に活用するAI技術のブランドとして「Adobe Sensei」を発表した。もちろん、個々の機能で使うAI技術はそれぞれ異なるが、データや学習基盤は共通。なにより、アドビの各アプリで使えるのが大きい。Senseiの存在が、現在のアドビに行ける差別化点となっている。

アドビはSenseiにもジェネレーティブAIを盛り込んだ

 今回アドビは、Adobe SenseiにジェネレーティブAIの機能を盛り込み、「Adobe Sensei GenAI」としてローンチした。

Adobe Firefly・プライベートベータ版の画面。プロンプトを入力して画像などを生成

 これは、アドビ全体としてのジェネレーティブAI戦略についてのブランド名である。他方で、より用途に特化したジェネレーティブAIとして登場したのが「Adobe Firefly」だ。

 Fireflyは、多くの人が思うジェネレーティブAIに近い。プロンプト(文章)で入力すると、2Dの画像やフォントのエフェクトが生成される。今後、Firefly自体がPhotoshopなどのツールに統合されていく計画もあり、さらに、多数の機能も実装が予定されている。

 おそらく、日本で大きくニュースになっているのはこちらの方ではないだろうか。

 ただし、Fireflyは、アドビが提供するジェネレーティブAIの一部でしかない。その精度や生成する画像の完成度を論評するのは、あまり意味がないことだ、と筆者は感じた。

「Adobe Sensei GenAI」は、非常に広い領域をカバーする

 なぜそのような話になるのか? それはまさに、「Adobe Sensei GenAI」の目指す部分がさらに大きく、「Adobe Summit」というイベントに、よりふさわしいものであるからでもある。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります