マイクロソフトは本格的に、OpenAIを「Copilot(副操縦士)」として、同社の全ての製品に組み込む戦略を拡大している。
チャット検索を含む「新しいBing」や、そのWindows 11/モバイルアプリへの統合が話題となっているが、同社のビジネス領域を考えると、これでもまだ一部でしかない。
3月17日(日本時間)に発表された「Microsoft 365」を中心とした製品へのジェネレーティブAI「Microsoft 365 Copilot」の投入は、マイクロソフトが手掛けるビジネスの中核領域にいよいよ踏み込むと同時に、他社との競合が激しくなっていく予兆でもある。
めんどくさい仕事をAIが助ける時代が目の前にきた
仕事はめんどくさい、やりたくないことの連続だ。
ジェネレーティブAIが注目されるのは、「文章を書く」という、誰でもできそうなことを使い、多数の手間をかけなければやりづらいことを実現する、という部分が注目されている。
今回マイクロソフトは、WordやExcel、PowerPointといったプロダクティビティツールにジェネレーティブAIを取り込み、プロンプトで様々な作業を可能にする。1つ1つは今も、他のツールでできることだと思っている。だが、普段多くの人が使っているMicrosoft 365に含まれるツール群にそのまま機能が組み込まれるのは大きい。
逆に言えば、これを機会に「AIを梃子(てこ)に、プロダクティビティツールの世界へ割り込んでいきたい」と考えていた企業にとっては悪夢だろう。「動きが遅い」と言われていたはずの最大手が、誰よりも機敏に動いているのだから。
アプローチとしては十分に想像できたことで、誰もが待ち望んでいたものでもある。
実際、マイクロソフトが発表する3日前、グーグルも「Google Workspace」のツール群(GmailやGoogleドキュメントなど)に、大規模言語モデル「PaLM」を導入すると発表した。こちらも、草稿を書いたりスライドを自動生成したりと、基本的な機能はマイクロソフトのものに似ている。
現状、どちらもまだテストフェーズであり、一般ユーザーに公開されている状態ではない。デモ動画や静止画を見ると、どちらも実に魅力的だ。だが、実際に使った時にどう感じるかは別の話。実際に試す時が楽しみだ。
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