引き延ばして使うディスプレーを公開!
サムスンディスプレイブース
サムスンディスプレイは「MWC Barcelona 2023」で初めて一般向けにブースを公開し、開発中の3つ折り式ディスプレーや、世界初という引き延ばし式のノートPC向けスライダブルディスプレーなどを展示した。
Flex Sは「S字」型にたたむことから名づけられたもので、2つのサイズが開発中だ。すでに2022年のCES 2022で発表されたものが展示されていた。小型モデルのほうは閉じたときの大きさは6型より小さく、かなりコンパクト。開くと7.2型になる。現時点ではヒンジ部分の強度の関係か本体の厚みはかなりあり、3つに折りたたむとだいぶ厚くなる。
このあたりは稼働モデルとして公開できる最初のバージョンであり、製品化を考えた設計にはなっていないようだ。ただ、展示品を実際に触ってたたみ具合を試すことはできなかった。
ディスプレーの右端は透明になっており、たたんだときに背面側のディスプレーの一部をセカンドディスプレーとして透過させる役目もある。3つ折り式ディスプレーのメリットは現在製品化されている2つ折りディスプレーとは異なり、たたんだときに左端のディスプレーが表に出ることからアウトディスプレーを別途搭載する必要がない。また、大きいディスプレーにしたいときは引っ張るように開けばよく、ディスプレーの切り替え操作も不要だ。
Flex Sはタブレットサイズのものも展示されていた。こちらは閉じると7型前後、開くと14~15型程度の大きさになる。右端の透明部分も幅が狭く、こちらの大きさのほうが実用性を考えると使いやすそうだ。
一方、内側に折りたたむ3つ折り式のディスプレー「Flex G」も展示された。スマートフォンサイズのものは右側のベゼル部分にサムスンのスタイラス「Sペン」が装着できるようになっている。左右のベゼルに幅があるのは強度を持たせるためだろう。そのベゼルにスタイラス収納部分を取り付けるのはいいアイディアだ。
内折り式のメリットはGalaxy Z Fold4などと同じヒンジを2ヵ所に着ければよく、すでに確立された技術で製品化できること。Galaxy Z Fold3 5GからSペン入力にも対応しており、Flex Gはペン入力対応の3つ折り式ディスプレーとして差別化していくのかもしれない。
Flex Gにもタブレットサイズのものがある。完全に開けばこちらも14~15型程度の大きさになるが、若干曲げた状態にすればそのまま机の上に立てておくこともできる。Bluetoothキーボードを接続すれば簡易PCとしても使えるし、ノートPCのセカンドディスプレーにもできるだろう。Flex SとFlex Gは、同じ3つ折り式でも異なった使われ方をされそうだ。
PC用のディスプレーでは2022年9月にインテルが開催した「Intel Innovation 2022」で公開されたスライド式のディスプレー「Slidable Solo」を展示。閉じたときは13型で、左右を手にもって伸ばすとモーターの力を借りてディスプレーが伸びていく。
完全に開くと17型となる。机の広さに応じてサイズを変えたり、持ち運ぶ際には小さくしてかばんに入れるなど「据え置き型」「モバイル型」どちらの使い方でも便利そうだ。
ノートPC用の折りたたみディスプレーは「Flex Note」。17型のディスプレーを真ん中から折り曲げれば13型ディスプレー2枚の状態となり、片側にソフトキーボードやソフトコントローラーを表示してノートPCスタイルで使うこともできる。
このタイプのディスプレーはすでにASUSの「Zenbook 17 Fold OLED」やレノボの「ThinkPad X1 Fold」が市販されている。ノートPCの新しいスタイルとしてサムスンのノートPC「Galaxy Book」シリーズからこのFlex Note搭載モデルが登場するかもしれない。
サムスンディスプレイは、ほかにも折りたたみディスプレー用の超薄型保護ガラス、UTG(Ultra Thin Glass)や、折りたたみディスプレーの表示領域をかくさないアンダーディスプレーカメラの展示もしていた。
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