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次世代MSXインタビュー(後編):

来るよ、自宅にスパコンの時代。西和彦氏、次世代MSXの壮大な展望明かす

2023年03月20日 09時00分更新

安価なスパコンを実現するMSX turbo

 次々に、基板を積み重ねて接続していくことにより、高性能化を進めることができるというのがMSX3の鍵となる設計思想です。

 「あとはMSX3を拡張する形で、スーパーコンピュータを実現したい。今、スパコンで一番大きな問題は値段が高いってことです。64コア128スレッドのCPUとしてRyzen Threadripperがありますけど、デスクトップを組むと120万円くらいはします。もし128CPUのパソコンが1CPU1万円じゃなくて、1CPU1000円だったらみんなうれしいと思う。128スレッドのCPUが12万8000円にできないだろうかと。それにハードがこんなに進歩してるんだからソフトも進化したらいいと思うわけ。そういうスパコン向けのプログラミングできるプラットフォームを提供することができないかと思うわけです」

 BASICを使って簡単に扱えるスパコンから拡張する。西氏の原点のイメージはそこにあるように感じられます。

 「MSX3に12万8000円のMSX turboのボードを接続したら128スレッドのCPUのコンピューターが動くと。もう12万8000円出すと256スレッドのCPU。4枚買ったら、50万円で1024スレッドのCPUが動くと。それ気持ちいいと思いません? とりあえずうち帰ったらスパコンの答えが出てるから早く帰んないといけないんだと。そんな時代が来ると思うんです。家へ帰んないといけないだけじゃなくて、スマホに連動させて『動いてるわぁ〜〜』とか言って、出先から見たりしてるかもしれないけど」

 そうなると、大学などの研究機関が中心となって扱われていくのでしょうか。西氏は違うとします。目標は個人がスパコンを簡単に扱えるようになることです。

 「利用するのは個人だと思う。ベンツ1台分の費用で、4096スレッドが買えるという感じで。奥様方が『うちは4096CPUザマス』『いえいえ、タクは8000超えてるザマス』とか言って。『主人が退職して10000CPU買ったザマス』『シェー!』とか言ってね。もし身近にスーパーコンピューターがあったら使う可能性はたくさんあると思うんです」

 しかし、そうした巨大な計算力を何に使うのでしょうか。

 「それはね。ビデオか、3次元データだと思うんです。専用機器は使わないで、2次元モニターかもしれないけど、メタバースといったものを簡単に扱えるようになるとか。もっとカジュアルな、創造的な、新しい使い方が出てくると思うんです。学術研究だけじゃなく。やっぱりゲームとかかもしれない。だって、三次元のグラフィックディスプレーの研究とか言ってゲーム作ったんだから。昔の人が簡単に触れるようになったら、思ってもいなかった使い道を色んな人が考えていったでしょう。それ、同じことが起きると思うんです」

スパコン構想を語る西氏

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