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禁断のスパイクタイヤ21世紀の雪道を走る

2023年03月05日 16時00分更新

あらためて実感するスタッドレスの偉大さ

 ただ苦手な路面もあります。それは意外なことに積雪路。降ってから固まらず適当に撹拌された雪が特にダメ。10cmも溜まっていたらグリップしません。これはスパイクタイヤの特性というより、このタイヤのデザインに原因があります。

 通常のスノータイヤであればトレッドが雪を踏み固めながら進んでいきます。しかし、このタイヤはスパイクとその土台となる六角形の出っ張りのみ。大地のふわふわした表層と点で接しているわけですから、雪の下の硬い層にスパイクが達しなければ簡単に滑ります。こういうときにはタイヤの幅が10cm以上あるファットバイクが断然有利なはず(次のシーズンはSurlyのIce Cream Truckあたり……)。

 そして何かと疲れるのが舗装路。転がり抵抗が大きく、速度も落ちる。クルマだったら燃費もガタ落ちのはず。それにジジリジリリジジーッという、70年代の北海道でよく聞いたスパイク特有のノイズがすごい。おかげで後ろからクルマが接近しても分かりません。ミラー必須です。

 舗装路でホイールをロックさせるとスパイクが飛ぶらしいので、そこも気をつけなければなりません。交換用のスパイクと着脱工具のセットが純正品として売られていて、タイヤ自体はゴムの経年劣化のみでほぼ消耗しません。スパイクさえ打ち替えてゆけばこの先何年も使えるはずです。

 ただやっぱり舗装路の上をスパイクタイヤで走るのは、昔のことを知っていると罪悪感のようなものも感じますから、いろんな意味でできれば走りたくない。

 となるとスパイクタイヤで気持ちよく走れるのは厳冬期のみ。気温の上がる日中は雪も消えて舗装が露出しますから、道央地区であれば12月下旬から2月末まで。真夏のビーチと同様、たった2ヵ月の儚さ。そこがいい気がします。

 そして最近のスタッドレスタイヤの出来の良さにも改めて感心です。舗装路から氷雪路まで幅広い路面に対応しつつ、苦手なのがツルツルのアイスバーンだけ。年に何度か遭遇する「いまだけタイヤにスパイク生えろ!」と叫びたくなるシーンを除けば完璧です。交差点の手前やコーナーの入口、日の当たらない下り坂には気をつけましょう。

 それではまた。

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