MWC2023でレノボは、モトローラブランドで開発中のローラブル(巻き取り式)ディスプレーを搭載したスマートフォンのコンセプトモデルをメディア向けに公開した。製品そのものは2022年10月にレノボが開催した「Lenovo Tech World 2022」で公表されているのだが、今回はメディア向けに実機の動作デモが実施された。
このコンセプトモデルの発売時期は未定であり、製品としての名前も付けられていない。しかし、モトローラの折りたたみスマートフォン「razr」が過去の名機「RAZR」のリバイバル名として登場したように、このコンセプトモデルもスライド式ケータイ「RIZR Z3」の名前を復刻した「rizr」の名がつけられているようだ。
閉じた状態では5型、伸びると6.5型に
アプリや使い方に応じて伸び縮みがが可能
ディスプレーを閉じたとき(巻き取った状態の時)のサイズは5型、縦横比は4:3に近い。なおディスプレーの解像度などの性能や、チップセット、カメラなどのスペックはコンセプトモデルのため非公開である。またデモは専用のケースを取り付けた状態で行なわれた。
本体左側面にはUSB Type-C端子を備える。ディスプレーが下部側に巻き取り・収納されるため、この位置に配置されているわけだ。なお、ケースから取り出しての展示はなかったため、本体の側面形状は不明だ。
背面を見ると巻き取り式のディスプレイーが裏面に回り込むように取りつけられていることがわかる。つまり長めの1枚のディスプレイが前後に動くとともに、前面側では伸びたり縮んだりと収縮する構造なのである。レノボに先行して開発されたOPPOのローラブルスマートフォン「OPPO X2021」は本体の内側にディスプレイを巻き取っていた。モトローラの製品では裏側の表面にディスプレーが収納されるため、裏側をセカンドディスプレーとして使うこともできる。
ディスプレーを収縮させたいときは、本体右側にあるボタンを押す。するとディスプレーがゆっくりと上に伸びていく。伸びた状態のディスプレーサイズは6.5型だ。壁紙やアイコンの配置もディスプレーの伸びに合わせて上下の間隔などが自動配置される。動作はスムーズだがモーターの音がやや気になった。もちろんこれは開発中の製品であり、製品化されたときは静音モーターを使うなど操作音にも気を使った設計になると考えられる。
ディスプレーが伸びた状態で裏側を見ると、背面に巻き取られていたディスプレーがそのまま前面に送り出され、ディスプレーが移動した分背面にある「M」ロゴの入ったプレートが下方に動いていることがわかる。また、ディスプレーが伸びた部分の裏には「rizr」のロゴがはいっている。
本体を保護する専用カバーはよく考えられた設計になっている。一番関心したのは本体の下部側で、ディスプレーの動きをサポートするローラー部分のあたりを隙間なくしっかりとガード。これならディスプレーの収縮時も傷がつきにくいだろう。
ディスプレーのローラーに当たる曲げられた部分には文字や映像を表示する代わりに光るようで、カバーを通してライティング装飾効果を楽しむことができる。正面から見ると本体の下部が光っているようにも見えて、なかなか美しい。
ディスプレーの伸びた部分はかなり薄い。今回はモトローラのスタッフが本体を操作し、メディア関係者は一切触れることは許されなかった。そのため実際の強度は不明だが、何度も収縮を繰り返してもブレることなく動作していたことから、精度と強度は十分高いと考えられる。
さて、ローラブルディスプレーはアプリケーションに応じてさまざまな応用ができる。たとえば本体を縦向きに持ち動画を視聴中、横向きにすると動画のアスペクト比に応じてディスプレーが自動的に伸びてくれる。
また、メールやメッセージの一覧画面から「返信」を選ぶと自動的にディスプレーが伸び、表示内容を隠さないようにソフトウェアキーボードが表示される。
さらにフロントカメラは上部に隠されているようで、自撮りをするときはディスプレーが下にわずかに動き、裏に隠れているカメラが出てくる。パンチホールもノッチも無い全画面表示可能なディスプレーを実現できるわけだ。
なお、ディスプレーは全部分がタッチパネルであり、背面に巻き取っているときでも着信があれば表示され、タッチで受信もできる。巻き取り式+両画面スマホとしてさまざまな応用が考えられそうだ。
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