PL1を160W設定にすることで性能と静音性を両立
ここからは性能面をチェックしていこう。今回使用した構成では、CPUはCore i9-13900Kを搭載。このCPUは高性能なPコアが8基、高効率なEコアが16基の、合計24コア/32スレッドになる第13世代インテルCoreプロセッサーのハイエンドモデルだ。
インテル標準の電力設定では、プロセッサーのベースパワー(PL1)は125W、最大ターボパワー(PL2)は253W。つまり、高負荷が長時間続く場合は電力効率を高める125W(PL1)で動き、短時間で終わる場合なら性能を重視して253W(PL2)で動作する。
ただし、最終的な電力設定はメーカー次第となる。冷却性能に余裕があり、安定した電力供給もできるという状態であれば、これを超える設定も許容されている。
では、Premium-Line Z790FD/D5の設定はどうなっているか、モニタリングツール「HWiNFO64 Pro」で確認してみたところ、PL1は160W、PL2は4095Wとなっていた。
PL2は4095Wとなっているものの、当然ながらここまで電力が上がることはない。設定上の最大値のため、実質「無制限」という意味だ。
ただし、いくら電力制限を引き上げたところで、CPUクーラーの冷却性能が間に合わなければ、動作クロックは自動で落ちる。そして、性能はその動作クロック次第ということになる。
そこで、実際どのくらいの性能になるのか、ベンチマークソフト「CINEBENCH R23」を使って確かめてみよう。このソフトはCGレンダリング速度からCPUの性能を測ってくれるもの。性能は「pts」という独自単位のスコアーで評価され、このスコアーが高ければ高いほど高性能なCPUとなる。
なお、CGレンダリング処理はスレッドをフルで使ってくれるので。コア数や動作クロックに比例してリニアに性能が伸びていく。そのため、CPUの最大性能を測るベンチマークに適している。
Multi Coreテストが34289pts、Single Coreテストが2289ptsと、PL1を160Wにした場合の一般的なスコアーと近しい結果だった。つまり、本機はCPUを十分冷却できていると判断できる。
なお、多くのCPUレビュー記事では、Core i9-13900KのMulti Coreテストスコアーは38000pts台になっていることが多い。これと比べてしまうと性能が低いように感じてしまうかもしれないが、そうしたレビュー記事ではより強力なCPUクーラーを使用し、PL1の設定を最大の253Wや無制限にしているものがほとんどだ。つまり、騒音は気にせず、あくまで最大性能を見ようとしているに過ぎない。
実際に常用するPCであれば、性能も大事だが、使っていてストレスにならないことも大切だ。それだけに、性能と静音性を両立できるPL1の160W設定は、絶妙なラインだと言えるだろう。
ちなみに、CPUのパッケージ温度もチェックしてみたが、ベンチマーク開始直後のPL2動作時には100度に達してしまい、動作クロックが大きく落ちていた。240mmラジエーターの簡易水冷クーラーでは、さすがに冷却性能が間に合わなかったようだ。
ただし、PL1の160Wに制限されたあとは温度も安定し、安全圏の80度前後で推移。この温度を見ても、やはり160Wというサイコムの設定は絶妙だと言える。
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