SpaceXが運営する衛星ブロードバンドサービス「Starlink」が、月額200ドル(約2万6875円)で国をまたいでインターネットに接続できるグローバルローミングサービスを予定しているようだ。Starlinkの一部の顧客が新サービスの招待メールを公開したことで発覚した。
衛星ブロードバンドサービス「Starlink」とは
Starlinkは、低地球軌道(LEO)を利用した世界初の衛星コンステレーション(多数の人工衛星を協調して動作させる運用方式)で、ブロードバンドインターネットを提供するサービス。2019年に衛星の打ち上げを開始、2023年2月現在3580基以上の量産型小型衛星で構成されており、その後も1万2000個の配置が計画されている。
サービスを利用するには専用のパラボラアンテナが必要。現在日本を含む48カ国でサービスが提供されており、2022年12月には加入者数が100万人を突破したと発表している。
また、2022年ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、SpaceX CEOのイーロン・マスク氏はStarlinkの無料提供をTwitterで表明、公的機関や市民による戦況などのSMS投稿に利用されている。
従来のサービスとの違いは?
これまでのサービスでは基本的にパラボラアンテナを設置した場所でしか受けられず移動は考慮されていなかったが、今回のメールでは、月額200ドル(約2万6875円)および初期費用としてStarlinkアンテナを含むスターターキットの599ドル(約8万490円)を払うことで、「世界中の陸上のほぼどこからでも接続」できるようになるとうたわれている。
しかし、招待メールでは「新しい技術なので短時間の接続不良や接続できない状態が混在することが予想される」とも書かれており、さらに「必要な場合、グローバルローミングサービスは規制当局の承認を条件とし、米国外居住者は、関税や輸入税の支払いを含むStarlinkキットの輸入代理店として行動する責任がある」ともある。
通信規制当局との兼ね合いか
SpaceXの目標は世界中でStarlinkへのアクセスを可能にすることだが、各国の政府や通信規制当局から承認を得る必要がある。
そのためネットワーク自体はすでに世界中に到達しているにも関わらず、サービスを受けることができるのは当局から承認を得ることができた40ヵ国強にとどまっている。
一方、2022年7月には、海洋上のみで動作する船舶向けの衛星ブロードバンドサービス「Starlink Maritime」を米英など11ヵ国でスタート。初期費用1万ドル(約134万3740円)および月額5000ドル(約67万1870円)で提供されている。
今回のグローバルローミングプラン計画は、ローミングを利用することで認可に時間のかかる各国の当局を牽制する意図もあるのではないだろうか。
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