LINEのAIをLINE WORKSの中へ 自然なUXで
ここで、LINE AIカンパニーCEOである砂金信一郎氏が登壇し、LINE WORKSのAI戦略について解説してくれた。AIと一口に言っても、さまざまな種類がある。もちろんLINEもスタンプのレコメンデーションや広告表示の最適化に利用するAIを作っている。しかし、今回は音声やテキスト、映像、画像を認識をしたり、生成するテクノロジーについて紹介してくれた。
「LINEアプリにも文字認識の機能があります。われわれのAIは、しわくちゃのレシートも読み取れるので、経費精算が楽になります。また、なぜか日本の請求書は会社ごとにフォーマットバラバラで文字を読み取るのがけっこう大変です。われわれは日本ではどういうものが流通してるのかをAIに学習させて、重要な情報をきちんとデジタル化するという技術を作ってきました」(砂金氏)
スライドには動画からAIが人物を認識している様子が表示された。オフィス内の録画を解析し、人がどこにいるのか、テーブルや椅子がどこにあるのかを判別しているのだ。このAIをレストランで使えば空席状況がわかるし、オフィスで使えば会議室の利用状況がわかる。
画像と動画だけでなく、音声のAIもリリースしている。すでにスマホのアプリストアで公開されている「Clova Note」というアプリだ。人が話している言葉を録音し、テキストへの書き起こしをしてくれるのが特徴。複数の人が話すような会議でも、話者分離という技術で誰が何を話したかまで分析してくれるのだ。
「今週はChat GPT祭りのような状況ですが、このような生成系AIのテクノロジーは、われわれも『HyperCLOVA』として持ってます。多くの情報を読まなければいけない時に、要約を簡単に作ってくれるのです。言葉をつぎはぎして、明らかに機械が作ったような日本語ではなくて、日本人がすっと読める、滑らかな日本語で仕上げてくれるのが最大の特徴です」(砂金氏)
要約だけでなく、電子メールの代筆も可能だ。LINE WORKSユーザーはチャットでのカジュアルコミュニケーションに慣れているが、メールではきちんとした文章にする必要がある。そんなときも、チャットのように内容だけをカジュアルに支持すると、失礼の内容に敬語や丁寧語を使ってAIがメールを書いてくれるのだ。
生成したテキストを読み上げるAIもあり女性や男性、大人、子供など様々な声を再現できるという。シニアに聞きやすい声なども取り揃えており、場面に応じた声を生成できるようになっている。
「こういった機能を、これがすごいAIだぞ!というよりは、自然なUXの中に溶け込ませてお届けしてきました。今後は、LINE WORKSユーザーの皆さんに、われわれのAIをどんどん使っていただきたい。そのために、ワークスモバイルのメンバーとClovaのメンバーが一緒になって、皆さんの課題解決のお手伝いをしていきたいと考えています」(砂金氏)
LINE AIカンパニーがワークスモバイルジャパンと合併
最後に増田氏へバトンタッチし、大きなニュースが発表された。2023年4月1日付けで、LINEでAI事業を手掛けるAIカンパニーをワークスモバイルジャパンに吸収し、LINE WORKSにLINE CLOVAを統合するという(関連記事:「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン、「LINE CLOVA」の統合を発表)。
「IT技術は使う人のためにどう役に立てるのか、というところが重要です。私たちは現場で働く人のために、どういったプラットフォームであるべきか、そのためにどんなテクノロジーを使えばいいのかということをつねに考えています。私たちは、DXプラットフォームとしてのLINE WORKSを提供してきます。ぜひ、この1年間楽しみにしながら見守っていただきたいなと思います」と増田氏は締めた。
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