2023年2月9日、「LINE WORKS DAY 23」がWITH HARAJUKU HALLにて開催された。2020年ヒカリエで開催されてから、3年ぶりのリアル開催となった。全部で7つのセッションが行なわれたが、今回はそのトップバッターとなるワークスモバイルジャパン代表取締役社長 増田隆一氏による基調講演のレポートをお届けする。
導入は43万社、450万ユーザーへ 「つながる」が増える
今年の「LINE WORKS DAY」のテーマは「つながる はじまる あなたの『いい仕事』」だ。基調講演はまずLINE WORKSのオーバービューから。富士キメラ総研の「ソフトウェアビジネス市場」調査において、有料ビジネスチャット」部門で5年連続国内シェアNo.1と獲得。ITRのITR Marcket View「ビジネスチャット市場」の「有償ビジネスチャット」部門でこちらも5年連続国内シェアNo.1となっている。
LINE WORKSは現在43万社に導入され、450万人のユーザーに利用されているという(関連記事:LINE WORKS、43万社導入・450万ユーザーに拡大したことを発表 ビジネスコミュニケーションの活性化を促進させる)。また、LINE WORKSは社外の人ともつながることができるが、そのLINE WORKS外部接続数は84万とのこと。
「LINE WORKSの利用者数が増えたことで、使い方も少しずつ変わってきています。『つながる』というテーマにも関係がありますが、LINE WORKSを使ってる取引先同士がつながることが増えてきています。仕事を一緒にしている外部の方に『LINE WORKS使ってますか?』と言って『はい、使ってます』という率がどんどん上がってるということです」(増田氏)
LINE WORKSは個人向けのLINEとつながる唯一のビジネスチャットというのが大きな特徴だが、このLINE WORKSがLINEとつながっている接続数はなんと2100万人にのぼるという。特に、小売やアパレル、不動産、製薬業界などで活用されている。
「AI秘書」で仕事をもっと楽に
続いて「まだ皆さんが見たことのないLINE WORKSをお見せしたいと思います」と増田氏はBoo(LINE WORKSのオリジナルスタンプにもなっているオリジナルキャラクターのひとつ)の人形を抱えて登場した。
「最近、ニュースでも毎日のようにAIの話が流れていますが、LINE WORKSもAIを活用していきます。今までのAIは、おなじみAIスピーカーのように、こちらから話しかけたり、こちらから何かしてもらうことをお願いするものが多かったのですが、LINE WORKSのAIは少し違います。LINE WORKSのトークの内容をAIが理解をして仕事をアシストしてくれるという、まさに秘書のような動きをしてくれるAIをLINE WORKSに搭載していきます」(増田氏)
「AI秘書」はまだ開発中でユーザーの手に届くまではしばらくかかりそうだが、社内ではすでに稼働しているとのこと。たとえばトークの中で予定の調整を始めると、画面上部からAI秘書の通知が現れて、「スケジュールを作成しますか?」と聞いてくる。タスクになりそうな会話があれば、「会話内容をタスクにしますか?」と聞いてくるのだ。
普段仕事をしているやり取りの文脈をAIが理解して、次はこうしますか?とアシストしてくれるのは便利だ。すでに増田氏も利用しており、だいぶ仕事が楽になってきているそう。
ワークスモバイルジャパンの親会社は韓国で検索サイトやeコマースを手掛けるNAVERだが、日本のLINE WORKS事業がうまく成長していることを受け、このNAVERがB2Bビジネスに可能性があると気が付いたという。そこで、日本で成功しているLINE WORKSに自分たちが持っている要素技術を統合することになった。
クラウド事業のCloudとAIのCLOVA、LINE WORKS、ブラウザのWHALE、翻訳のPAPAGOなどが統合されていくことになるが、これは未来の話ではなく、もうすでに動いている世界がある、と増田氏。
韓国ソウルから地下鉄で30~40分ぐらいのところに、NAVERの第2社屋「1784」がある。名前は産業革命の1784年から取られているという。このビルではAIやロボット、クラウド、デジタルツイン、ローカル5Gといった要素技術を活用し、どういう働き方を提案できるのかを実験している。
働く人たちをAI秘書がアシストしたり、顔認証で建物の入退室を管理している。マスクをしたままでも99%の認証ができるといい、売店での買い物も可能になっている。会議室ではLINE WORKSからエアコンの温度や照明の明るさを調整できる。ビルの中にあるクリニックの予約から、その問診までLINE WORKSで行なえる。カフェテリアに行けば、飲み物や食べ物をスマートオーダーできる。
配達は「5G ブレインレスロボット」が行なっている。このロボットは脳となる部分を持っていないのが特徴で、5G通信によりクラウドとやりとりして判断する仕組みになっている。高性能なCPUを搭載しないことで、消費電力を抑えられるメリットがあるそう。ロボットのカメラの映像はデジタルツインで作られた建物の中の空間マップとクラウド上で比較され、5G通信を通して、真っすぐ進んだり障害物を避けたりしている。このような近未来的なIT活用が1784では今、実現しているという。
「LINE WORKSと言えばトークとかカレンダーとか、コミュニケーションツールであると認識されてると思いますが、1784においては働く人のリモコンみたいな存在です。AI秘書だったり、モバイル社員証、会議室の制御、デリバリーまで、LINE WORKSの中で行なうことができます。我々は、こういう世界をこれから日本でも目指していきたいと思っています」
LINE WORKSを進化させる時にキーとなるのがAIだ。LINE WORKSとLINE Clovaが組むことによって、新しいその働き方というのを提供したいと考えているという。
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