一般的なPCユーザーの認識では、CPUの性能は「アーキテクチャー」「コア数」そして「動作クロック」の3つに大きな影響を受ける(メモリー帯域だとかキャッシュ云々はアーキテクチャーに含まれるとする)。
そして近年ではコンシューマー向けCPUでも最上位モデルで16コアや24コア、動作クロックも最大6GHzといった領域に入っている。最高のゲームや動画編集環境を整えたいと思ったら、今時の“コア数の多い”CPUを搭載したPCが狙いどころになる。インテルで言えば「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」がこの領域における定番だ。
だがデータセンター向けのCPUでは、CPUの選び方が少々違ってくる。「コンシューマー向けCPUとデータセンター向けのCPUは完全な地続きであり、データセンター向けのCPUはコア数を伸ばしてマルチCPU対応やPCI Expressのレーン数といったスケーラビリティ/コネクティビティを強化したもの」という定義は昔のものに過ぎない。
なぜなら今のデータセンターでは、単なる巨大なCPUというだけでは成立しないためだ。例えばデータベースを扱うにしても、レスポンスを重視するならストレージ上ではなくメモリー上にデータを置くインメモリーデータベースが求められるが、これを実現するには大容量どころか莫大なメモリーを搭載・管理できる設計が必要になる。
さらに、今ではデータベースを利用してビッグデータ分析をしたり、そこからAIのトレーニングやAIによる画像認識や自然言語処理等にも派生したりするので、そういった処理に適したアーキテクチャーも必要になる。これらのデータを多量のクライアントPCやデバイスとやりとりするための通信技術や、セキュリティーを高めるための暗号・復号処理も必須である。データセンター向けのハードウェアではこうした要素はすべてCPUの守備範囲となる。
こうした現状の中、インテルでは、ユーザーが必要とするパフォーマンスをより効率良く発揮すること、ベンダー/アーキテクチャーロックを招かないオープンな環境、高い持続可能性を持つことが重要と考えている。そうした要素を実現するべく開発されたのが、「Sapphire Rapids」こと「第4世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」だ。
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