熊谷組、京セラ、日本電気は2月7日、熊谷組技術研究所屋外実験ヤードにてローカル5G(第5世代移動通信)を利用した建設機械2台に対する自動走行と4Kカメラ映像伝送の実証実験を実施したと発表した。
近年は調査、測量から設計、施工等すべての建設プロセスにおいてICTを活用する「i-Construction」に関する取り組みが進んでおり、災害補修時における二次災害予防のための無人化施工技術に注目が集まっている。無人化施工技術の高度化には、建設機械(以下、建機)への4Kカメラ搭載による映像の高品質化や、建機の傾きや振動等を検知するセンサーによる現場情報のフィードバックが必要で、高速で低遅延な伝送を可能とする無線通信システムが求められている。
地域の企業や自治体などのさまざまな主体が個別ニーズに応じて構築可能なローカル5Gシステムを屋外実験ヤードに構築。屋外実験ヤード内での高い上り回線の伝送速度、低遅延性能を確認した結果を踏まえ、2台の建機の自動走行の実証実験を2022年11月に実施した。実証実験では、建機上の4Kカメラ映像を、エンコーダーを用いて伝送し、遠隔操作室にあるデコーダー側の出力映像の品質を確認した。
建物にNEC製ローカル5G基地局を設置し、遠隔操作並びに自動走行が可能な建機上には京セラ製ローカル5G対応デバイス「K5G-C-100A」を設置。車載4Kカメラの映像をIPネットワークの上り回線を通じて高速なパケット伝送を行ない、遠隔操作室内に設置されたディスプレーにデコーダー出力を80msecで表示した。
移動する建機の位置を遠隔操作室内のディスプレーによって確認するとともに、K5G-C-100Aで取得された受信信号とGPS情報を使い、屋外実験ヤード内を移動した時の受信電力特性を確認。ヤード内では4Kカメラ映像を安定的に伝送できる電力値であることを確認し、これらの位置情報と受信電力特性の情報を活用することで、屋外実験ヤード内の建機2台が往路と復路のルートに対して安全間隔を保ちながら自動走行が可能となったという。
実際の建設現場における技術検証など、4Kカメラが搭載された建機の自動走行の高度化・実用化に向けてさまざまな実証実験を今後も行なうとしている。
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