カスタマイズできるPCパーツを厳選した鉄板モデルとして誕生
サイコムは様々なジャンルのBTOパソコンを数多く手がけている。CPUだけではなく、ビデオカードまで水冷化したデュアル水冷PC、無響室で正確に騒音値を測ってチューンした静音PC、ハイエンドPCパーツにこだわったゲーミングPC、クリエイターなどに向けたプロフェッショナルPCと、個性豊かなBTOパソコンが多い。
そして、カスタマイズできるPCパーツの種類が豊富だ。例えばSSDであれば、同じ容量でもメーカーやシリーズの異なる製品が複数並んでいるほど。PCパーツにこだわった自作PCに近い構成を、プロの美しい組み立てで手に入れられる。
ただし、この「カスタマイズできるPCパーツが豊富」という点が裏目に出ることもある。例えば、PCに詳しくない人にとっては何を選んでいいのかわからず混乱してしまうこともある。G-Master Veloxシリーズはそうした人でも安心して購入できる、鉄板構成のゲーミングPCとして誕生した。
BTOでカスタマイズできるPCパーツをサイコムが厳選し、例えばメモリーなら容量を見るだけでよく、かなり選びやすくなっている。SSDも2メーカーに絞られているため、こちらも製品選びで悩むことはないだろう。
その一方で、CPUはゲーミングPCとして十分な性能を備えるミドルクラスからハイエンドまでずらりと並んでいる。この絞るところは絞り、幅を持たせたほうがいいところはラインアップを豊富に取り揃えている点は、購入者にどう選んでもらうかしっかり考えられているようで好感が持てる。
また、ミドルクラスのゲーミングPCとして、標準構成のままで不満なく使えるところもうれしいところ。カスタマイズするにしても最小限でいいので、初心者でも安心して購入できるだろう。G-Master VeloxシリーズにはCPUの違いで2つのモデルがあるが、今回は筆者が気になっているCore i5-13400Fを標準搭載している、G-Master Velox Intel Editionについて紹介していこう。
G-Master Velox Intel Edition | ||
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標準構成の主なスペック | 試用機の主なスペック | |
CPU | インテル「Core i5-13400F」(10コア/16スレッド、最大4.6GHz) | |
CPU クーラー |
Noctua「NH-U12S redux」(空冷、120mmファン、サイドフロー) | |
マザー ボード |
ASRock「B660 Pro RS」(インテルB660、ATX) | |
メモリー | 8GB×2、DDR4-3200<メジャーチップ・8層基板> | |
ストレージ | Crucial「P5 Plus CT500P5PSSD8」 (500GB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
「P5 Plus CT1000P5PSSD8」 (1TB M.2 SSD、PCIe 4.0) |
ビデオ カード |
ASUS「PH-RTX3060-12G-V2」(GeForce RTX 3060、12GB GDDR6) | |
電源 ユニット |
SilverStone「SST-ET650-HG」(650W、80 PLUS GOLD) | |
PCケース | NZXT「CA-H510I-W1」(ATX、ミドルタワー) | |
PCケース ファン |
Fractal Design「Dynamic X2 GP-12」(120mm) | |
OS | Microsoft「Windows 10 Home 64bit」 | |
直販価格 | 19万4230円~ | 20万3390円 |
なお、今回お借りした試用機では標準構成とは異なり、SSDが500GBから1TBになっていた。近年のゲームタイトルは容量がどんどん大きくなってきているので、1TBぐらいあると安心だ。とはいえ、ほとんどのゲーマーは遊んでも1シーズンで1~3ゲームほどだろう。また、足りなくなれば遊んでいないゲームはアンストールすればいい。となると、標準構成の500GBでもこと足りるということだろう。このあたりの絶妙な判断も「厳選」という感じがする。
コスパ抜群のCore i5-13400Fを実用性抜群の空冷クーラーで運用
G-Master Velox Intel Editionの構成について、性能を大きく左右するキーパーツを中心に詳しく見ていこう。
まずは冒頭でも触れた通り、最も気になっているCore i5-13400Fから。インテルCPUは前世代の第12世代インテルCoreプロセッサー(開発コードネーム:Alder Lake-S)から、Pコア&Eコアのハイブリッドデザインを採用した。
しかし、あくまでそれは上位モデル用という位置付けで、Core i5以下でPコア+Eコアという構成だったモデルは、末尾にKが付くモデルだけだった。しかし、第13世代からはCore i5の無印(&そのF型番やT型番)モデルでも、Pコア+Eコアという構成になった。
前世代の「Core i5-12400F」(6コア/12スレッド)と比べると、10コア/16スレッドになっているので、マルチスレッド性能が大幅に向上している。では、価格面ではどのくらい変わるのか? BTOメニューでは従来のCore i5-12400Fとの差額は8020円高価になる。Eコアが追加され、動作クロックも上がっていることを考えればリーズナブルだ。
一方で、Core i5-13600Kとの差額を見ると2万4640円、Core i5-13600KFでも1万9010円も安い。もちろん、CPUは高性能であればあるほど快適度が上がるわけだが、ゲーミングPCのコストパフォーマンスで考えれば、Core i5-13400Fはかなり「ちょうどいい」ポジションだ。
また、65Wという電力制限を緩めた場合、どのくらい性能が向上するかという点も気になる。CPUは温度が高くなりすぎると動作クロックが低下するが、これとは別に長時間高負荷がかかる場合は電力効率を重視し、動作クロックを下げることがある。
となると、65Wという制限はかなり厳しいものだが、これをCore i5-13600Kなどと同じ125Wにまで上げれば、性能向上が見込めるのではないか、という期待がある。ただし、この制限を緩めるとCPUの発熱は当然増える。
しかし、G-Master Velox Intel EditionのCPUクーラーは、Noctuaの「NH-U12S redux」だ。巨大なヒートシンクを備えるサイドフローモデルで、空冷ながらも高い冷却性能と静音性を兼ね備えている。それだけに、冷却面での不安はない。
性能がどう変わるのか、温度はどこまで上昇するのかといったテストは、次回の性能チェックで確かめていこう。
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