ChatGPTの抱える課題とは?
しかし、ChatGPTは今のところ必ずしも完璧ではないようです。
GPT-3は2021年までのデータで学習されているので、それ以降の出来事についてChatGPTは正しく回答できません。
たとえば、2022年のワールドカップについて訊いてみても、「まだ開催されていない」という誤った回答を返しました。
以下の例では、ChatGPTにお勧めのレストランを尋ねたら、あたかも実在するかのように店名を挙げてくれていますが、これらの店は実際にはどれも存在しません。
chatGPTに丸の内でデートにお勧めのレストランを聞いたら店名が4つも出てきたけど、全部ウソw 一つも存在しないヽ( ・∀・)ノ┌┛Σ(ノ `Д´)ノ pic.twitter.com/3Ae1Mbsm8n
— 中嶋よしふみ@保険を売らないFP💰ウェブメディア編集長📱執筆指導✏️ (@valuefp) January 11, 2023
このような、AIがあたかも事実であるかのようにデタラメな内容をでっちあげてしまう現象は、“ハルシネーション(幻覚)”と呼ばれて問題視されています。
ChatGPTはRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)という手法を用いて、人間のフィードバックによって訓練されており、ハルシネーションなどの好ましくない回答を軽減していますが、それでも完璧ではありません。
AIが自分でWeb検索して精度を高められる
これらの課題に対処するために、ChatGPTは今後のアップデートで“AI自らがWeb検索して情報を調べてくる”エージェント能力を獲得するのではないかと言われています。
エージェント能力というのは、AIが自らの判断で行動するようになるというような意味合いです。
そうなれば、AIは自分の知らない新しい情報や、事実に基づいた知識をWebから調べてきて、正しい回答が可能になります。
筆者の推測ですが、OpenAIはChatGPTにWeb検索能力を与えるために、マイクロソフトのBingと提携することにしたのかもしれません。
このようなエージェントAIの実力を、先取りして試す方法があります。
ここ数週間に注目を集めている、LangChainというPythonライブラリがあります。これを利用すると、GPT-3などの言語AIに、Web検索や外部データベース検索などの機能を接続できます。
試しに、LangChainを使ってGPT-3にWeb検索能力(Googleカスタム検索)を与えた言語AIを作って、回答させてみましょう。
LangChainはGoogle ColaboratoryなどのPython実行環境から試すことができます。
2022年ワールドカップの優勝国を尋ねたところ、AIはGoogle検索をしたうえ、その結果の情報を踏まえて正解を回答することができています。
このように、LangChainとGPT-3を組み合わせることで、次世代のAIと言われるエージェントAIの実力を先取りして体験できます。
今回お見せしたのは一例に過ぎません。今後このような形でチャットボットAIは現在抱えている課題を克服していき、改善、進歩していくことが予想されます。
筆者紹介──うみゆき
Unity3D、Unreal Engineを主に扱うフリーランスエンジニア。任天堂株式会社を退職したのち、Steamにて個人開発アプリをリリースするほか、Cygameにて「プリンセスコネクト!Re:Dive」「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」、カバー株式会社にてvTuber用モーショントラッキングアプリ、スマホARアプリなどの開発に携わる。現在はジェネレーティブAIを活用したゲーム、アプリケーションを開発中。
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