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小型&実用的と軽快な走りを両立させたアウディのコンパクトSUV「SQ2」

2023年01月14日 15時00分更新

300PSは伊達じゃない!
グイグイ進んで軽快に動く

 アウディのスポーツモデルというと、「排気音が大変なことになる」と身構える方がいらっしゃるかと思います。筆者もその1人。そこで恐る恐るエンジンボタンを押したところ、実にジェントル。これならご近所迷惑にはなりません。

 走行モードをAUTOにして走行開始。まず気づくのは「ほとんど踏まなくても進む」というもの。低速域からのトルクが太く、ちょっと踏めばスーッと進んで街乗りがQ2より断然静か! そして勢いよく踏めば、一瞬の間を置いて怒涛の加速! 「さすが300馬力」と頬がゆるみます。

 Sスポーツサスペンションという専用の足ですが、硬すぎず柔らかすぎずのわずかに芯を残したアルデンテな乗り味。女性にうれしい軽やかなステアリングフィールと相まって、乗用車的アウディらしさを残しつつも、交差点を1つ曲がるだけでも「お! Q2と違って楽しいかも」と思わせるのです。ようするに「ちょっと遠回りしたくなる」ような気持ちにさせてくれる味わい。こう思わせるSUV、ありそうでないんですよ。

 というのも「コンパクトSUV」という取り回しの良いクルマだから。高さ制限のある立体駐車場だって問題ありません。大きなクルマって、運転中に気疲れすることありませんか? 取り回しと加速の面でストレスが少ないのが、このクルマの最大の魅力といえるでしょう。

 お楽しみのSPORTモード。右足の反応に一瞬のためらいもなく反応する直列4気筒2.0リッター TFSI ターボエンジンと、7速Sトロニックトランスミッション。重たくなるステアリング。迫力の増すエンジンサウンド。さすがに可変ダンパーではないものの、アルデンテの乗り味は、高速コーナリングで一層開花。はっきり言って「楽しい」の一言で、ふと頭に「ホットハッチ」という言葉がよぎるのです。

 アウディのスポーツモデルは、運転していても、どこか冷静な自分が外から見ているという印象を受けていました。ですがSQ2はまったく異なるラテンのノリ。「え? これホントにアウディ?」と思いつつ、無限大の楽しさに「もう、どうでもよい」という気分。ただただ頬を緩めて走っていました。

クルーズコントロールのスイッチ

クルーズコントロール中の様子

 アダプティブ・クルーズコントロールは、アウディらしくステアリングホイールにボタンはなく、レバーで設定。そしてクルーズコントロールの表示は右下に小さく表示され、動作状態はパッと見わかりづらいところがあります。効きはやや弱い傾向というか、白線内ならどこを走っても問題ないだろという雰囲気を感じました。

 夜になるとイルミネーションが灯ります。ですが、なんかアウディらしくないような。おそらく、オレンジはBMWが長年使ってきた色だから。室内のインテリアに赤の差し色を入れているのだから、赤にしてしまえばいいのに、と感じました。

 街乗りで使いやすく、それでいて楽しいクルマって、そうそうあるものではありません。すぐに頭に浮かぶのはアバルト595あたりでしょうか。でもアバルトには荷物が載りません。それを考えると、SQ2は実用性(Utility)とスポーツ(Sport)が融合した真のコンパクトSUVであり、逆に言えば、コンパクトスポーツSUVと呼べるのは、このクルマしかないと断言したくなります。

 そこに700万円の価値があるのか? と聞かれると「大アリ!」と言いたいのですが、700万円も出すとなるとアウディQ4が視野に入るわけで、普通の人はコッチを選ぶだろうなと。やっぱりSQ2とはいえ、Q2とQ4では車格が2段階も上がるため内装は豪華だし、なにより広い。しかし、広いという事はクルマが大きいわけで、世田谷あたりの細い路地ではストレスを感じるでしょう。いや~、悩ましい選択です。そんなことを思ううちに「満足するアウディが欲しいなら最低600万円は必要」なのかと思った次第。頑張って働きます……。

 SQ2を試乗して思ったのは、コンパクトSUVに必要なのはパワーだということ。ホットハッチ不在の世の中、自動車メーカーはコンパクトSUVに300PSのユニットを載せてください。絶対に楽しいですから。エコやSDGsも大切ですが、楽しくないクルマなんて誰も欲しくないと思うのです。

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